40歳会社員、なぜか手取りが「29万→28.7万円」に下がっていました。残業時間も“先月と同じ”なので、これって会社の「計算ミス」ですよね? 意外と気付かない“引かれるお金”とは
本記事では、介護保険料の仕組みや、どのくらい手取り額に影響するのかを解説します。
FP2級、日商簿記3級、管理栄養士
40歳になると手取りが減るのはなぜ?
日本では、介護が必要な人を社会全体で支える仕組みとして介護保険制度が設けられています。この制度では、年齢によって以下のように対象者を区分しています。
・65歳以上の人:第1号被保険者
・40~64歳の人:第2号被保険者
第2号被保険者となる40歳を迎えると、要介護認定(一定の要件あり)を受けた場合に介護サービスが受けられるようになる代わりに、介護保険料の負担が始まります。
注意したいのは徴収が始まるタイミングです。制度上は「40歳の誕生日の前日が含まれる月」から40歳として扱われ、介護保険料の徴収が始まります。具体的な例で見てみましょう。
・11月15日生まれの人:誕生日の前日にあたる日が11月14日となるため、11月の給与から徴収
・11月1日生まれの人:誕生日の前日にあたる日が10月31日となるため、10月の給与から徴収
各月の1日生まれの人は、本人の感覚ではまだ39歳でも、制度の仕組みによって介護保険料の徴収が始まるため、手取り額が減るタイミングに注意が必要です。
介護保険料はいくらかかる?
個人が負担する介護保険料は、給与および賞与額に対して、加入している健康保険組合の定める保険料率をかけた額を、原則として会社と個人で折半して算出します。このため、個人が負担する月々の介護保険料は、給与額や加入している健康保険組合が設定する保険料率によって異なります。
例えば、標準報酬月額37万円(手取り額で約29万円)で、協会けんぽ(介護保険料率1.6%前後)に加入する人であれば、介護保険料の個人負担額は3000円程度となり、タイトルにあるような手取り額の変化は十分に起こり得ます。
介護保険料は、給与明細では多くの場合「健康保険料」の項目に、健康保険料と介護保険料を合算した金額が記載されるため、徴収が始まっても気づきにくいケースがあります。手取りが変わったように感じたときは、誕生日月より前の月の健康保険料と比較してみましょう。
40歳から介護保険料が引かれることを知っておこう
40歳になると、残業時間が変わっていないのに手取り額が減ったように感じるケースが出やすい時期です。その理由として、介護保険料の徴収が開始され、健康保険料に上乗せされる形で天引きされはじめたことが考えられます。
しかも、介護保険料は給与明細上で独立した項目として表示されず、健康保険料に含まれる形で記載されるケースが多く、徴収が始まったことに気付きにくい点が特徴です。
40歳前後で「手取り額が下がったな」と思ったら、誕生日月より前の月の給与明細に記載されている健康保険料と比較し、介護保険料の徴収開始による影響かどうかを確認できます。40歳からは介護保険料が引かれるということを覚えておいて、家計管理に活かしましょう。
出典
厚生労働省 介護保険制度について(40歳になられた方へ)
全国健康保険協会 茨城支部 介護保険制度と介護保険料について
全国健康保険協会 協会けんぽの介護保険料率について
執筆者 : 東雲悠太
FP2級、日商簿記3級、管理栄養士
