更新日: 2023.10.05 贈与

孫が私立の高校へ進学予定です。学費の援助を考えているのですが、「非課税」になる場合もあるのですか?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

孫が私立の高校へ進学予定です。学費の援助を考えているのですが、「非課税」になる場合もあるのですか?
私立高校と公立高校では3年間の学費に大きな差があります。子どもが私立高校に進学すると、家庭によっては経済的な負担が大きくなり苦しい状況に陥ってしまうかもしれません。そのようなときに、祖父母が学費の援助をしてやりたいと思うこともあるでしょう。
 
とはいえ、まとまった資金を贈与すると税金が発生する可能性があるため、注意が必要です。ここでは、非課税で学費を援助する方法について解説します。
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教育資金を贈与する場合の非課税制度「暦年贈与」「都度贈与」

贈与を受けた場合、受贈者に贈与税の支払い義務が発生します。ただし、1年間(1月1日~12月31日)に受けた贈与の金額が基礎控除額の110万円以下であれば、課税されません。そのため、祖父母から孫に学資を援助する場合、毎年110万円を贈与することは1つの方法です。これを「暦年贈与」といいます。
 
また、「都度贈与」という方法もあります。これは、孫の入学金や授業料などその都度必要なものを贈与する形式です。そもそも、日常生活で必要と認められる費用は贈与税の課税対象にはなりません。学費や教材費、文具費などを祖父母が支払ったとしても非課税です。
 

教育資金の一括贈与にかかる贈与税非課税措置とは

学費の援助にあたっては、教育資金の一括贈与にかかる贈与税非課税措置を利用することができます。これは、教育資金の贈与が最高1500万円まで非課税になる制度です。教育資金の使用用途には、入学金や授業料のほか、修学旅行や通学定期券代なども含まれます。また、最大500万円までであれば、塾や習い事などの学校以外にかかる費用も非課税の対象です。
 
ただし、この制度が適用されるのは、贈与者と受贈者が以下の条件を満たす場合に限ります。

受贈者:年齢30歳未満で、前年度の合計所得が1000万円以下
贈与者:父母や祖父母など、受贈者の直系尊属に当たる人。第三者やおじ、おばなどは対象外

教育資金の贈与税非課税措置制度を利用すると、先に述べた暦年贈与や都度贈与とは異なり、受贈者はまとまった金額を非課税で一括して受け取ることが可能です。
 
ただし、贈与者は、金融機関に専用の口座を開設して手続きする必要があります。教育資金の支払いが発生すると、受贈者は金融機関に支払いを証明する領収書などを提示しなければなりません。
 

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教育資金の一括贈与にかかる贈与税非課税措置の手続き方法は? 期間はいつまで?

教育資金の贈与税非課税措置を利用する場合の手続きを紹介します。

1.受贈者が金融機関で教育資金口座を開設する
2.「教育資金非課税申告書」を提出する
3.援助する教育資金を口座に預け入れる
4.教育資金の支払いのため専用口座から払い出した都度、金融機関に領収書などを提出する

なお、教育資金の贈与税非課税措置の制度が利用できるのは、2026年3月31日までです。もともとは2023年3月31日まででしたが、2023年の税制改正により期間の延長が決まりました。
 

教育資金を援助するなら一括贈与にかかる贈与税非課税措置制度を理解しておこう

孫に教育資金を援助する場合、年間110万円までであれば非課税です。また、教育資金の一括贈与にかかる贈与税の非課税制度を利用すると、最高で1500万円まで課税されません。
 
制度を利用する場合は、贈与者が金融機関に教育資金口座を開設し、手続きをする必要があります。また、教育資金を支払うたびに証明する領収書などを提出しなければなりません。教育資金を援助する予定がある場合は、制度の仕組みを正しく理解して利用するようにしましょう。
 

出典

国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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