更新日: 2024.04.25 相続税

相続税の基礎控除はいくらまで? 仕組みから計算方法や注意点も解説

相続税の基礎控除はいくらまで? 仕組みから計算方法や注意点も解説
この記事では、「相続税の基礎控除」について、その仕組み、計算方法、及び注意点を分かりやすく解説します。
 
相続税の基礎控除とは、相続税の課税対象となる財産の価値を計算する際に、一定額を減算することができる制度です。
 
相続税は、相続財産の総額から基礎控除額を差し引いた金額に対して計算されるため、基礎控除の額は相続税の計算において重要な役割を果たしますので、相続税がかかるかどうか不安な方は、まずはこの記事を読んで相続税の基礎控除を理解し、相続税がかかるかどうかを計算してみましょう。

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相続税の基礎控除とは?

相続税は被相続人(亡くなった人)が所有していた財産全てにかかるわけでなく、正味の相続財産から基礎控除額を差し引いた金額にかかります。まずは正味の相続財産を算出するための手順と用語について解説します。
 

正味の相続財産の計算方法

正味の相続財産とは、被相続人の預貯金や不動産などのプラスの財産から、住宅ローンやクレジットカード残高などの借入金や葬儀費用といったマイナスの財産を差し引いた金額のことです。
 

プラスの財産(不動産、預貯金など)-マイナスの財産(住宅ローンなどの負債、葬儀費用)=正味の相続財産(住宅ローンなどの負債、葬儀費用)    

 

プラスの財産

プラスの財産とは、土地建物といった不動産や、預貯金、株式等の金銭的価値のある財産や現金のことを言います。相続財産として計算する場合、預貯金や現金はそのままで計算できますが、株式や不動産、美術品などは値札がないので、それぞれに合った評価方法で計算します。
 
(1)上場会社の株式:上場会社の株式は相続開始日(亡くなった日)の最終価格によって評価します。ただし、課税時期の最終価格が、次の3つの価額のうち最も低い価額を超える場合は、その最も低い価額により評価します。
 

・相続開始日(亡くなった日)の属する月の毎日の最終価格の月平均額
・相続開始日の属する月の前月の毎日の最終価格の月平均額
・相続開始日の属する月の前々月の毎日の最終価格の月平均額

 
(2)非上場会社の株式:非上場会社の株式(取引相場のない株式)の場合には、会社規模に合わせた評価方法に従って、税理士などが評価を行います。
 
(3)不動産:土地は路線価方式又は倍率方式での評価となります。前面道路に路線価が設定されている地域では、路線価に土地の面積をかけて土地の課税評価額を算出します。また、路線価の設定されていない地域は、固定資産税評価額に、その地域ごとにあらかじめ決められた倍率をかけて算出する倍率方式で課税評価額を算出します。建物は基本的に固定資産税評価額を使います。更に、土地の形状や利用状況に応じて補正値があり、土地の評価額はこれらを総合的にまとめたものとなります。
 
(4)高額な美術品など:専門家に鑑定を依頼し、鑑定書を提出します。
 
(5)相続時精算課税制度:相続時精算課税制度を使った贈与をしていた場合、この制度を使って贈与された財産は、相続税申告時に合算されますので、プラスの財産に組み込むことを忘れないようにしましょう。また相続開始日以前3年間(令和6年1月1日以降は7年間)にあった贈与についても持ち戻されますので、こちらも注意が必要です。
 
財産評価はこのとおり複雑で、評価額を間違ってしまうと相続税の金額にも影響しますので、とても重要です。この財産評価は、できるだけ経験豊かで知識のある専門家に依頼することをおすすめします。
 

マイナスの財産

相続人がマイナスの財産(負債)を引き継ぐ場合、その負債額も相続財産として計算されるので、実質的には相続財産の価値が減少することになります。マイナスの財産にあたるものは次のとおりです。また、注意点も合わせて解説します。
 
(1)住宅ローン:返済中の住宅ローンなどは残債があれば負債としてマイナスの財産に計上されます。しかし、団体信用生命保険により完済できる場合には、残債がないのでマイナスの財産には計上されません。
 
