2025年の日本企業の「賃上げ率」はどこまで上がった? 大企業・中小・業界別でどれくらい違うのか知りたいです。

配信日: 2025.11.24
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2025年の日本企業の「賃上げ率」はどこまで上がった? 大企業・中小・業界別でどれくらい違うのか知りたいです。
2025年の日本企業の賃上げ率は、ここ数十年で最も注目されているテーマのひとつです。物価高の長期化や人手不足の深刻化など、企業を取り巻く環境が大きく変化する中、企業はどこまで賃金を引き上げたのでしょうか。そして、企業規模や業界ごとにどのような差が生まれたのでしょうか。
 
本記事では、大企業・中小企業・業界別の動向を整理し、2025年の賃上げの姿を立体的に解説します。
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大企業の賃上げ率は5%台に定着し“30年ぶりの高水準”へ

2025年春闘で最も力強い動きを見せたのは大企業です。製造業や情報通信などの分野では業績の底堅さに加え、人材確保の競争が一段と激しくなったことで、企業が賃上げに積極姿勢を示しました。
 
大企業全体の賃上げ率は 平均5%台後半 に達し、鉄鋼、機械、情報通信などでは 6%前後 にのぼりました。これは1990年代以降でほとんど見られなかった高水準です。特に注目されるのは、「ベースアップ(基本給の底上げ)」が中心になってきている点で、一時金や賞与に頼らない“持続的な賃金改善”が広がりつつあります。
 
物価上昇に追いつくだけでなく、人材の流動化が進む中で優秀な人材をつなぎとめるための“攻めの賃上げ”が始まっているともいえます。

 

中小企業は平均4%台でも努力の色濃く、大企業との差は依然残る

一方、中小企業では賃上げの必要性を認識しつつも、その余力には限界があるのが実情です。平均賃上げ率は 4%台前半 と前年より改善したものの、大企業との差は1%以上あります。
 
背景には、原材料費・光熱費の高騰、価格転嫁の難しさ、人手不足による負担増などが挙げられます。特に小規模事業者では、賃上げをしたくても業績に余裕がなく踏み切れないケースが多く、「賃上げした企業」と「賃上げできない企業」に二極化が進んでいます。
 
また、中小企業では基本給を大きく上げるよりも、「賞与増額」や「手当の一時的な上乗せ」で対応する傾向が見られ、持続的な給与上昇には課題が残る状況です。

 

業界別では製造・技術系は賃上げが強く、人手不足業種は慎重

2025年の賃上げ率を業界別に見ると、明確な傾向が出ています。
 

【賃上げが強い業界(5〜6%台)】

・鉄鋼
・機械
・自動車・部品
・化学
・情報通信

 
これらの業界は、グローバル需要の回復やデジタル投資の加速が追い風となり、賃上げ余力が高いのが特徴です。
 

【賃上げが慎重な業界(3〜4%台)】

・小売
・飲食
・介護・福祉
・宿泊・サービス
・建設

 
これらは人手依存型の業界で、人件費が経営を直接圧迫する構造があります。また、価格転嫁が難しいため賃上げに踏み切れない現実があります。
 
産業全体をみると、賃上げの実施率自体は高い一方、賃上げ“率”では大きなばらつきが残り、生産性や市場環境の差がそのまま賃金の差となって表れています。

 

賃上げの波は広がるも、“構造的な格差”が課題に

2025年の賃上げを総合すると、以下のような姿が浮かび上がります。
 

・大企業は5~6%台で高水準の賃上げ
・中小企業は4%前後で努力するも差は残る
・業界によって賃上げ余力の違いが顕著
・ベースアップの動きが広がり、賃金の底上げが進行
・一方で、価格転嫁力の弱い中小・サービス業では限界も

 
今後のポイントは、「賃上げを一過性で終わらせず、企業の収益力と生産性向上をどう両立させるか」です。賃上げの機運が高まる中、その恩恵が企業規模や業界を問わず広がる環境整備が求められています。

 

出典

日本労働組合総連合会 昨年を上回る賃上げ!~2025 春季生活闘争 第 7 回(最終)回答集計結果について~
厚生労働省 令和7年 民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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