「大学病院は夜勤がつらいから街のクリニックに転職したい」と言う看護師の娘。クリニックになると給料は年間で「40万円」も低くなると聞いたのですが本当ですか?

配信日: 2025.11.17
この記事は約 4 分で読めます。
「大学病院は夜勤がつらいから街のクリニックに転職したい」と言う看護師の娘。クリニックになると給料は年間で「40万円」も低くなると聞いたのですが本当ですか?
看護師として働いていると、大学病院やクリニック勤務で給料がどれくらい異なるのか気になる人もいるかもしれません。特に、夜勤もある大学病院で働いている場合、クリニックに転職することで年収にどんな影響があるのかを知りたいと思う人もいるでしょう。
 
今回は、大学病院とクリニック勤務での収入の違いや全体の平均、仕事内容の違いなどについてご紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

大学病院とクリニック勤務での収入の違い

公益社団法人日本看護協会の「2024年度『看護職員の賃金に関する実態調査』結果」では、施設の種類別の平均給与が公開されています。資料によると、病院勤務の看護師の平均税込み給与総額は38万2093円なのに対し、診療所勤務の看護師の平均税込み給与総額は35万857円という結果でした。
 
毎月同じ金額を受け取っていると仮定した場合、1ヶ月で3万1236円の差が生じます。賞与を考慮しなかったとすると、年間換算で37万4832円の差です。もし賞与も含めると、差はさらに広がるでしょう。
 
また、今回の例はフルタイムの正規雇用かつ管理職でない人を対象にしています。もし非正規雇用で看護師として働く場合、大学病院かクリニックかだけでなく、雇用形態の違いにより給料に差が出る可能性もあります。
 

看護師の平均年収はいくらくらい?

総務省統計局が公表している「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、看護師の「決まって支給する現金給与額」は平均で36万3500円、「年間賞与その他特別給与額」は平均83万5000円です。毎月同額の決まって支給する現金給与額を受け取っているとすると、年収の目安は519万7000円になります。
 
年齢順に見てみると、基本的には年齢が上がるにつれて平均給与額も上昇する傾向があります。20~59歳までの、年齢別の年収目安は表1の通りです。
 
表1

年齢 決まって支給する
現金給与額
年間賞与
その他特別給与額
年収の目安
20~24歳 31万5200円 49万4800円 427万7200円
25~29歳 34万8000円 69万500円 486万6500円
30~34歳 35万4300円 76万2400円 501万4000円
35~39歳 35万5200円 84万9900円 511万2300円
40~44歳 36万9300円 95万8900円 539万500円
45~49歳 39万2400円 101万4200円 572万3000円
50~54歳 39万8000円 104万8400円 582万4400円
55~59歳 39万100円 103万6100円 571万7300円

※筆者作成
 
クリニックのほうが平均給与は低めでも、経験を積んで働き続けることで、毎年の昇給や役割の広がりによって収入が伸びていく可能性があります。差額分を埋められるかどうかは勤務先や働き方によって変わりますが、勤続による収入アップが期待できる点は押さえておくとよいでしょう。
 

大学病院とクリニック勤務での仕事内容の違い

大学病院とクリニックでは、給料だけでなく働き方や仕事内容も異なります。例えば、大学病院では夜勤も含めた勤務形態となりますが、クリニックは基本的に日勤のみです。
 
また、大学病院では医師の診療を補助したり入院患者のケアをしたりします。一方、クリニックでも診察の補助はしますが、大学病院よりも事務作業などが増える点が特徴です。そのほかに受付業務や備品管理なども行うケースがあります。
 
規模にも差があり、大学病院は規模が大きいため勤務する看護師の数も多いでしょう。しかし、クリニックは小規模になるため看護師が少なく、在籍者が一人というケースもあるといわれています。
 
看護師として働く場所を考える際は、給料だけでなくこうした違いについても理解したうえで判断するとよいでしょう。
 

大学病院勤務のほうが平均給料は高いがほかの要素も考慮して勤務場所を決めることが大切

看護師の平均税込み給与総額は、大学病院の方がクリニックよりも月3万円以上高い結果でした。そのため、できるだけ多く収入を得たい場合は、クリニックへの転職により収入が減る可能性があります。ただし、看護師は年齢が上がるほどに給料も上がる傾向があるため、一時的に収入は減っても、徐々に増収が見込めるかもしれません。
 
そのため、転職を悩んでいるときは、給料だけでなく働き方や仕事内容の違いなども踏まえて検討することが大切です。
 

出典

総務省統計局 e-Stat政府統計の総合窓口 令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 表番号5 職種(小分類)、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)
公益社団法人日本看護協会の2024年度 「看護職員の賃金に関する実態調査結果 結果概要 【図表 1】正規雇用フルタイム勤務・非管理職・看護師の就業先別賃金と各平均年齢(3ページ)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

  • line
  • hatebu
【PR】 SP_LAND_02
FF_お金にまつわる悩み・疑問