(2)クレジットカード残高:未払いのクレジットカード残高は負債としてマイナスの財産に計上されます。リボ払い、分割払い等も関係ありません。
 
(3)その他の借入金など:その他、銀行や消費者金融からの借り入れ、個人的な借り入れも負債としてマイナスの財産に計上されます。
 
(4)葬儀費用:葬儀にかかった費用(御通夜、御布施、火葬代等も含む)はマイナスの財産として計上できます。ただし、香典返しや初七日法要、墓石購入の費用などはマイナスの財産に計上することはできません。
 
また、喪主に渡される香典については弔慰金等として、社会通念上認められる範囲であれば、贈与税・所得税の課税対象にはなりません。もちろん、相続財産でもありません。
 

相続財産に入らない財産

相続財産に入らないものとして、次のような財産があります。
 
(1)墓地や墓石、仏壇、仏具、神を祭る道具など日常礼拝をしているもの
 ※骨とう的価値があるものなど、投資対象・商品については相続財産に入ります
 
(2)保証債務:被相続人が生前に保証人となっていた債務については、原則マイナスの財産には計上されません。
 
なぜなら、保証債務は主債務者(実際にお金を借りている人)の代わりに支払ったとしても終局的には主債務者に請求できる権利(求償権)があり、確実な債務とは言えないからです。ただし、主債務者が破産している等、弁済の見込みがない場合に限りマイナスの財産に計上することができます。
 

正味の相続財産の具体的な計算方法

ここまででプラスの財産、マイナスの財産、相続財産に入らない財産を説明しました。では、具体的な相続の場合を考えて、正味の相続財産を計算してみましょう。
 
(例1)被相続人の財産の内訳が不動産5000万円、現金預貯金4000万円、住宅ローン残高1600万円、葬儀費用が200万円の場合は、次のようになります。
 

プラスの財産9000万円(5000万円+4000万円)-マイナスの財産1800万円(1600万円+200万円)=7200万円

 
(例2)被相続人の財産の内訳が不動産3000万円、現金預貯金2000万円、純金の仏壇時価3000万円、友人の会社(経営は順調)の保証債務1000万円、葬儀費用が100万円、香典200万円、墓地と墓石購入費用300万円、の場合は、どうなるでしょうか?
 

プラスの財産8000万円(不動産:3000万円+現金預貯金:2000万円+純金の仏壇:3000万円)-マイナスの財産100万円(葬儀費用:100万円)=7900万円

 
友人の会社の保証債務は、相続財産に当たらないのでマイナスの財産に入りません。また、香典は喪主のもの(贈与税、所得税非課税)であり、墓地と墓石費用の300万円は相続財産には入りません。
 
そして、純金の仏壇(時価3000万円)は、通常の仏壇としての価値を超えて投資対象と判断される可能性が高いので、ここでは、相続財産として計上しました。
 
相続税を計算する時に重要な正味の相続財産は、このようにして算出されます。そして、この正味の相続財産から更に差し引けるのが「基礎控除額」です。
 
相続税の基礎控除は、贈与税の暦年課税で言う年110万円の非課税枠に該当するものですので、正味の相続財産がこの基礎控除額より低ければ相続税の申告や納税は原則、必要ありません。ここから、基礎控除について詳しく説明します。
 

基礎控除額によって相続税の申告が必要か判断できる

基礎控除額は、相続税の申告が必要かどうかを判断する基準となります。
 
正味の相続財産の総額が基礎控除額を下回る場合、相続税の申告義務は発生しません。逆に、控除後の相続財産の額面が基礎控除額を超えると、相続税の申告が必要となります。
 
このため、相続が発生した際には、まず相続財産の総額(プラスの財産)と負債や葬儀費用(マイナスの財産)を正確に算出します。そして、プラスの財産からマイナスの財産を引いた残りの正味の相続財産を計算して、基礎控除額と比較します。
 

(正味の相続財産)>(基礎控除)の場合は相続税の申告が必要です。

 

(正味の相続財産)≦(基礎控除)の場合は相続税の申告は不要です。

 
既にご紹介したとおり、相続財産の評価方法や計算には複雑なルールがあるため、専門家のアドバイスが欠かせません。
 

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相続税の基礎控除は最大いくら?

