月給が「24万→25万円」の“1万円”アップ! なのに“等級の壁”のせいで、増えた手取りは「たった6000円」だけ…税金・保険料はいくら引かれてる? 金額をシミュレーション
しかし、振り込まれた金額を見てみると、思ったほど増えていないことに気づくことがあります。額面では確かに1万円増えているのに、手取り額がそれほど伸びていない理由の1つが、社会保険料の計算に用いられる「標準報酬月額」という仕組みです。
本記事では、月給が24万円から25万円に上がったケースを例に、「等級の壁」によって手取りの増加が抑えられる理由を解説します。
2級ファイナンシャルプランナー技能士
「等級の壁」とはどういう仕組みなのか
東京都で協会けんぽに加入している40歳未満の人の場合、23万円以上25万円未満の給与は「19等級(標準報酬月額24万円)」に該当します。しかし、給与が25万円に達すると、1つ上の「20等級(標準報酬月額26万円)」へとランクアップします。
わずか1万円の昇給であっても、この等級の境界線をまたいでしまうと、社会保険料の算出基礎となる金額が2万円分(24万円から26万円へ)引き上げられます。これが、手取り額が思ったように増えない大きな要因です。
「1万円アップ」で手取りはいくら増える?
実際にシミュレーションしてみましょう。
・健康保険料:1万1820円
・厚生年金保険料:2万1960円
・雇用保険料:1440円
・所得税・住民税(概算):約1万5000円
・手取り額:約18万9780円
・健康保険料:1万2805円(約1000円アップ)
・厚生年金保険料:2万3790円(約1800円アップ)
・雇用保険料:1500円(60円アップ)
・所得税・住民税(概算):約1万5400円(約400円アップ)
・手取り額:約19万6505円
額面は1万円増えたものの、社会保険料と税金の合計負担額が約3260円増えた結果、実際に増えた手取り額は「約6725円」にとどまります。1万円の昇給でも、手元に残るのはおよそ6000円台というわけです。
等級が変わるタイミングは2つある
等級が見直されるケースは、主に2つあります。1つは、毎年4月から6月の給与を平均して決める「定時決定(算定基礎)」です。この期間にベースアップと残業が重なると、平均額が押し上げられて10月以降の等級が高くなるケースもあります。
もう1つは、固定賃金に変動があり、3ヶ月の平均額がこれまでの等級から「2等級以上」変わった場合に行われる「随時改定(月変)」です。
どちらのケースでも、昇給によってギリギリ上の等級に入ってしまうと、保険料の増加分に対して手取りの増加が少ない「等級の壁」のもどかしさを感じやすくなります。
等級が上がることで得られるメリットもある
等級が上がることは、負担が増えるだけではありません。プラスの側面も知っておきましょう。
将来の年金額が増える
厚生年金保険料を多く納めることは、将来受け取る「老齢厚生年金」の受給額を増やすことに直結します。
傷病手当金や出産手当金が手厚くなる
病気やけがで働けなくなった際の「傷病手当金」などは、標準報酬月額をもとに支給額が計算されます。等級が上がっていれば、万一の際の保障も厚くなります。
まとめ
月給が24万円から25万円に上がっても手取りの増加が約6000円にとどまるのは、社会保険料の等級制度による「壁」が影響しているためです。額面と手取りのギャップに戸惑うこともあるかもしれませんが、それは将来の年金増加や保障の充実に向けた積み立てが増えているとも言い換えられます。
給与明細を確認する際は、手取り額だけでなく控除項目の意味も正しく理解して、前向きに家計管理に取り組んでいきましょう。
出典
全国健康保険協会 令和8年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京支部)
日本年金機構 厚生年金保険の保険料
執筆者 : 高橋祐太
2級ファイナンシャルプランナー技能士
