専業主婦になりたいです。都内で暮らすには結婚相手の年収はいくら必要ですか? 都内で生活できる“リアルな年収”とは?
本記事では、東京都のデータをもとに専業主婦世帯が安定して暮らすために必要な支出や年収の目安、そして家計を守るための考え方を整理します。
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都内の平均的な生活費を把握しよう
東京都が公表している「都民のくらしむき 東京都生計分析調査報告(令和6年)」によると、都内の勤労世帯(平均世帯人員3.24人)の月間消費支出は約37万2602円、年間にすると447万円です。
このうち、住居費は月2万7063円、教育費は月2万8076円です、これらは持ち家・賃貸、公立・私立校のすべてを含めた平均値が反映されています。したがって、住まいの形態や子どもの進学先などによって、実際の支出はこの金額より大きく変動します。
例えば、23区内のファミリー向け賃貸(2~3LDK)の家賃相場は月20~35万円であり、子ども2人が私立高校や塾に通う場合の教育費は月5~10万円、年間で100万円以上増えるケースもあります。
こうした実態を踏まえると、平均支出447万円に住宅費・教育費などの増加分を加えた都内4人世帯の年間支出は、おおむね550~650万円に達すると考えられます。
年収と手取りの関係を理解しよう
手取り額は年収帯によって異なりますが、社会保険料や税金を差し引くと、おおむね年収の7〜8割が実際の手取りとなります。年収600万円台なら手取りは420~480万円、700万円なら490~560万円、800万円なら560~640万円程度が目安です。
前述の「都民のくらしむき」の平均的な支出(年間約447万円)と照らすと、年収600万円では貯蓄に回せる余裕がほとんどないことが分かります。
将来に備えて毎年100万円ほどを貯蓄するには、生活費や教育費を差し引いたあとに手取りで550万円前後の収入が必要です。この水準を実現するには、年収で700~800万円程度が目安となるでしょう。
専業主婦世帯が安定して暮らすために考えたいこと
年収の多寡だけでなく、支出の内訳や家計のバランスをどう取るかが、専業主婦世帯の暮らしを左右します。
都内では住宅費や教育費の負担が家計を圧迫しやすく、固定費を抑える工夫が不可欠です。一般的には、家賃や住宅ローンを手取りの25~30%以内に抑えることが望ましく、教育費のピーク時に備えて学資保険や積み立てを活用するのが現実的な対策です。
また、専業主婦世帯は共働き世帯に比べて収入の伸び代が限られるため、支出を管理し、貯蓄率を一定に保つことが安定のカギとなります。
仮に夫の年収が700~800万円として、無理のない生活を続けるためには毎月5~10万円を将来資金として確保し、教育費・老後資金・緊急予備費に振り分けておくのが理想的です。
つまり、専業主婦で暮らすための現実的な年収目安は、金額そのものよりも家計の設計や支出の最適化に大きく依存します。家族構成やライフステージに応じて支出を見直し、安定的な貯蓄を続けるバランスの確立が、専業主婦世帯の安定につながります。
家計を守るためにできる工夫
専業主婦となり完全に収入を夫ひとりに依存する生活は、病気や転職など予期せぬリスクを抱えることになります。そのため、在宅ワークやパートなどで少しでも補助的な収入源を確保し、家計の安定とリスク分散を図ることが望ましいです。
また、物価や教育費の上昇が続く現状においては、理想の生活を追い求めるよりも無理のない支出で安定を保つ視点が一層重要となっています。
安定した暮らしのために家計を見直そう
専業主婦世帯にとって大切なのは、「いくら稼ぐか」よりも「どう使い、どう備えるか」です。同じ年収でも、住宅費や教育費、貯蓄率の違いによって家計の安定度は大きく変わります。理想の暮らしを実現するためには、固定費を見直し、将来に備えた貯蓄を習慣化することが欠かせません。
無理のない範囲で支出のバランスを整え、自分たちのライフスタイルに合った家計設計を続けることが、専業主婦世帯の安心と安定につながるでしょう。
出典
東京都 「都民のくらしむき」東京都生計分析調査報告(年報) 令和6年
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
