息子が就職して初めて給与明細を見たところ、「健康保険」と「厚生年金」でかなり引かれていました。本人は「こんなに払う必要あるの?」と言うのですが、新社会人の負担は普通でしょうか?
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者
東京都出身。2008年慶應義塾大学商学部卒業後、三菱UFJメリルリンチPB証券株式会社に入社。
富裕層向け資産運用業務に従事した後、米国ボストンにおいて、ファイナンシャルプランナーとして活動。現在は日本東京において、資産運用・保険・税制等、多様なテーマについて、金融記事の執筆活動を行っています
http://fp.shitanaka.com/”
給与から天引きされるもの
まずは、新社会人の給与から天引きされる項目についてチェックしていきます。天引きされる主なお金は、以下の通りです。
・健康保険料
・厚生年金保険料
・雇用保険料
・所得税
・住民税(通常は2年目から)
健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料は、3つを合わせて社会保険料と呼ばれています。また、所得税と住民税は、税金となります。
健康保険料、厚生年金保険料の2つは会社と本人が折半で支払い、雇用保険料は会社と本人の双方が、会社側のほうが多い割合で負担します。一方、税金は、全額本人が負担する必要があります。
さらに、会社によっては、労働組合費や、社員旅行の積立費用、社宅費用などが天引きされるケースもあります。
いくら天引きされるの?
次に、天引きされる金額について確認していきます。それぞれの負担額は、支払われる給与の金額などによって決められています。本章では、月の給与(額面)が25万円で、扶養する人がいない場合を例に、それぞれの負担額をご紹介します。
まず、社会保険料です。健康保険料は、会社で加入している健康保険の保険料率と給与額をもとに決まる標準報酬月額によって決まり、月1万2000円くらいになります。厚生年金保険料は約2万3000円、雇用保険料は約1500円となり、社会保険料の負担額は、月3万5000~4万円になるのが一般的です。
健康保険料は毎月の給与の5%くらい、厚生年金保険料は9%くらいで、社会保険料は、毎月の給与の14%前後が天引きされると覚えておきましょう。
次に、税金についてです。所得税は、所得の金額に応じて、5~45%のなかで変わる累進課税制度となっています。月の給与が25万円の人の場合、1ヶ月の所得税は、約4000~6000円となります。また、入社1年目の場合、住民税の負担はありません。2年目から、住民税の支払いをする必要があります。
天引きされるのが嫌! 逃れられる方法ってある?
残念ながら、給与から社会保険料や税金が天引きされるのを逃れる方法はありません。社会保険料や税金は、国民が負担しなければならないものなので、必ず払わなければなりません。
天引きされるのが嫌だと感じる人もいるようですが、逆に、会社がまとめて代わりに払ってくれていると思えば、支払い手続きの手間が省けているといえます。
そして、天引きによって社会保険料や税金を滞納するリスクを防げることで、健康保険を安心して利用することができたり、将来年金を受け取ったりすることが可能です。天引きはお金が引かれている制度である一方で、私たちの払い忘れや払い漏れを防いでくれている制度だといえます。
また、健康保険料や年金保険料などの社会保険料を正しく漏れなく集めることができているので、日本では、社会保障制度が健全に運営されています。
万が一のときに利用ができる社会保険制度は、私たちの生活を支える最低限のライフラインです。天引きで損をしているという気持ちになるのではなく、自分の生活を支える制度に支払っているという考えを持つと、負担感が減るかもしれません。
まとめ
初任給の場合、社会保険料や税金が天引きされ、受け取れる手取り額は、額面の約80~85%となります。手取りが少ないとがっかりするかもしれませんが、その内訳を知ると、より納得するのではないでしょうか。今回ご紹介した内容を参考にしながら、給与明細書をチェックし、天引きされる項目と金額を確認してみましょう。
執筆者 : 下中英恵
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者