相続税の基礎控除は、3000万円+法定相続人1人につき600万円が加算されます。例えば、法定相続人が1人の場合の基礎控除額は3600万円(3000万円+600万円×1)、法定相続人が5人の場合は6000万円(3000万円+600万円×5)となります。
 
更に、法定相続人が多いほど基礎控除額が増えるため、法定相続人が多い場合は相続税の負担が相対的に軽減される傾向にあります。
 
では、基礎控除に出てくる法定相続人とは、どのような関係の人のことを言うのでしょうか?
 

法定相続人とは?

基礎控除額は法定相続人の数によって決まりますが、法定相続人の特定方法を説明いたします。
 
法定相続人は「法定」とつくだけあって、相続人の範囲は民法で決められております。
 
まず、被相続人の配偶者(妻にとっての夫、夫にとっての妻)は必ず相続人となります。これは相続開始日(死亡した日)に法律上婚姻関係にあったかどうかでのみ判断し、たとえ別居中でも戸籍上の夫婦であれば、法定相続人となります。
 
そして、戸籍上の夫婦でない、事実婚の夫婦は法律上婚姻関係にはないので、法定相続人には入りません。
 
次に、配偶者以外の相続人についてです。配偶者以外の相続人は順位がつけられており、第一順位は子・孫などの直系卑属、第二順位父母、祖父母などの直系尊属、第三順位は兄弟姉妹となります。
 
そして、先順位の相続人がいると、後順位の相続人は相続人にはなりません。特殊な例として、先順位の相続人が全員、家庭裁判所で相続放棄の申述をした場合、後順位の相続人が繰り上がって法定相続人となります。
 

相続放棄した人がいる場合の法定相続人数

法定相続人の数は、相続の放棄をした人がいても、その放棄がなかったものとした場合の相続人の数を言います。
 

養子がいる場合の法定相続人数

養子も法定相続人として扱われ、控除の対象となります。ただし、無制限に養子を認めてしまうと相続税の負担を不当に減少させることになるので、基礎控除の計算の際に出てくる法定相続人に数えられる人数には制限があります。
 
被相続人に実の子どもがいる場合には養子は1人まで、被相続人に実の子どもがいない場合には養子は2人までです。
 

結局、相続税の基礎控除は最大いくら?

相続税の基礎控除は相続人の人数によって決まりますので、一概に最大いくらとは言えません。
 
しかし、日本史上最も有名な子だくさんの将軍、徳川家第11代将軍の徳川家斉公が現代に存在していて、相続開始したと仮定します。すると、配偶者(当時だと正妻)1人、実の子どもが53人いたと言われていますので、それに養子を1人(実子がいるので最大1人まで)加算すると、次のようになります。
 

3000万円-600万円×55(法定相続人の数)=3億6000万円

 
なんと、3億6000万円の基礎控除となります。しかし、正妻以外にも配偶者がいたり、現代とは身分も家族構成も違いますので参考にはなりません。しかも、3億6000万円の基礎控除があったとしても、徳川家の当時の相続財産からすれば微々たるものとも考えられます。
 
これは極端な例ですが、そもそも子どもがいなくて相続人が兄弟姉妹、甥、姪で法定相続人が10人以上いるという場合は考えられますが、基礎控除は一般的には5000万円程度、多くとも1億円程度と考えておきましょう。したがって、正味の相続財産が1億円を超える方は、基礎控除を差し引いてもほぼ、相続税がかかることになるでしょう。
 

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一般的な家庭の相続税基礎控除の計算方法

では現実に戻って、一般的な家庭における相続税の基礎控除の計算方法を紹介します。
 

配偶者と子ども2人が相続人の場合の相続税基礎控除

基本的な控除額は3000万円で、これに相続人1人につき600万円を加算します。
 
例えば、4人家族(父、母、長男、長女)の母が亡くなった場合、相続人は父(配偶者)と子ども2人(長男、長女)の合計3人です。その場合、基礎控除額は3000万円+(600万円×3人)=4800万円となります。
 

相続税の基礎控除計算する際の注意点

前項目までで、相続税の基礎控除の計算をおおまかに説明しました。ここでは、相続税の基礎控除を計算する際の注意点を順番に紹介します。
 

相続税の基礎控除計算する際の注意点(1)相続税がかかるかどうかを確認するために行うことを忘れない

相続税の基礎控除計算は、相続税がかかるかどうかを確認する一番簡単な方法です。ある程度の知識があれば計算は可能で、正味の相続財産から基礎控除を差し引いて大きなマイナスになっていれば、計算間違いをしていない限りは相続税はかからないでしょう。
 
