国家公務員の冬のボーナスは民間企業の1.5倍以上!? そもそも国家公務員のボーナスってどうやって決められてるの?

配信日: 2025.12.05
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国家公務員の冬のボーナスは民間企業の1.5倍以上!? そもそも国家公務員のボーナスってどうやって決められてるの?
年末が近づくと話題に上るのが「冬のボーナス」ではないでしょうか。なかでも国家公務員の支給額がニュースなどで取り上げられると、「民間より多いのでは?」といった声も聞かれます。
 
実際に、2024年(令和6年)における国家公務員の冬のボーナス平均支給額は約65万円で、民間平均(約41万円)と比べて1.5倍以上の差があります。では、国家公務員のボーナスはどうやって決まっているのでしょうか?
 
この記事では、その仕組みや根拠について、民間との違いを踏まえて解説します。
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国家公務員のボーナスは「法律」と「人事院勧告」で決まる

民間企業におけるボーナスは、企業の業績や会社ごとの就業規則などに基づき、会社の裁量で支給されます。一方、国家公務員のボーナス(期末・勤勉手当)は、「一般職の職員の給与に関する法律(給与法)」に基づいて支給される、法律上定められた手当です。
 
その年の支給割合は、原則として毎年人事院が出す「人事院勧告」をもとに決定されます。この勧告は、国家公務員の給与が民間の給与水準と大きく乖離(かいり)しないよう調整することを目的としており、民間の給与動向を踏まえて行われます。
 
例えば、2024年度の人事院勧告では、期末・勤勉手当(ボーナス)の年間支給月数を4.50月分から4.60月分へと引き上げることが示されました。この勧告に基づき、給与法が改正され、実際の支給額に反映されるという仕組みです。
 

民間のボーナスと比べてどれくらい多い?

厚生労働省が発表した「毎月勤労統計調査 令和7年2月分結果速報等」では、2024年冬の民間企業におけるボーナス(賞与)の平均額は、調査産業計で41万3277円となっています。
 
一方、内閣官房内閣人事局が発表した資料によると、同じ年の一般職国家公務員(管理職を除く行政職職員)の平均支給額(成績標準者)は約65万2800円です。この数値を比較すると、国家公務員の支給額は民間平均のおよそ1.58倍に相当します。
 
もちろん、民間平均は産業や企業規模を問わず集計された数字であり、賞与制度の有無や支給額は会社によって大きく異なります。一方、国家公務員の給与は原則として全国一律で支給され、民間と異なり景気や業績に左右されにくいという特徴があります。
 

ボーナス制度の違いをどう捉えるべきか?

国家公務員のボーナス制度は、「民間との均衡」を基本としつつも、法律に基づいた仕組みのもとで安定的に運用されています。そのため、支給額は一律に見えるかもしれませんが、実際には「勤勉手当」によって勤務成績が反映されるなど、一定の評価制度も取り入れられています。
 
一方で、民間企業では業績連動型の賞与が主流であり、景気や業績によって支給額が大きく変動する点が特徴です。つまり、国家公務員と民間ではボーナスの性質や位置づけそのものが異なるといえます。
 
また、前述の通り、国家公務員のボーナスは人事院による調査・勧告に基づいて毎年調整されており、これまでも民間の給与動向を反映した改定が行われてきました。これは、公務員制度の透明性と公平性を保つための取り組みのひとつともいえるでしょう。
 

まとめ

国家公務員のボーナスは、法律と人事院勧告に基づいて決定されるものであり、民間企業のように会社の業績などによって大きく増減するわけではありません。2024年の冬のボーナスは、民間平均と比べて約1.6倍と高水準ですが、これは一時的な増額というよりも、継続的な給与水準の調整の結果といえます。
 
国家公務員のボーナスは、民間と比べて高水準といわれることがありますが、背景には法制度や民間との均衡を重視した人事院勧告の仕組みがあります。支給額だけを単純に比較するのではなく、制度の違いや背景にある意図を理解することで、より公平な視点を持つことができるでしょう。
 

出典

厚生労働省 毎月勤労統計調査 令和7年2月分結果速報等<特別集計>令和6年年末賞与(一人平均)
内閣官房内閣人事局 令和6年12月期の期末・勤勉手当を国家公務員に支給(1ページ)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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