同じ医師でも“開業医は年収2600万円、勤務医は1400万円”。「開業医になっても儲からない」という噂は実際どうなの?

配信日: 2025.11.10
この記事は約 3 分で読めます。
同じ医師でも“開業医は年収2600万円、勤務医は1400万円”。「開業医になっても儲からない」という噂は実際どうなの?
高収入か、安定か……医師という職業にも、働き方の選択が求められています。開業医の平均年収は勤務医よりも高い傾向にありますが、その一方で、開業には多額の資金や経営リスク、長時間労働といった大きな負担が伴います。
 
本記事では、数字だけでは見えてこない、「医師のリアルな収入事情」に目を向けてみましょう。
FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

勤務医・開業医の年収を比較

勤務医(病院などの医療機関に雇用されて働く医師)の平均年収について、厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、医師の平均年収は約1436万円とされています。
 
一方、同じく厚生労働省の「第24回医療経済実態調査(医療機関等調査)」によれば、開業医の平均年収は約2637万円とされ、勤務医のほぼ2倍という結果です。
 
ただし、これはあくまで平均値であり、実際の収入には幅があります。勤務医でも年収が1500万円を超える人がいる一方で、開業医でも収入があまり伸びないケースもあり、診療科によっても差があります。
 

開業医が「儲からない」と言われる理由は? 初期投資、経費、税負担、長時間労働

開業医の年収は高い傾向にありますが、一般的に税金・社会保険料・設備更新費・借入金の返済などが差し引かれるため、開業医の自由に使える手取りがそのまま高いとは限らないのです。
 
例えば、年収2000万円の開業医でも、社会保険料・所得税・住民税などを差し引くと、手取りは1100万円程度になってしまうケースもあります。さらに、経営には以下のようなリスクも伴います。


●患者数の変動
●医療機器の導入・更新
●人件費、家賃、光熱費などの固定費負担
●医師自身が体調を崩した場合の収入減

このように、「年収が高い=儲かっている」とは一概に言えません。収入の安定性や経営環境も含めて判断することが重要です。勤務医であれば、雇用契約によって安定した給与が得られ、経営責任も少ないというメリットがあります。
 
したがって、「開業しても儲からない」という噂は、正確には「大きく稼げる可能性があるものの、立地や経営戦略を誤ると儲かりにくい」という意味で捉えるのが適切でしょう。
 

開業医の過酷な労働環境

東京保険医協会が、「開業医」として協会に登録されている都内の無床・有床診療所の会員4177人を対象に行った「開業医実態意識基礎調査」によると、1日の実労働時間が「11時間以上」の医師は18.4%、「9~11時間未満」は28.8%に上り、約半数が長時間労働を強いられている実態が明らかになりました。
 
健康や疲労に関する指標にも、警戒すべき兆しが見られます。「健康に問題はあるが診療に影響ない」とした回答が24.3%、「健康問題で診療に多少影響がある」が5.4%で、あわせて約3割が何らかの健康問題を抱えていると答えました。
 
さらに、日常的な心身の疲労についても、3割を超える医師が慢性的な疲労を訴えています。
 
労働時間の長期化と休日の不足が重なることで、十分な回復の機会が得られず、症状を自覚しながらも業務を優先せざるを得ない状況が、一部で常態化していると考えられます。
 

まとめ

開業医は平均年収こそ高い傾向にあるものの、経営リスクや健康への負担も無視できません。一方、勤務医は安定した給与と福利厚生がある反面、収入の上限は病院の規模やポジションなどに左右されます。
 
つまり、「開業=高収入」「勤務=安定」といった単純な図式ではなく、収入の伸びしろを重視するのか、安定と働きやすさを取るのかによって、最適な働き方は異なるといえるでしょう。
 

出典

e-Stat政府統計の総合窓口 厚生労働省 令和5年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 表番号1 職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)
e-Stat政府統計の総合窓口 厚生労働省 第24回医療経済実態調査(医療機関等調査)全体版
東京保険医協会 開業医実態意識基礎調査(1)増える長時間労働
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

  • line
  • hatebu
【PR】 SP_LAND_02
FF_お金にまつわる悩み・疑問