ボーナスがなくなった代わりに「基本給アップ」と言われたけど、実際手取りは減っている気がします…なぜでしょうか?
一見、給与が上がって良くなったように思える変更ですが、手取りに着目すると逆に減ってしまうケースもあるようです。その背景には、社会保険や税金の仕組み、ボーナスの持つ役割など、いくつかの見落としがちな要因があります。
この記事では、なぜこのようなことが起きるのかを分かりやすく解説し、確認すべきポイントなどもお伝えします。
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手取りが減ったように感じる3つの理由
「基本給が上がった=収入が増える」は一見正しいように思えますが、実際の手取り額に注目すると、そう単純にはいかないことが分かります。その理由は、大きく以下の3つに分けられます。
1.社会保険料や税金の負担が増えている
基本給が増えると、健康保険や厚生年金などの社会保険料が上がることがあります。これらの保険料は「標準報酬月額」という基準で決まり、基本給が高くなるほどその基準額も上がっていきます。
また、住民税や所得税も同様で、課税対象が増える分だけ負担も増える可能性があります。結果として、控除される金額が増え、手取りが減ったように感じてしまうのです。
2.ボーナスの持つ「まとまった収入」の効果が失われた
ボーナスには、まとまった金額を一括でもらえる「実感的な豊かさ」があります。それが月給に分散されることで、心理的に「もらった感覚」が薄れてしまうことも、手取り減少の印象を強めるかもしれません。
例えば、年間100万円のボーナスを月給に均して毎月8万円ほどアップしたとしても、それに対して控除も増える可能性があり、ボーナス時の「一時的なゆとり」が感じられなくなります。
3.昇給や将来の伸びしろに影響する可能性も
基本給を上げることで、会社側としては「今後の昇給原資」が減ってしまう可能性があります。また、ボーナスがなくなった分、査定の対象額や残業代の基準も変わる場合があり、トータルで見ると、思ったほど年収が増えていないケースもあります。
このように、見えにくい部分での変化が、結果的に「収入が増えた実感がわかない」原因になっている可能性があるのです。
損してる? 得してる? 確認すべき3つのポイント
制度変更に納得できないときは、ただモヤモヤを抱えたままにせず、自分で数字を見て確認することが大切です。以下の3つの点をチェックしてみましょう。
1.年収の総額と構成を比較する
ボーナスが基本給に上乗せされた結果、「年収の総額」がどう変化しているかをまず確認しましょう。月給が上がったとしても、賞与がゼロになっていたら、年収自体が変わっていない、もしくは減っているケースもあるかもしれません。
以前の給与明細や源泉徴収票と比較することで、全体の変化が見えてきます。
2.社会保険や税金の控除額をチェック
手取りが減ったと感じる原因の多くは「控除の増加」によるものです。給与明細で「健康保険料」「厚生年金保険料」「所得税」「住民税」などの欄をチェックして、前年と比較してみましょう。基本給アップによってこれらの金額が増えているなら、それが手取り減少の要因である可能性が高いです。
3.将来のメリットも視野に入れる
基本給が増えたことで、将来の年金や傷病手当金などの支給額の基準が上がる可能性があります。すぐには恩恵を感じにくいものの、長期的にはプラスになる側面もあります。
例えば、老後に受け取る老齢厚生年金額は、現役時代の報酬額が基準になるため、基本給が高い方が将来的には有利になる場合があります。
まとめ:手取り減少の理由を理解し、自分の収入を主体的に管理しよう
「基本給アップで収入が安定する」と聞くと一見良いことのように思えますが、実際には社会保険料や税金の増加、ボーナスの喪失感などによって「手取りが減った」と感じることもあります。
ただし、それが必ずしも損であるとは限りません。将来の年金や各種手当の金額にプラスになる可能性もあるため、短期的な手取り額だけで判断せず、長期的な視点も持つことが大切です。
不安がある場合は、会社の人事部に詳細を確認したり、ファイナンシャルプランナーなど専門家に相談したりするのもひとつの方法です。変化に流されるのではなく、自分自身で給与の仕組みを理解し、主体的に管理することが、これからの時代の安心につながります。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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