私立の法学部から「裁判官」に就職。学費のもとを取れるのは何年後なのでしょうか?

配信日: 2025.11.26
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私立の法学部から「裁判官」に就職。学費のもとを取れるのは何年後なのでしょうか?
「私立の法学部に進んで裁判官を目指したら、学費がとんでもない金額になりそう……」と不安に感じている人もいるのではないでしょうか。実際、私立大学+ロースクールの進学ルートだと教育費は数百万円~1000万円超が現実的です。
 
では、その投資は裁判官として働くことでどれくらいの期間で回収できるのでしょうか。本記事では、最新の給与データをもとに、将来設計のヒントになる数字を整理しました。
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私立大学の法学部と法科大学院にかかる教育費用の実態

まず、私立大学の法学部に4年間通うと、平均学費はおおむね434万円ほどかかります。これは文部科学省の令和5年度のデータに基づく数字です。さらに裁判官を目指す場合、法科大学院(ロースクール)への進学が必要なことが多く、その費用の目安は表1のとおりです。
 
表1

国立 私立
既修者コース(2年間) 約190万円 約300万円前後
未修者コース(3年間) 約270万円 約400万円前後

※筆者作成
 
これらに加え、教科書代や一人暮らしの場合は年間100万円を超える生活費なども計算に入れる必要があります。
 
つまり、進学先や生活スタイルによって幅はあるものの、私立大学の法学部と法科大学院を経て裁判官を目指す場合、学費と生活費を合わせた総コストとして数百万円~1000万円超を見込む必要があると考えられます。
 

裁判官の初任給と年収の推移、学費回収にかかる期間は?

次に、裁判官としての収入についてです。裁判官の報酬月額は等級によって決まり、段階的に昇給します。新人裁判官にあたる判事補は12号から始まり、加算手当を含めると月額報酬は約32万円です。これにボーナスが加わり、ボーナス額は民間企業の水準を参考に決定されます。
 
このことから、判事補の初年度の年収はボーナスを含めて500万円ほどになる見込みです。40代頃に判事として中位の等級に昇任した場合には、年収が1000万円を超える水準に達することも多く、経験年数に応じて比較的安定的に昇給していく給与体系になっています。
 
これらの数字を踏まえ、私立大学と法科大学院にかかる学費の合計を1000万円と仮定すると、裁判官の道に進んだ場合、年収ベースではおおよそ2年後には学費のもとが取れる計算になります。
 
実際には税・社会保険料や生活費の負担があるため、現実的な意味で学費を回収するには、より長い期間が必要になる点には留意が必要です。
 

弁護士や民間企業との比較:裁判官キャリアの特徴と費用対効果

裁判官のキャリアについて、弁護士や民間企業の就職と比較してみましょう。弁護士の平均年収は約765万円ですが、裁判官とは異なり確実に昇給する仕組みはなく、報酬が非常に変動しやすいのが実情です。
 
一方、裁判官は報酬が法律で保障されており、安定収入と福利厚生が充実している傾向にあります。
 
また、民間企業と比べても裁判官は収入の安定性や社会的地位が魅力です。教育投資の回収後も長期間安定した収入を得られ、社会的貢献度も高いため、費用対効果が非常に高いキャリアパスといえます。
 

裁判官という仕事の魅力と将来展望

裁判官の給与体系はその職務の重責や独立性を守るために設けられており、職業として非常に高い社会的意義があります。裁判官になるのは難関ですが、そのプロセスを踏むことで得られる安定感や職業的誇りは大きな魅力です。
 
学費を回収できるまでの期間は比較的短く、費用対効果も優れているため、長期的に見た際の満足度や自己実現の手段として価値のある選択肢といえます。
 
私立大学法学部から裁判官を目指す方は、教育投資の回収だけでなく、キャリアを通じた安定性や社会的使命感も考慮に入れて自分の道を選ぶことが重要です。
 

出典

文部科学省 令和5年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金等 平均額(定員1人当たり)の調査結果について 令和5年度私立大学入学者に係る初年度学生納付金等平均額(定員1人当たり)(2ページ)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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