更新日: 2021.12.20 相続税
いざというときに役立つ相続税の知識。親の万が一に備えて、今からやっておきたいことって?
そんな「いざ」というときに役立つ相続税の知識について、子だけでなく親の立場からも今から備えておきたいことと一緒に解説します。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
相続税の発生と相続人について知る
相続税は必ず発生するわけではなく、相続財産のうち、基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人の数)を超えた部分が課税の対象となります。
つまり、少なくとも3600万円を超える相続財産がない限り、相続税は発生しません。相続税が発生しないということは相続税の申告が必要ないため、相続発生時の負担が大幅に減少します。
なお、法定相続人とは民法で定められた相続人です。亡くなった方の配偶者は常に法定相続人となり、それ以外は下記表の順位で配偶者とともに相続人となります。同じ順位に複数人が存在する場合は全員が相続人に該当します。
順位 | 法定相続人に該当する人 |
---|---|
1位 | 子(子が亡くなっていれば孫、孫も亡くなっていればひ孫) |
2位 | 父母(亡くなっていれば祖父母) |
3位 | 兄弟姉妹(亡くなっていれば甥姪) |
※筆者作成
大まかにでもいいので、親が亡くなった場合に誰が相続人となるのか、親の有する財産は相続税が発生しそうか、生前に親と話しておくなど早めに見当をつけておくべきです。
非課税となる財産や特例を利用して節税できる
相続税については、一部の財産は非課税として取り扱われます。例えば、下記のようなものが非課税財産に該当します。
●お墓や仏壇など日頃礼拝するもの
●被相続人の死亡によって取得した生命保険金や損害保険金で、保険料の全部または一部を被相続人が負担していた場合で、500万円×法定相続人の数を超えない範囲
相続税が発生しそうな場合、あらかじめその一部を非課税財産に変えておくと、相続税を減らすことができます。
また、早めに贈与しても問題ない財産については、贈与税の基礎控除額(年間110万円)以内で毎年贈与を行ったり、結婚や子育て資金の一括贈与が一定額まで非課税となる特例を利用して生前贈与するなど、相続税を減らすことも考えておきたいところです。
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相続税は現金での一括納付が原則
相続税は、被相続人の死亡日の翌日から10ヶ月以内に申告と納税を行う必要があります。さらに、納付は現金一括が原則です。
相続税が発生しそうだという場合、期限までに支払うことができる現金または換金が比較的容易な財産が相続財産の中に含まれているか、あるいは自身や他の相続人に相続税を支払うだけの資力があるのかなど、ある程度は調べておくべきです。
なお、相続税の納付期限を遅らせる延納や、相続財産で納税する物納という制度もあります。ただし、本来の相続税額よりも割増しで納税することになるなどデメリットもあるため、可能な限りは期限までに現金で一括納付ができるようにしておきたいところです。
亡くなる前3年に贈与された財産も相続税の対象となる
相続税は、被相続人が亡くなる前3年以内に相続人へ行った贈与の価格についても組み入れて計算されます。この点を踏まえて、相続税を節税するのであれば、早めに財産の移転などの対策を進めていくことが大切です。
まとめ
相続がいつ起きるのか、予測することは困難です。いざというときに備えて相続税についての知識を深めておくとともに、相続税が発生した場合に慌てることがないよう、必要に応じて事前に対策を行ってください。
執筆者:柘植輝
行政書士