娘の結婚相手は国家公務員! 「高収入だから安心ね」と言ったら「一般の会社と変わらないよ」と言われました。稼ぎがいいイメージがあったのですが、そうではないのでしょうか?

配信日: 2025.10.17 更新日: 2025.10.21
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娘の結婚相手は国家公務員! 「高収入だから安心ね」と言ったら「一般の会社と変わらないよ」と言われました。稼ぎがいいイメージがあったのですが、そうではないのでしょうか?
娘の結婚相手が国家公務員と聞き、「高収入で安心ね」と口にしたところ、「一般の会社と変わらない」と返された――確かに、公務員には「安定」や「堅実」といった印象を持つ方も多いかもしれませんが、実際の収入はどの程度なのでしょうか。
 
この記事では、公的データをもとに、国家公務員の給与水準と民間企業との違いを整理し、「高収入」といえるのかを考えてみましょう。
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国家公務員の平均年収とその実情

人事院が公表する「令和6年 国家公務員給与等実態調査」によると、国家公務員の平均給与月額は約41万4800円です。これに令和6年度の期末・勤勉手当(年間4.60月分)を加えると、概算の平均年収はおおよそ690万円程度となります。この数字だけを見れば、確かに民間平均より高く「高収入」と言えるかもしれません。
 
しかし、この平均値には幅があります。国家公務員と一口に言っても、行政職、税務職、公安職、専門行政職など職種が異なり、それぞれ適用される俸給表が違います。
 
例えば国税庁の職員は「税務職俸給表」が使われ、警察や刑務官などは「公安職俸給表」に分類されます。職務内容や責任の重さなどによって給与体系が変わるため、単純に比較することはできません。
 
また、昇給は年功序列的に進む傾向があり、若手職員の給与は平均より低くなる場合があります。入省数年の職員であれば年収400万円台というケースも考えられ、同年代の大手企業社員と比べても大差がない場合があります。
 
さらに、勤務地によっても支給される手当が異なります。都市部では地域手当が手厚い一方、地方や過疎地勤務では手当が少なくなることもあります。
 
このように、国家公務員といっても収入には職種や地域、勤続年数によるばらつきがあるのです。
 

民間企業との比較で見える“安定”という強み

国税庁長官官房企画課の「令和6年分 民間給与実態統計調査」によると、民間企業で1年を通じて勤務した給与所得者1人あたりの平均年収は478万円でした。
 
単純比較では、国家公務員の平均年収約690万円は民間企業より200万円ほど高く見えます。ただし、この民間給与の平均にはパート・アルバイトなど非正規雇用者も含まれており、職種や企業規模によって実態は大きく異なります。
 
例えば、製造業の大企業や金融機関、専門職などでは国家公務員の平均を上回る年収を得ている人もいます。つまり、国家公務員の収入は「特別に高い」というより、「平均よりやや上で安定している」と表現する方が現実に近いでしょう。
 
実際、国家公務員の給与は人事院勧告に基づいて毎年改定され、景気に大きく左右されません。企業業績によってボーナスなどが大きく変わる民間企業に比べ、安定して支給される点は公務員の大きな魅力です。
 
また、給与以外にも住宅手当や扶養手当、医療制度など、公的な福利厚生が整っています。こうした制度面の安心感は、長期的に見れば大きな「収入価値」といえるでしょう。
 

“高収入”よりも“安定収入”という認識

「国家公務員=高収入」というイメージは、かつての年功序列と終身雇用の時代に形成されたものかもしれません。
 
現在では、若いうちは民間とほぼ同等かやや低め、40代以降でようやく民間平均を上回る水準に達するケースが一般的といわれています。つまり、短期的に大きな収入を得る職ではなく、長期的に着実に積み上げていく職業だと考えるべきでしょう。
 
今回のケースで、娘の結婚相手が国家公務員である場合、「高収入だから安心」と決めつけるのではなく、どの職種に就き、どのくらいの勤続年数なのかを見極めることが大切です。
 
行政職と専門職では収入の構造が違い、勤務地や昇任のスピードでも将来の年収が変わります。国家公務員は安定した収入と社会的信用を得られる一方、突出した年収を望む職種ではないという点を理解しておくとよいでしょう。
 

まとめ

今回参照した統計データによれば、国家公務員の平均年収は約690万円で、民間企業の平均年収478万円を上回っています。しかし、若手や地方勤務では民間と大きな差がないケースもあるのが実情です。
 
国家公務員の魅力は「高収入」ではなく「安定収入」にあります。景気や業績に左右されにくく、長く働くことで確実に収入が伸びるという点が最大の強みです。
 
娘の結婚相手が国家公務員というのは、堅実で安定した人生設計を描けるという意味では確かに安心できる選択です。ただし、民間企業より必ず稼げるというわけではありません。
 
数字だけでなく、仕事の内容や価値観、将来のビジョンを理解したうえで、温かく見守ることが何より大切だといえるでしょう。
 

出典

人事院 令和6年国家公務員給与等実態調査報告書 職員数、平均年齢、平均経験年数及び平均給与月額(2ページ)
国税庁長官官房企画課 令和6年分民間給与実態統計調査 -調査結果報告- II 1年を通じて勤務した給与所得者 2 平均給与(15ページ)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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