更新日: 2022.05.30 相続

親からの贈与はどうやって受け取ればいい? 相続対策にもなる2つの特例

執筆者 : 東本隼之

親からの贈与はどうやって受け取ればいい? 相続対策にもなる2つの特例
家族間に関わらず、個人から財産を受け取った場合、贈与とみなされます。贈与にかかる税金には累進課税が適用され、受取金額が大きいほど多額の納税が必要となります。
 
親や祖父母から子・孫への贈与には、2023年3月31日までに行われる贈与を対象とする特例が設けられているので、計画的に贈与を行うことと、適切な課税方式を選ぶことで、課税額を可能なかぎり減らすことができます。
 
本記事では、親からの贈与を受け取る方法と相続対策となる2つの方法について紹介します。この記事は、2022年3月現在の税制に基づく内容となっております。
 
東本隼之

執筆者:東本隼之()

2級FP技能士

贈与税の課税方式は2つある

贈与税の課税方式には、1年ごとに非課税枠を設ける「暦年課税」と、相続時に一括して課税される「相続時精算課税」の2つがあります。これは、贈与税を申告する際にどちらか一方を選ぶ選択制となります。課税方法の選択は、受取財産額や時期に応じた判断が必要です。
 
贈与税は、累進課税を取り入れており、受取金額が多いほど、納税額も増加します。親からの贈与を受ける際には、贈与税のポイントを押さえ、状況にあった課税方式の選択を行いましょう。
 

・暦年課税

暦年課税は、1月1日~12月31日までの1年間に受けた贈与の合計額から、110万円を差し引いた金額に課税される制度です。したがって、1年間に110万円以下の贈与を受けた場合は、贈与税申告の必要もなく、非課税となります。
 
暦年課税の110万円の非課税枠は、あげる側ではなく、もらう側の限度額であり、1年間に贈与を受けた合計額で計算されます。つまり、Aさんが父から80万円、母から60万円受け取った場合、合計額の140万円から110万円を差し引いた30万円に課税されるということです。
 
暦年課税の非課税枠は、1年ごとです。複数年にわたって計画的に贈与を行うと、課税を避けながら効率的に贈与できます。
 

・相続時精算課税

相続時精算課税は、60歳以上の父母や祖父母などから18歳以上の子・孫へ財産を贈与した際に選択できる制度です。
 
この制度では、合計2500万円以下の贈与が非課税となり、控除の限度額を超えた贈与金額は、一律20%の課税が行われます。贈与された資産は、相続発生(贈与者死亡)時に相続財産とされ、相続税の課税対象となります。なお、控除額を超えたことにより支払った贈与税は、相続税額から差し引かれます。
 
相続時精算課税を利用するには、贈与を受けた翌年の2月1日~3月15日までに申告が必要です。なお、一度相続時精算課税を選択すると、申告翌年以降に受けた贈与は、暦年課税に変更できないので、注意しましょう。
 

相続対策として活用できる特例

父母や祖父母などから受け取る贈与には、次の特例制度があります。いずれも2023年3月31日までに行われる贈与を対象とする特例です。

・教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税特例
・結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税特例

以下で、具体的に説明します。
 

・教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税特例

本制度は、父母や祖父母が、30歳未満の子や孫へ教育資金として、一括贈与をした場合に、1500万円までの贈与が非課税となります。制度を利用するためには、金融機関で子や孫名義の贈与専用口座を開設し、使途がわかる領収書等の提出が必要です。
 
制度利用中に贈与者である父母や祖父母が死亡した場合は、教育資金として贈与した金額から使用金額を差し引いた贈与残額が相続税の課税対象となります。なお、孫への教育資金の贈与は1500万円までが非課税であるものの、相続が発生して相続税を課される場合は、孫やひ孫は通常の相続税額ではなく、2割加算されるので注意しましょう。
 

・結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税特例

本制度は、父母や祖父母が、18歳以上50歳未満の子や孫へ結婚・子育て資金として、一括贈与をした場合に、1000万円までの贈与が非課税となります。制度を利用するためには、教育資金の一括贈与と同様に金融機関で子や孫名義の贈与専用口座を開設し、使途がわかる領収書等の提出が必要です。
 
制度利用中に贈与者である父母や祖父母が死亡した場合は、教育資金贈与と同様に残額が相続税の課税対象となり、孫やひ孫の相続税額は2割加算となります。
 

贈与は特例制度を利用して計画的に行おう

贈与税は、累進課税を採用しているため、贈与額が多額であるほど、納税額も大きくなります。しかし、暦年課税や相続時精算課税、一括贈与特例制度を活用することで、親から子への贈与に対して課税額を抑えながら、贈与することができます。
 
特例を含む、各課税制度には、時間や事前手続きが必要となるので、計画的に贈与を進めましょう。
 

出典

国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)No.4402 贈与税がかかる場合
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)No.4103 相続時精算課税の選択
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)No.4511 直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税
 
執筆者:東本隼之
2級FP技能士

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