9月に月給が「24万円→27万円」に昇給しました。社会保険料はいつから、いくら変わるのでしょうか?
社会保険料は計算方法が決まっているため、給料が分かっていれば負担金額の目安を計算できます。今回は、社会保険料が決まる仕組みや3万円の昇給で負担額がどの程度増えるのか、またいつから変わるのかについてご紹介します。
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目次
社会保険料はどうやって決まる?
従業員が支払う社会保険料は、厚生年金保険料、健康保険料(介護保険料)、雇用保険料です。
このうち、厚生年金保険料と健康保険料は、標準報酬月額に保険料率をかけて求められます。従業員が実際に支払うのは、雇用主と折半した金額です。
標準報酬月額とは、税金が引かれる前の残業手当や通勤手当などの各種手当を含めた給料を一定金額ごとに区分した報酬月額に当てはめて決められる金額です。厚生年金保険では32等級、全国健康保険協会の場合の健康保険では50等級に区分されています。
また、雇用保険料の保険料率は厚生労働省によって決められており、給料に保険料率をかけて求めます。なお、雇用保険料は労働者負担分と事業主負担分で雇用保険料率が分かれているため、確認する際は労働者負担分をチェックしましょう。
月3万円昇給すると社会保険料はいくら変わる?
今回は、給料が月24万円から27万円に昇給した場合の社会保険料の差を比較しましょう。条件は以下の通りです。
・40代東京都在住
・全国健康保険協会に加入
・月給が24万円から27万円に昇給
・報酬月額と月給は同じとする
・社会保険料の基準は令和7年度
40代であるため、健康保険料には介護保険料も含まれます。令和7年度の基準では、厚生年金保険料率は18.30%、健康保険料率(介護保険料含む)は11.50%、雇用保険料率の労働者負担分は0.55%です。
まず、報酬月額が24万円のとき、厚生年金保険の等級は16、健康保険の等級は19に区分され、標準報酬月額は24万円になります。保険料率を当てはめると、厚生年金保険料は月4万3920円、健康保険料は2万7600円です。
厚生年金保険と健康保険は雇用主と折半するため、実際に支払うのは厚生年金保険が2万1960円、健康保険料が1万3800円になります。また、雇用保険料は「24万円×0.55%」となり、月1320円です。社会保険料を合計すると、給料が月24万円のときは月3万7080円になります。
一方、給料が月27万円に昇給すると、厚生年金保険と健康保険の等級が2つずつ高くなり、標準報酬月額は28万円です。厚生年金保険料は月5万1240円、健康保険料は月3万2200円になります。折半した従業員負担分は厚生年金保険料が月2万5620円、健康保険料が月1万6100円です。
雇用保険料は「27万円×0.55%」と計算し、月1485円です。合計すると、月27万円に昇給したときの社会保険料は月4万3205円を負担します。今回のケースだと、月3万円の昇給で社会保険料は月6125円高くなるでしょう。
保険料が変わるのはいつから?
厚生年金保険料と健康保険料は標準報酬月額を基に決められるため、変わるのは基本的に標準報酬月額が改定されるのと同じタイミングです。
標準報酬月額は、その年の4~6月の報酬月額を基に、同じ年の9月から変わります。そのため、9月に昇給すると、翌年9月から厚生年金保険料と健康保険料が変わるでしょう。
ただし、今回のように標準報酬月額が2等級以上変わるなどの大きな昇給があった場合は「随時改定」の対象になるケースもあります。この場合、前述の「定時決定」を待たずに、昇給したあとの給料を始めて受け取った月から起算して4ヶ月目に改定される可能性があります。
雇用保険料は、標準報酬月額ではなく実際に支払われた給料を基に決まるため、昇給した月から支払う金額も増加する仕組みです。
例えば9月に昇給した場合は、9月分の給与(当月支給であれば9月、翌月払いでは10月支給分)から新しい金額で計算されます。つまり、社会保険料のうち厚生年金保険料と健康保険料は翌年9月もしくはその年の12月から、雇用保険料分のみ昇給したその年の9月分から金額が変わります。
社会保険料は月6125円高くなる可能性があるが、雇用保険料とそれ以外で改定タイミングはずれる
社会保険料は厚生年金保険料と健康保険料、雇用保険料で、それぞれ変更される時期が異なることに注意しましょう。今回のケースだと、月3万円の昇給で社会保険料は合計月6125円高くなりますが、実際に改定されるのは厚生年金保険料と健康保険料が翌年9月もしくは当年12月、雇用保険料は当年9月です。
昇給は1回しかしていなくても、厚生年金保険料と健康保険料、雇用保険料の変更時期が異なるため、社会保険料が1年で2回高くなったように感じることもあります。「なぜ2回も上がったのか?」と気になった場合は、昇給の時期と各保険料の変更のタイミングを確認してみましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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