夫が亡くなり「3000万円」の死亡保険金を受け取りました。知人から「税金申告を忘れずに」と言われたのですが、非課税ではないのでしょうか?
今回は、死亡保険金に課税される条件や税金の種類ごとの計算方法、相続した場合の税額例などについてご紹介します。
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住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。
死亡保険金が課税される条件
生命保険に加入している夫が亡くなったとき、死亡保険金(以下保険金とします)の受け取る人物や保険料を負担していた人物などによって、課される税金の種類が変わります。
まず、夫が保険料も負担しており、保険金を妻が受け取ったときは、妻に対して相続税が課されるでしょう。
一方、保険料を妻が負担していた場合、夫が亡くなったあとに保険金を受け取ると、妻に課されるのは所得税です。受取方法によって、一時所得か雑所得として扱われます。
さらに、例えば生命保険に加入しているのは夫、保険料を支払っているのは妻、保険金を受け取る人は子ども、というように、被保険者と保険料を負担した人、保険金を受け取った人が全て異なる場合は、贈与税の課税対象です。このときは、贈与税は子どもに対して課されます。
それぞれの税金に該当したときの計算方法
税金の種類によって、税額の計算方法も変わります。ここでは、課される税金の種類別に税額の計算方法を解説しましょう。なお、計算方法は保険金を配偶者1人で受け取った場合としています。
相続税
相続税の課税対象となる場合、国税庁によれば、死亡保険金は「500万円×法定相続人数」が非課税限度額となります。例えば、法定相続人が妻のみの場合は500万円が限度額です。
また、相続税自体にも基礎控除として「3000万円+600万円×法定相続人数」が設けられており、基礎控除を超えなければ課税されません。
つまり、保険金を受け取ると、相続税の課税対象となるのは「相続財産-{(500万円×法定相続人数)+(3000万円+600万円×法定相続人数)}」の金額です。課税対象となる金額を求めたあとは、相続税の税率をかけて税額を求めます。
ただし相続人が配偶者である場合は、実際に取得した遺産額が「1億6000万円」もしくは「配偶者の法定相続分に相当する額」までであれば配偶者の税額軽減を適用することで、相続税はかかりません。
所得税
死亡保険金を一時金で受領した場合、一時所得となるため、まずは所得を求めましょう。
国税庁によると、ほかに一時所得がない状態だと、一時所得の金額は「保険金総額-自分で支払った保険料-50万円(一時所得の特別控除)」で求められます。そのため、「保険金総額-自分で支払った保険料」が50万円を超えなければ、一時所得はなくなるため課税されません。
課税対象となるのは、上記の計算式で求められた一時所得額のさらに2分の1の金額です。この金額を総所得金額に算入して所得税額を求めることになります。
なお、保険金を年金形式で受け取ると雑所得になり、計算方法も異なります。
贈与税
贈与税は年間で110万円の基礎控除が設けられているため、保険金額から110万円を差し引いた金額が課税される金額です。該当する贈与税率をかけて税額を求めましょう。
年金形式で保険金を受け取る場合は、年金の受給権に対して贈与税が課されます。国税庁によると、毎年支払いを受ける年金(公的年金等以外の年金)にかかる所得税は、年金の受給権相当部分とそれ以外の部分で、非課税部分と課税部分を振り分けたうえで計算します。
保険金を相続として受け取ったときの税額の例
今回は以下の条件で相続税額を求めます。
・法定相続人および保険金の受取人は妻のみ
・保険金3000万円とほかの遺産2000万円を相続
・負債や葬式費用などは考慮しない
まず、保険金の非課税限度額は500万円、相続税の基礎控除は3600万円です。課税される金額は900万円になります。
国税庁によると、900万円のときの税率は10%なので、相続税額は90万円です。しかし、配偶者には「1億6000万円」もしくは「配偶者の法定相続分に相当する額」の控除が受けられるため、今回のケースでは妻に相続税はかからないことになります。
相続税の課税対象なら一定金額までは非課税になる
死亡保険金を受け取ると、その保険料を支払っていた人や受け取った人によって、課される税金の種類は変わります。税金の種類によって税額の計算方法も異なるので、チェックしておきましょう。
もし相続税の課税対象となったとき、死亡保険金は「500万円×法定相続人数」までは非課税財産と見なされます。
そのうえで、相続税には基礎控除も設けられているので、保険金自体が全額非課税にならなくても、基礎控除により課税されない可能性もあります。
出典
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.1750 死亡保険金を受け取ったとき
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金
国税庁 パンフレット「暮らしの税情報」(令和7年度版) 財産を相続したとき
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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