しかし、相続税がかからないことの確認ですので、相続税がかかるという結果が出た方は、次のステップとして相続税がいくらになるかを検討した上で、税務署・税理士等に相談して、相続税の申告に備えましょう。
 

相続税の基礎控除計算する際の注意点(2)相続人は変わる可能性あり・相続財産は常に変動する

相続開始前の基礎控除計算で気を付けることは、相続人が変わる場合があること、相続財産は常に変動し、本人しか知らない所で動くこともあるという2点です。
 
相続人が変わるというのは、例えば、将来父親が亡くなった際のことは考えていたが、実際には母親が先に亡くなってしまい、相続人が減ってしまったために、基礎控除が減り、相続税がかかるようになったなどということが起こりえるのです。
 
また、相続財産はご本人が亡くなるまではその人のものなので、生活をしていれば財産が減ったり、表に出していない財産を持っていることもあります。実際に相続が始まった後には、生前に想定していた状況と大きく変わっていることがあるので、その変化には注意しておきましょう。
 

相続税の基礎控除計算する際の注意点(3)不動産、特に土地の評価は路線価で計算する

土地は価格が大きいので、相続税評価は1つ間違えると、相続税額も大きく変動してしまいます。
 
細かい計算が分からない場合などは、最初は路線価をそのままで計算して、ざっくりと多めの金額で計算しておきましょう。それでも相続税がかからなければひとまずは安心ですし、相続税がかかる結果になるのであれば、各種補正を行って再度計算し直してみましょう。
 

相続税の基礎控除計算する際の注意点(4)プラスの財産は多めに想定しておく

土地と同じく、プラスの財産は多めに想定しておきましょう。プラスの財産を多めに想定した上でも正味の相続財産から基礎控除を差し引くとマイナスになるのであれば、相続税がかからない可能性が高いので安心です。
 
そして、相続税がかかるか微妙なラインならば、計算し直して、税務署や税理士に相談するのも良いでしょう。
 

相続税の基礎控除計算する際の注意点(5)相続開始日以前の3年間(令和6年1月1日以降は7年間)の贈与の有無に気を付ける

相続開始日以前の3年間(令和6年1月1日以降は7年間)の生前贈与を受けていた場合、その贈与税額が相続税に加算されます。これは当事者しか分かりませんので、家族・親族内でそういったことがなかったかの確認が必要です。
 

相続税の基礎控除計算する際の注意点(6)マイナスの財産は保証債務が混ざっていないか気を付ける

「被相続人が会社の経営者だったから知り合いの社長に頼まれて、5000万円の保証人になっていた」という話を思い出した際、マイナスの財産としてそのまま5000万円を引いてしまうと、後々大変なことになるかもしれません。
 
もちろん、実際に5000万円を払わなければならないような事態になっても大変ですが、単純な保証債務だった場合には相続税の基礎控除を計算する際にマイナスの財産に入れてはいけません。保証債務か、ただの債務かが分からない場合は、保障契約書等を確認するか当事者に確認した上で、税理士や弁護士に相談しましょう。
 

相続税の基礎控除計算する際の注意点(7)法定相続人が誰かを明確にする

法定相続人が誰かを確認する作業は後回しになりがちですが、とても大切なことです。
 
親から口頭で聞いていた話と事実が違う(実は、タイミングが来たら話そうと思っていたが、伝えられずに亡くなってしまった等)こともあり得ますので、相続開始後であればいずれは必要になるので、被相続人の出生から死亡までの戸籍は全て取得し、想定している以外に法定相続人がいないかを明確にしておきましょう。
 
戸籍収集が大変な場合は、戸籍収集だけを依頼できるサービスもありますので利用しましょう。
 

相続税の基礎控除計算する際の注意点(8)相続税がかかりそうな場合は税務署か税理士などに相談する

相続財産の計算をして相続税がかかりそうなのであれば、相続税申告は必要と考えておきましょう。相続開始前であれば、その本人とじっくり話をして、次世代の自分たちがしっかりと安全に後継したい旨を伝えて、専門家に相談をしましょう。
 
