30代前半で家を購入するのは普通? 大学時代の同級生がぞくぞくと結婚し、家を購入していることに焦ります。自分は年収450万円の独身ですが、平均と比べて少ないのでしょうか?
本記事では、こうしたよくある悩みを入り口にしながら、実際のデータや考え方をもとに、30代前半の住宅購入の現実を分かりやすく解説します。
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30代前半で家を買う人はどれくらいいる?
住宅金融支援機構が公表している「フラット35利用者調査」によると、住宅取得者の平均年齢が40代半ばであることや、30代前半の取得割合が一定数に留まることが示されています。
住宅購入の平均年齢を見ると、30代前半が多数派というわけではありません。住宅金融支援機構の調査では、住宅を取得した人の平均年齢は40代半ばで、30代前半が占める割合は全体の中では限定的です。
とはいえ、30代前半で家を買う人が少ないわけではなく、一定数は存在します。仕事が安定し、収入が上がりはじめる時期であり、結婚や子育てを意識するタイミングと重なる人が多いためです。
たまたま身近な人が早く家を購入しているだけのケースも多く、全体データと比較すると見え方は大きく変わります。こうした背景を知ることで、「みんな買っているから、買うべきなのかも」という焦りをいったん落ち着いて整理できます。
年収450万円は平均と比べて低い?データから客観的に整理する
国税庁「民間給与実態統計調査」によると、30〜34歳の平均年収がおよそ470万円前後であることが示されています。
業種・勤務形態・地域などに左右されるため個人差は大きいものの、年収450万円はこの年代ではほぼ平均的な水準であり、特別低い水準とはいえません。
また、中央値の視点も重要です。統計では、極端に高収入の人が平均値を押し上げるため、実際の真ん中の人である中央値の方が生活実感に近いことがあります。30代前半の中央値は平均値よりやや低くなる傾向があるため、年収450万円は中央値と比較するとむしろやや高めに入る可能性もあります。
つまり、「友人が家を買っている=自分が遅れている」「年収450万円=平均以下」という解釈は必ずしも当てはまりません。家を買うかどうかは収入だけでなく、結婚の有無、将来設計、貯蓄状況、家庭事情などが大きく影響します。そのため、友人が家を買っているからといって、焦る必要はないでしょう。
30代前半の約6割が将来に不安を感じる理由とは?
内閣府「国民生活に関する世論調査(令和5年)」の調査では、30代の約6割が将来に不安を感じていると回答しています。30代前半は、周囲の環境が大きく変わりやすい時期といえます。結婚、出産、転職、昇進、住宅購入など、人生の節目に触れる機会が急に増えるため、自分の状況と比べて気持ちが揺れやすくなります。
ここで大切なのは、必要以上に焦らないことです。人は周囲が大きな決断をしていると、自分も何か行動しなければならないように錯覚してしまうことがありますが、自分の歩みたい人生を決断していくことが将来の幸せにつながります。
また、SNSや友人の話を通じて成功例ばかりが耳に入りやすいことも、焦りにつながる一因です。実際には、30代前半で年収やキャリアが安定していない人も多く、状況は人それぞれです。ところが、表には出てくるのは「結婚した」「家を買った」「昇進した」といった分かりやすい成果ばかりであるため、自分だけ取り残されているように感じるられるのです。
まとめ
30代前半で家を購入する人は一定数いるものの、全体で見ると必ずしも多数派ではありません。また、年収450万円という水準でも、条件を整えれば住宅購入は十分に可能です。ただし、返済負担が生活に重くのしかからないよう、慎重な資金設計が必要になります。
その中でも住宅購入は自分の人生に合わせて考えるべきテーマです。焦って急いで決めるよりも、まず情報を整理し、自分の収入・貯蓄・将来の希望を確認することが何より大切です。
将来の不安を減らすためにも、住宅ローンの事前相談を受けたり、家計の見直しを進めたりといった小さな準備から始めると、より前向きに判断できるようになります。自分にとって無理のない選択を積み重ねながら、納得のいく住まいのあり方を見つけていきましょう。
出典
住宅金融支援機構 フラット35利用者調査 2024年度 調査結果データ
国税庁 令和5年分 民間給与実態統計調査
内閣府 国民生活に関する世論調査(令和5年11月調査)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
