今高校3年生で卒業後は開業したいと思ってるのですが、親から「大学に行ったほうが将来の収入が違う」と言われました。大卒と高卒でどれくらいの年収差があるんですか?

配信日: 2025.10.21
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今高校3年生で卒業後は開業したいと思ってるのですが、親から「大学に行ったほうが将来の収入が違う」と言われました。大卒と高卒でどれくらいの年収差があるんですか?
高校を卒業してすぐに起業したいという思いは、明確なビジョンを持つ人にとって自然な選択かもしれません。
 
しかし、親から「大学に行ったほうが将来の収入が違う」と言われると、迷いも生まれるものです。実際のところ、大卒と高卒の間にはどの程度の収入差があるのでしょうか。
 
本記事では、最新の統計データをもとに学歴と年収の関係、そして開業を目指す人がどう考えるべきかを整理してみます。
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最新データで見る大卒と高卒の賃金差

厚生労働省が公表した「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、全産業における平均所定内給与額(月額)は、大卒男性が41万7700円、高卒男性が31万3200円、女性では大卒が31万5100円、高卒が23万7700円となっています。
 
この結果をもとにした単純計算では、大卒と高卒の賃金差は男性が月10万円、女性が月8万円ほどとなり、年収換算すると120~96万円ほどの違いになります。若いうちは差が小さいものの、年齢を重ねるにつれて昇進や昇給の機会が多い大卒層が優位になり、40代以降で格差が広がる傾向があります。
 
また、業種や企業規模によっても差は異なります。大企業や専門職では学歴の影響が大きい一方、中小企業や現場職では実績や技能が重視され、学歴差が小さい場合もあります。
 

生涯年収では数千万円の差に

生涯年収で見ると、学歴差はより顕著です。独立行政法人労働政策研究・研修機構の「ユースフル労働統計2024 -労働統計加工指標集-」によると、フルタイムの正社員で退職金を除いた60 歳までの生涯賃金は、男性で大卒が2億5150万円、高卒が2億880万円、女性で大卒が2億190万円、高卒が1億5440万円となっています。
 
この結果によると、大卒と高卒では男性が約4000万円、女性が約5000万円もの差があることが分かります。
 
この差の要因は、昇進・昇格のしやすさ、役職手当、賞与、退職金などの累積的な違いによるものです。特に総合職・管理職登用のチャンスが多い企業では、40代以降に賃金カーブの差が大きく開く傾向があります。
 
ただし、これはあくまで「平均的なキャリアモデル」であり、すべての人に当てはまるわけではありません。高卒でも技能職・営業職・専門職などでキャリアを積み上げ、大卒平均を上回る年収を得る人も多くいます。
 

開業・独立を目指すなら視点を変えよう

あなたが目指しているのが「就職」ではなく「開業」や「独立」である場合、学歴が収入に与える影響は相対的に小さくなります。ビジネスの世界では、学歴よりも事業の成長力・市場性・営業力・経営スキルが収益を左右します。
 
もちろん、大学で得られる専門知識や人脈、信用は、起業時の信頼性や資金調達にプラスになることが多くあります。しかし、それを実際に生かせるかどうかは業種や事業戦略次第です。
 
また、大学進学には学費と時間というコストがかかります。国立大学なら年間約50万円、私立大学文系では年間約100万円、4年間で400万円を超える場合もあります。開業を目指すなら、「その4年間で得られる経験と費用をどう生かすか」を投資目線で考えることが大切です。
 

学歴よりも「稼ぐ力」を磨こう

学歴は、社会に出てキャリアや収入を築いていくうえでの出発点の一つにすぎません。最終的に収入を決めるのは、次のような要素です。


・専門スキルや資格などの市場価値の高い能力
・顧客との信頼関係を築く営業力・実行力
・成長産業を見極める情報収集力と判断力
・継続的に学び改善できる柔軟性と行動力

特に開業を目指す場合、これらのスキルをどれだけ早く習得するかが成功を左右します。大学で学ぶにせよ、現場で経験を積むにせよ、稼ぐ力を主体的に育てる意識が重要です。
 

数字に縛られず、将来の戦略で判断しよう

大卒と高卒の間には、確かに平均的な収入差があります。令和6年の統計でも、月収で8~10万円、生涯では4000~5000万円もの差があるとされています。しかし、開業や独立の道を選ぶ場合は、学歴よりも実力・経験・市場での価値が収入を決定づけます。
 
大学進学を投資として考えるか、早く起業して実績を積むか、どちらの選択でも明確な戦略を持つことが大切です。将来の成功を左右するのは学歴ではなく、「どんな環境で何を学び、どう行動するか」です。自分の目標と、時間・資金・スキルなどの活用できるリソースに合わせて、最適な道を選びましょう。
 

出典

厚生労働省 令和6年賃金構造基本統計調査 結果の概況
独立行政法人労働政策研究・研修機構 ユースフル労働統計2024 -労働統計加工指標集-
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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