同じ「年収1000万円」なのに……! “独身”の私より、結婚して子どもが一人いる同僚のほうが、手取り額が「年20万円」も高いのはなぜ?
実際にどれほどの手取りが残るかは、年収や家族構成などにより異なります。そのため、仮に同じ年収であっても、世帯状況などによって手取り額は変動するのです。
本記事では、今回のケースのように同じ年収1000万円を稼ぐ2世帯を比較することで、世帯状況が手取り額にどのように影響するかを見ていきます。
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同じ年収1000万円でも家族構成で手取り額は変わる
そもそも年収とは1年間に得たすべての収入の合計額のことで、会社員の場合、基本給と各種手当、ボーナスも含まれた額面を指します。
対して、手取りとは実際に受け取れる金額、つまり額面から所得税や住民税といった税金や社会保険料を差し引いた金額のことです。
一般的に、手取りは年収の7~8割前後といわれることがあります。このように幅があるのは、税率や社会保険料の負担、配偶者や扶養家族の有無といった世帯構成によって、同じ年収でも手取りに違いが出るためです。
家族構成で手取り額が変わる理由
家族構成により控除の有無や額が変わることが、手取り額に影響します。控除とは「一定金額を差し引くこと」です。税制にはさまざまな控除が認められており、控除が適用されると税負担が軽減されます。
家族構成に関係する税金の控除には、以下のようなものがあります(令和7年分以降)。
・配偶者控除:納税者に控除対象の配偶者がいる場合の控除(所得要件あり)
・配偶者特別控除:配偶者控除の対象外となる配偶者に対して適用される控除(所得要件あり)
・扶養控除:納税者に控除対象の扶養親族がいる場合の控除(所得要件あり)
配偶者控除は、納税者の合計所得金額に応じて、13~48万円の範囲で適用されます(老人控除対象配偶者を含む)。配偶者特別控除は1~38万円です。扶養控除は、38~63万円です。
これらの控除が適用される場合、課税対象となる金額が減るため、支払うべき税額も少なくなります。
ただし、納税者に配偶者や扶養親族がいるからといって、控除が適用されるわけではありません。
例えば配偶者控除の場合、納税者本人の合計所得金額が1000万円以内である必要があります。また配偶者の合計所得金額が58万円以下(給与収入のみの場合は収入123万円以下)であることも条件です。
独身世帯と子ども一人&配偶者あり世帯の違い
今回のケースでは、同じ年収1000万円の世帯でありながら、手取り額に約20万円の差が出ています。
手取り額の計算には諸要素がかかわるため一概にはいえませんが、配偶者控除と扶養控除のみを考慮してシミュレーションしてみましょう。独身世帯をA世帯、家族持ち世帯をB世帯としたうえで、条件は以下の通りとします。
・納税者本人の合計所得金額:900万円以下
・B世帯の配偶者(40歳)の合計所得金額:20万円
・B世帯の子ども(18歳)の合計所得金額:20万円
上記のケースでは、A世帯の適用控除が基礎控除(58万円)のみなのに対して、B世帯は基礎控除に加え、配偶者控除(38万円)、扶養控除(38万円)が適用されます。
結果、家族持ちのB世帯のほうが独身のA世帯よりも税額が減り、結果として手取り額が多くなっていると考えられます。
同じ年収で手取りに差が出るのは家族構成が関係している
同じ年収を稼いでいても手取り額に差が出る理由として、家族構成の違いからくる控除の有無や額が挙げられます。
配偶者や扶養親族がいる世帯の場合、配偶者(特別)控除や扶養控除などの対象になる分、課税対象額が少なくなり、最終的な手取りは独身世帯より多いと考えられます。
ただし、手取りが独身世帯より多いとしても、世帯人数が多ければ消費支出も増えやすく、自由に使えるお金が相対的に減ってしまうともいえるでしょう。
出典
国税庁 No.1191 配偶者控除
国税庁 No.1195 配偶者特別控除
国税庁 No.1180 扶養控除
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
