来年度から「年俸制」に変わると言われました。確かに年収としては同じですが、ボーナスあり・なしで税金は変わるのでしょうか?

配信日: 2026.04.03
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来年度から「年俸制」に変わると言われました。確かに年収としては同じですが、ボーナスあり・なしで税金は変わるのでしょうか?
会社から「来年度から年俸制になる」と説明を受けると、「ボーナスがなくなると税金が増えるのでは?」と不安になる人もいるでしょう。実際には、給与の支払い方法が変わるだけで、年収の総額が同じであれば所得税や住民税の負担は基本的に変わりません。
 
ただし、税金の計算方法や社会保険料の扱いによって、月々の手取りの見え方が変わることがあります。本記事では、年俸制とボーナス制の違いと税金や社会保険料への影響を解説します。
柴沼直美

CFP(R)認定者

大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
http://www.caripri.com

年俸制とは何か

年俸制とは給与制度の一種で、税制上の特別な扱いがあるわけではありません。
 
年俸制は、1年間の給与総額(年俸)をあらかじめ決め、その金額を12回または16回などに分けて支払う制度です。ボーナスを含めて年収を設定する企業もあれば、ボーナスを別途支給する企業もあります。税金の計算上、給与は「給与所得」として扱われます。
 
給与所得とは、「俸給、給料、賃金、賞与などの所得」を指します。つまり、月給でも賞与でも同じ給与所得として課税される仕組みです。年俸制かどうかは税金の種類を変えるものではなく、あくまで給与の支払い方の違いです。
 

年収が同じなら所得税は基本的に大きく変わらない

所得税は、「年間の所得」に対して課税される仕組みです。「1年間の給与収入から給与所得控除などを差し引いた所得」に税率を掛けて計算されます。
 
そのため、「年収600万円(40万円×12とボーナス120万円)」「年収600万円(年俸制50万円×12でボーナスなし)」という場合、この2つは年収の総額が同じなら所得税の計算結果も基本的に同じです。
 
違いが発生するのは、社会保険料です。ボーナスなしの月50万円×12の場合は、計算の基準が標準報酬月額「50万円」1本であるのに対して、ボーナス120万円プラス月給40万円×12の場合は、計算の基準が標準報酬月額「40万円」と別途賞与120万円の2本ですから、給与+賞与のほうが保険料負担は大きくなります。
 

住民税も「前年の所得」で決まる

住民税についても、給与の支払い方法によって変わるわけではありません。住民税は前年の所得をもとに計算され、翌年に課税される仕組みです。
 
個人住民税は、「前年の所得金額をもとに課税される地方税」です。そのため、支払い方法が違っても住民税の税額に直接影響しません。前年の所得が同じであれば、住民税も同じ金額です。
 

社会保険料が変わる

税金は基本的に変わりませんが、社会保険料(健康保険料と厚生年金保険料)では違いが出てきます。社会保険料の計算の基準は、標準報酬月額(=月給ベース)と標準賞与額(=ボーナスベース)です。
 
今回、東京都の保険料額表(令和8年度)を使用してみましょう(健康保険料率 9.85%、介護保険なし、厚生年金 18.3% の折半=9.15%)
 

■ケース1. 月給50万円(賞与なし)

・標準報酬月額
50万円等級30(標準報酬月額 50万円)
 
・月額の本人負担
健康保険:50万円 × 9.85% = 4万9250円
厚生年金:50万円 × 9.15% = 4万5750円
・年間 約114万円

 

■ケース2. 月給40万円+賞与120万円

・標準報酬月額
40万円 → 等級27(標準報酬月額 41万円)
 
・月額の本人負担
健康保険:41万円 × 9.85% = 4万385円
厚生年金:41万円 × 9.15% = 3万7515円
 
年間は93万4800円
 
別途、賞与120万円に対して
健康保険:120万円 × 9.85% = 11万8200円
厚生年金:120万円 × 9.15% = 10万9800円
・賞与分合計 22万8,000円

 
116万2800円となり、ケース1に比べて2万2800円の社会保険料負担増という計算結果が出ました。
 

手取りの違い

簡単化のために、年収600万円で扶養なし、標準的な控除を想定すると、図表1とおりです。
 
図表1

1.50万円×12
年俸制
2.40万円×12+120万円
月給プラス賞与
年収 600万円 600万円
給与所得控除 164万円 164万円
給与所得 436万円 436万円
基礎控除 68万円 68万円
社会保険料 114万円 116万2800円
雇用保険 3万3000円 3万3000円
課税所得 250万7000円 248万4200円
10% 10% 10%
税額控除 9万7500円 9万7500円
所得税 15万3200円 15万920円
住民税(想定) 30万円 30万円
手取り 273万3800円 271万3280円

(筆者作成)
 
住民税については、簡単化のため、扶養なし、標準的な控除を想定し、約30万円と想定します。所得税・住民税・社会保険料を控除した手取りは、「1」が273万3800円、「2」が271万3280円で、賞与なしの年俸制が約2万円多いという結果になりました。
 

まとめ

年俸制に変わっても、年収の総額が同じであれば、所得税や住民税の負担や手取りはそれほど大きくは変わりません。給与は月給や賞与に関係なく、「給与所得」として課税されるためです。
 
ただし、給与の配分が変わることで月々の社会保険料などが変わり手取りが若干変わるような試算結果になりました。
 
年俸制への変更時は、税金の違いだけでなく、社会保険料を含めた手取り額の変化まで確認しておきましょう。
 

出典

全国健康保険協会(協会けんぽ) 令和8年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表
 
執筆者 : 柴沼直美
CFP(R)認定者

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