実家の両親に「兄は大手企業で年収1000万円なのに」と比べられます。私は小学校教員で「年収600万円」ですが、そこまで“低収入”でもないし、気にする必要ないですよね…?
しかし「大手企業=高収入、教員=低収入」とは一概にいえません。教員の年収は、都道府県や年代、勤務校、残業代の扱い、各種手当によって異なります。
本記事では、小学校教員の年収の特徴や大手企業との違いを、データを踏まえて分かりやすく解説します。
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
目次
「年収1000万円」と「年収600万円」はそんなに差があるのか
年収1000万円と600万円、数字だけを比較すると大きな差があると感じられます。しかし、ここで注意したいのは、どの年代・どの立場の年収で比較しているのかということです。
一般に年収1000万円に到達する人は、日本全体の少数派となります。国税庁の「令和6年分 民間給与実態統計調査」によると、年収1000万円超の給与所得者は全体の6.2%程度にとどまります。一方、年収600万円以上の給与所得者は、同調査で全体の24.9%となっています。
小学校教員の年収はどう決まる?
公立小学校教員の給与は、民間企業のように成果給や業績連動で決まるものではなく、地方公務員として各自治体が定める給与表(給料表)に基づいて決まります。自治体によって異なる点もありますが、公立小学校教員の年収は以下の要素で構成されています。
・基本給(号給)
・教職調整額
・地域手当
・扶養手当、住居手当
・期末・勤勉手当(いわゆるボーナス)
「小学校教員は低収入」というイメージが生まれる理由
小学校教員の年収が低く見られがちな理由は、いくつかあります。まず、長時間労働のイメージと、給特法第3条第2項により残業代が原則として支給されない点です。
残業代にあたる金額は教職調整額として一律支給されているため、長時間労働の実態が収入に反映されにくく、「働き損」の印象を持たれやすくなっています。
また、民間企業のように成果による年収の跳ね上がりがないため、「夢がない」「伸びない」と見られることもあります。しかし、裏を返せば、景気や業績に左右されにくく、安定した収入が得られる職業といえるでしょう。
大手企業で年収1000万円の兄と何が違うのか
今回の事例に目を向けてみましょう。大手企業で年収1000万円に到達する人の多くは、管理職や専門職として高い成果を求められる立場にあります。このため、以下のようなリスクも背負っています。
・長時間労働
・転勤や海外赴任
・成果未達による評価低下や降格
小学校教員は収入の急上昇は見込みにくいものの、雇用の安定性・退職金・年金の手厚さといった長期的な安心感があります。生涯賃金や老後資金まで含めて考えると、単純な年収比較では測れない安定した価値があるといえるでしょう。
年収600万円は「低い」のではなく、仕事の性質が違うと考える
年収600万円の小学校教員と年収1000万円の大手企業社員は、仕事内容も立場も責任の重さも異なるため、単純に比較することができず、どちらが上・下という関係でもありません。仕事の性質が大きく異なります。
・教員:安定型、将来予測がしやすい
・大手企業:成果型、上下の振れ幅が大きく、リスクがある
生活設計や価値観によって、どちらが「良い」と感じるかは、希望する人生設計や個人の性格によって変わります。
比べるべきは「きょうだい」ではなく「自分の暮らし」
帰省の場では、身近な親族からきょうだいと比べられるシーンもあるかもしれません。しかし、比べるべき対象があるとするならば、きょうだいの年収ではなく、同じ職種に就く同世代と比較して、自分の家計がうまく回っているかどうかではないでしょうか。
・住宅ローンや教育費を無理なく支払うことができているか
・将来への貯蓄を計画通りに遂行できているか
・現在の職種や働き方、収入などに納得できているか
これらが満たされていれば、年収600万円は決して「低い」と悲観する水準ではないでしょう。
数字の大小より「納得できる働き方」を基準にしましょう
親しい親族などから大手企業で年収1000万円を稼ぐきょうだいと比べられると、どうしても自分が見劣りするように感じてしまうかもしれません。
しかし、小学校教員で年収600万円という水準は、全国的に見ても安定した収入と言えます。年収額だけで優劣を決めるのではなく、生活の安定性や将来の安心感まで含めて考えることが、将来に向けて後悔しないお金との向き合い方といえるでしょう。
出典
国税庁 令和6年分 民間給与実態統計調査-調査結果報告-
執筆者 : 上嶋勝也
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
