更新日: 2023.07.28 相続税

母の死後「1000万円」のタンス預金を発見! 相続財産「6000万円」と合わせると、相続税を100万円以上多く払うことに!? 相続税対策について解説

執筆者 : 小泉健太郎

母の死後「1000万円」のタンス預金を発見! 相続財産「6000万円」と合わせると、相続税を100万円以上多く払うことに!? 相続税対策について解説
「タンス預金」とは、銀行にお金を預けるのでなく、自宅内でお金を保管することを指します。タンス預金は、銀行預金などとは違って、持ち主が死亡した際は「相続税はかからないのでは?」と思う人もいるのではないでしょうか? しかし、タンス預金は相続税の対象となります。
 
さらに、例えば1000万円ものお金をタンス預金として自宅に保管したままにしておくと、将来的に相続税を多く支払うことになることになるかもしれません。
 
相続税対策をすることで、相続税を節税できる可能性があるため、そのポイントを解説します。

タンス預金も相続税の課税対象として申告が必要

まず前提として覚えておく必要があるのは、家族が亡くなって相続が発生した際に、タンス預金は相続財産として扱われるということです。
 
例えば、母親が自宅の金庫で1000万円の大金を保管していたとします。その母親が亡くなった際は、自宅にあった1000万円も相続財産であるとして相続税の課税対象となるのです。もし相続税申告の際に、そのお金を隠していたら脱税という扱いになってしまいます。
 

まとまった金額のタンス預金を隠しても、税務調査でばれる可能性が高い

「金庫の中にしまっているお金だから、どうせばれないだろう」という思い込みは危険です。税務署は「国税総合管理(KSK)システム」により、国民の財産や収入などに関するおおよその情報を把握しています。
 
相続税の申告時に、申告された金額が不自然に少なければタンス預金が疑われてしまうわけです。仮にタンス預金を脱税とみなされれば、ペナルティとして高い重加算税が課されることになります。そのようなことにならないよう、相続税の申告時に、タンス預金も包み隠さず申告する必要があります。
 

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タンスで現金を寝かせておくと、相続税を多く支払うことになることも

相続税の申告時には、タンス預金も含め、全財産を包み隠さず申告する必要がありますが、タンス預金はそのままだと相続税を多く支払うことになる可能性が高いです。
 
例を挙げてみましょう。以下の状態で相続が発生したものとします。

・金融機関の相続財産:合計6000万円
・タンス預金:1000万円
・法定相続人:子ども2人

この場合、相続税の計算式は以下の計算式で求められ、国に支払うべき相続税額は320万円です。

7000万円-(3000万円+600万円×2人【基礎控除額】)=2800万円【課税遺産総額】
2800万円÷2人=1400万円【法定相続分に応じた取得金額】
1400万円×0.15【相続税率15%】-50万円【控除額】=160万円【子1人分の相続税額】
160万円×2人=320万円【相続税の総額】

 
次にタンス預金ではなく、1000万円を保険料として、1000万円以上の死亡保険金を受け取れる一時払い終身保険に加入していた場合で計算してみましょう。一時払い終身保険とは、契約時に保険料を一括で支払うタイプの生命保険です。

・金融機関の相続財産:合計6000万円
・一時払い終身保険の死亡保険金:1000万円

死亡保険金には、「500万円×法定相続人の数」という非課税枠があります。今回の例では、非課税枠が500万円×2人=1000万円という計算になります。この結果、相続税の課税対象となる財産は6000万円となり、以下の計算式から法定相続人が2人なら相続税額は180万円まで減ります。

6000万円-(3000万円+600万円×2人【基礎控除額】)=1800万円【課税遺産総額】
1800万円÷2人=900万円【法定相続分に応じた取得金額】
900万円×0.1【相続税率10%】=90万円【子1人分の相続税額】
90万円×2人=180万円【相続税の総額】

つまりタンス預金を一時払い終身保険に入れ替えただけで、この例では、1000万円分がまるまる非課税になり、相続税が140万円安くなるわけです。
 

まとめ

今回の例のように、タンス預金をそのままにせずきちんと相続税対策をすれば、相続税を大幅に安くできるケースは少なくありません。
 
気になる人は、近くの銀行やファイナンシャルプランナーなどに、相続対策について相談してみてはいかがでしょうか。
 
執筆者:小泉健太郎
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