更新日: 2022.02.09 相続税

相続税対策のために孫と養子縁組。節税にはなるけど本当にリスクはないの?

執筆者 : 新井智美

相続税対策のために孫と養子縁組。節税にはなるけど本当にリスクはないの?
孫を養子にし、法定相続人とすることで相続税の節税対策とする方法を聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。確かに、孫と養子縁組を行うことで法定相続人の数が増え、その分基礎控除額も増えることから、節税対策には有効です。ただし、養子縁組自体にリスクはないのでしょうか。
 
今回は相続税対策のために行う養子縁組について、そのメリットおよび注意点について解説します。

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新井智美

執筆者:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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養子縁組と節税対策

相続税とは、亡くなった人から財産を相続した際に、その額に応じて課税されるものですが、相続税の計算には基礎控除額が設けられています。
 
その計算は、「3000万円 +(600 万円×法定相続人の数)」で求められます。したがって、法定相続人の数が多ければ多いほど、基礎控除額も大きくなり、課税対象金額が圧縮される(少なくなる)ため、最終的な相続税の節税効果が見込めます。
 
例えば、亡くなった人の遺族に配偶者と子ども1人がいる場合、基礎控除額は「3000万円+(600万円×2)」の4200万円ですが、もう1人を養子として迎えることで、基礎控除額は4800万円になります。
 

■基礎控除額以外にもメリットが

法定相続人の数は基礎控除額の計算だけではありません。例えば、生命保険の保険金や退職金などといった「みなし相続財産」における非課税枠を広げることにも利用できます。みなし相続財産に対する非課税枠の計算は「500万円×法定相続人の数」ですので、法定相続人が増えれば、その分非課税枠が増えます。
 

■法定相続人の範囲と順位

法定相続人にはその範囲と順位が決められています。亡くなった人の配偶者は常に相続人となります。
 
配偶者との間に子どもがいる場合、子どもが第1順位の相続人となり、配偶者と子どもで遺産を分ける形になります。
 
もし、配偶者との間に子どもがいなかった場合は、第2順位にあたる亡くなった人の父母・祖父母といった直系尊属が配偶者と遺産分割を行います。子どもも父母・祖父母もいない場合は、配偶者と第3順位となる亡くなった人の兄弟姉妹とで遺産を分割します。
 

法定相続人となり得る養子の数

節税対策になるからといって、無制限に養子が法定相続人として認められるわけではありません。養子が法定相続人となれる数には、実子の有無で制限が設けられています。
 

■実子がいる場合

配偶者との間に実子がいる場合、法定相続人となり得る養子の数は1人までです。
 

■実子がいない場合

子どもがいない場合、法定相続人となり得る養子の数は2人までとなっています。
 
したがって、養子縁組を行ったとしても、法定相続人に加えることはできる人数は最高2人までということを覚えておきましょう。
 

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孫と養子縁組をする際の注意点

では、孫と養子縁組を行い、法定相続人とする際の注意点にはどのようなものがあるのでしょうか。
 

■相続税が2割加算となる

通常、法定相続人以外の人に遺産を相続する場合は、受け取った人は最終的に計算された相続税に2割加算した額を納めなければなりません。そして、孫を養子にした場合も、2割加算の対象となる点に注意が必要です。
 
孫が遺産を相続した際に2割加算の対象とならないのは、被相続人からみた子どもがすでに亡くなっており、代襲相続として孫が遺産を相続した場合です。
 

■遺産分割協議でもめる可能性がある

養子縁組を行うことで、法定相続人が増える点は節税という面からみればメリットですが、法定相続人の中には養子が増えたことによって、本来ならば受けられるはずの遺産が減ってしまうと思う人もいるでしょう。その結果、遺産分割協議がなかなかまとまらないことも懸念されます。
 

まとめ

相続税対策のために、孫と養子縁組を行う際には、節税のメリットだけではなく、前述した注意点をしっかりと理解したうえで行う必要があります。そのためにも、養子縁組を考えた際には、まず現在の法定相続人全員の合意を得ておくとよいでしょう。
 
もちろん、養子となる孫本人の意思確認も必要です。また、明らかに相続税対策目的のための養子縁組と思われた場合は法定相続人として認められない可能性がある点や、孫が未成年の場合は養子となったとしても、成人するまでは相続した財産を自由に使えないということも覚えておきましょう。
 
自身の遺産がどのくらいあるのか、また現時点での法定相続人の数などを考え、孫と養子縁組を行うことによって、どのくらいのメリットがあるのか、さらにはリスクを受け入れることはできるのかも考えながら、総合的に判断する必要があるといえるでしょう。
 
出典
(※)国税庁「相続税のあらまし」
 
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員