更新日: 2021.11.15 相続税

税制改正で相続税・贈与税はどうなる? 今のうちに生前贈与を始めておくべき?

執筆者 : 柘植輝

税制改正で相続税・贈与税はどうなる? 今のうちに生前贈与を始めておくべき?
毎年行われる税制の改正。もちろん、来たる令和4年にも何らかの税制改正が行われることでしょう。その中で相続税や贈与税についての見直しや改正が実施され、現在よりも税負担が重くなる可能性もあります。
 
相続税や贈与税は今後どうなっていくのでしょうか。先を見越し、生前贈与は早い段階で行っておくべきなのでしょうか。令和3年度の税制改正大綱を参考に考えていきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

今後の税制はどうなっていく?

今後の税制、特に令和4年度の税制がどうなるかは、まだ決まっていませんが、令和3年度の税制改正の基本的な考え方について見ていくと、今後の方向性も推測していくことができます。
 
令和3年度の税制改正においては相続税と贈与税の今後について、諸外国の制度を参考にしつつ、高齢世代の資産の若年世代への移転時期のタイミングを早め、かつ、相続税と贈与税をより一体的に捉えて課税する観点から、格差の固定化の防止にも注意しながら相続時精算課税制度と暦年贈与のあり方を見直すといった旨の記載があります。
 
この点を踏まえると、富裕層が長い時間をかけて節税ができる暦年贈与は縮小していき、代わりに相続税精算課税制度が前面に押し出されるような税制になっていくだろうと推測されます。
 
ただ、突然がらりと税制の内容が変わるというのではなく、現在の制度との公平性を図るため、徐々に変化していくことと思われます。
 

今のうちに生前贈与を始めておくべき?

相続税の節税という観点からいえば、今のうちから生前贈与を始めておくべきだといえます。
 
現行制度においては、特別な手続きをせずとも暦年贈与によって毎年、年間110万円までの贈与は贈与税が非課税となり、贈与から3年経過後に相続が発生すれば贈与分は相続税の対象から外れることから、生前贈与は早く始めれば始めるほど節税効果が見込めるともいえます。
 
それに対して相続時精算課税制度では、贈与で非課税となる金額は2500万円までとされていますし、相続が発生すれば、結局は贈与された財産は相続財産に組み入れて相続税を計算します。
 
そのため、相続税が発生する可能性がある点を考えると、いかに早期に暦年贈与をしておくべきか、ご理解いただけることでしょう。
 
また、将来的に税制に変更があったとしても、基本的に過去にさかのぼって改正の内容が適用されることは考えにくいため、現在の税制に沿って節税しておけば影響が少ないだろうと推測できる点も理由の1つです。
 
税制の改正の方向性を踏まえて考えていくと、今後、相続税と贈与税については現在よりも節税について厳しくなっていくことが想定されます。
 
特に暦年贈与については突然廃止とまではならなくても、何かしら条件が付与されたり、相続前3年以内に行われた贈与を相続財産に組み入れるという期間が、5年以内や10年以内へと広げられる可能性は十分にあることも頭の片隅に置いておくべきでしょう。
 

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節税方法を考えておくことも大切

相続税を節税するための方法は、暦年贈与のほかにも多くあります。生命保険を活用したり、金銭を相続税の算定時の評価額が安くなるような不動産に変えておき、相続を機に子名義に換えるなどが代表例です。
 
生前贈与による相続税と贈与税の節税について厳しいものとなってもいいように、他の方法でも対策をしておくと、いざ税制に変更があったとしても、その影響を最小限にできる可能性があります。
 

相続税と贈与税の節税対策は今のうちに!

今後、相続税と贈与税は節税が厳しいものとなっていくことを想定した場合、早めに生前贈与を行い、税制が有利なうちに相続税と贈与税対策をしていくべきでしょう。
 
相続税と贈与税について関心があったり、対策が必要だと考えている、あるいは悩んでいるという場合、一度専門家に相談してみるなど、節税対策について早い段階で検討してみてください。
 
出典
自由民主党 令和3年度税制改正大綱
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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