私の会社は「ボーナス」が“年100万円”支給されます。中小企業の中では「勝ち組」ですか? 夏・冬「50万円ずつ」は恵まれているでしょうか? 統計データから“平均ボーナス額”を確認
本記事では、厚生労働省などの統計データから、年間100万円という支給額が客観的に見て「勝ち組」と呼べるのかを検証します。また、安定して高いボーナスを出し続けられる優良企業の特徴も解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
中小企業のボーナス平均額はいくら?
まずは、データから「中小企業のボーナス平均額」を確認してみましょう。厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」の企業規模では、常用労働者1000人以上を「大企業」、100~999人を「中企業」、10~99人を「小企業」としています。
厚生労働省の「毎月勤労統計調査」、2024年冬季賞与および2025年夏季賞与の平均額は図表1のとおりです。合計して「年間の賞与平均額」として算出します。
図表1
| 事業所規模 | 2024年冬季賞与の平均額 | 2025年夏季賞与の平均額 | 年間の賞与平均額 |
|---|---|---|---|
| 5人~29人 | 28万8765円 | 28万3954円 | 57万2719円 |
| 30人~99人 | 37万2528円 | 37万8351円 | 75万0879円 |
| 100人~499人 | 48万7580円 | 47万9695円 | 96万7275円 |
| 400人~999人 | 54万1830円 | 58万7375円 | 112万9205円 |
厚生労働省 毎月勤労統計調査 夏季賞与2025年、年末賞与2024年をもとに筆者作成
このデータより、従業員数が500人未満の中小企業において、1回あたり50万円(年間100万円)のボーナス支給額は、平均を上回っていることが分かります。特に100人未満の規模の会社であれば、平均より25万~40万円も多くもらっている計算になります。
年間100万円は「勝ち組」と言えるのか?
中小企業に限った場合、年間100万円のボーナスは、「上位クラス(勝ち組)」といって差し支えありません。年間100万円という額は、100人~499人規模の中堅企業の平均(約94万円)も上回っており、一部の大企業の平均的な金額に近い数字です。
ただし、企業の規模が大きくなるにつれて、賞与額の平均値は100万円を超える傾向があります。
一方、厚生労働省「毎月勤労統計調査 2025(令和7)年9月分結果速報等」によると、そもそも夏季賞与が支払われたのは全体の「73.4%」であり、約3割の企業ではボーナスが「ゼロ」です。夏・冬欠かさず50万円ずつ出せることは、企業として安定しているといえるでしょう。
注意点
ボーナスが高い場合は、「基本給が極端に低い」設定になっていないかの確認が必要です。残業代や将来の年金額は「基本給」をベースに計算されるため、トータルの年収バランスで見るようにしましょう。
また、「額面と手取りの差」があります。ボーナスからは社会保険料や所得税が差し引かれるため、年間100万円であっても実際に口座に振り込まれるのは約80万円前後となるのが一般的です。
高いボーナスを出し続ける「優良中小企業」の特徴
中小企業でありながら、安定して年間100万円クラスのボーナスを出せる会社には、共通する特徴がいくつもあります。
独自の技術や特許を持ち、価格競争に巻き込まれないニッチ分野で高いシェアを持つ「強い商売」をしています。利益率が高く、従業員に還元する余裕があるため、ボーナスが高い傾向です。
また、強固な財務体質(無借金経営など)、銀行への返済や利息負担が少ない会社は、稼いだ利益をダイレクトに賞与へ回すことができます。
経営者が「社員の定着こそが利益の源泉」と考えて人材への投資意識が高い場合、大企業に引けをとらない待遇を用意することで優秀な人材を引き止めようとしています。
また、BtoB(企業間取引)で安定した販路があると景気の波を直接受けにくいため、安定した取引先を持っているケースが多いでしょう。
ボーナス100万円「恵まれている」といえる水準
年間100万円のボーナスを受け取っている場合、中小企業の労働者全体の中で見れば、上位の「勝ち組」層に位置しているといえるでしょう。
もし「今の会社でこのまま頑張るべきか」と考えているのであれば、このボーナス水準は現在の会社があなたを高く評価し、かつ会社自体が健全な利益を出せている指標の1つと考えられるでしょう。
出典
厚生労働省 毎月勤労統計調査(全国調査・地方調査):結果の概要
厚生労働省 毎月勤労統計調査 2025(令和7)年9月分結果速報等
厚生労働省 毎月勤労統計調査 全国調査 夏季賞与 2025年
厚生労働省 毎月勤労統計調査 全国調査 年末賞与 2024年
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