また、相続開始後であれば本当に相続税申告が必要かを改めて税務署や税理士事務所で確認し、今後の方針をできるだけ早く決定しましょう。
 

相続税に適用される基礎控除以外の控除や特例

相続税の基礎控除以外にも、小規模宅地の特例、配偶者控除、障害者控除、未成年者控除などがあります。
 
例えば、小規模宅地の特例は、被相続人の居住用不動産に適用され、相続税の評価額を330平方メートルまでは最大80%減少させることができます。これらの控除を適切に理解し活用することで、相続税の負担を減らすことが可能です。
 
また、これらの控除は相続税を計算した後に使える控除制度ですので、基礎控除とは別で考えましょう。
 

相続税に適用される基礎控除以外の控除や特例(1)配偶者控除

配偶者は、法定相続分若しくは1億6000万円までのどちらか多い方の金額までは相続税がかかりません。
 

相続税に適用される基礎控除以外の控除や特例(2)未成年者控除

未成年者控除には、その未成年者が満18歳になるまでの年数1年につき10万円で計算した額が控除されます。例えば、相続開始日に13歳5ヶ月の場合、5ヶ月を切り捨てて13歳で計算し、18歳までの年数が5年となります。この場合、未成年者控除の額は10万円×5年で50万円となります。
 

相続税に適用される基礎控除以外の控除や特例(3)障害者控除

障害を持つ相続人には、その障害者が満85歳になるまでの年数1年につき10万円で計算した額が控除されます。
 

相続税に適用される基礎控除以外の控除や特例(4)相次相続控除

今回の相続が始まる前10年以内に、被相続人が相続や遺贈や相続時精算課税にかかる贈与によって財産を取得し、相続税が課されていた場合は、その被相続人から相続、遺贈や相続時精算課税にかかる贈与によって財産を取得した人の相続税額から、一定の金額が控除されます。
 

相続税に適用される基礎控除以外の控除や特例(5)生命保険金控除

相続人が生命保険金を受け取る場合は、法定相続人の数×500万円の控除が受けられます。相続放棄をした人も法定相続人の数に含まれます。ただし、相続放棄をした人が受け取った生命保険金については控除対象にならないので、注意しましょう。
 

相続税に適用される基礎控除以外の控除や特例(6)相続税の2割加算

控除ではありませんが、相続、遺贈や相続時精算課税にかかる贈与によって財産を取得した人が、被相続人の一親等の血族(代襲相続人となった孫(直系卑属)を含みます。)及び配偶者以外の人である場合には、その人の相続税額に、その相続税額の2割に相当する金額が加算されます。一親等とは、子・親のことで、兄弟姉妹・甥・姪が相続した場合には適用されます。
 
配偶者控除や生命保険控除は有名ですが、状況に応じてこのような控除も存在します。税理士に依頼した時は、こういった細かい控除まで考えて相続税の計算をしてくれます。相続税はプロに依頼する価値が、税金に直結しますので、思った以上に色んな制度があると実感された方は、一度税理士や税務署への相談をしてみるのも良いでしょう。
 

相続税の基礎控除まとめ

相続税の基礎控除とは、相続税の課税対象となる正味の相続財産から一定額を減算できる制度です。この記事では相続財産の算出方法、プラスとマイナスの財産の詳細、そもそも相続財産として計上されない財産、法定相続人の定義、基礎控除額の計算方法とその重要性、各種控除について説明しました。
 
具体的には、プラスの財産(不動産、預貯金、株式など)とマイナスの財産(住宅ローン、借入金、葬儀費用など)を差し引いた正味の相続財産を計算し、基礎控除額と比較して相続税の申告が必要かどうかを判断します。基礎控除額は、3000万円に法定相続人1人につき600万円が加算されます。
 
この相続税基礎控除の計算をする目的は、相続税の申告が必要かどうかを知ることです。計算する際は、相続人を明確にしておくことの重要性、基礎控除計算時の注意点、相続税に適用される他の控除や特例について、理解を深めることが重要です。
 
実際に相続税がかかると思われる場合は、相続税計算は複雑なため、税理士や税務署への相談を検討しましょう。
 

出典

国税庁 No.4632 上場株式の評価
国税庁 No.4638 取引相場のない株式の評価
国税庁 令和5年度相続税及び贈与税の税制改正のあらまし
国税庁 No.4129 相続財産から控除できる葬式費用
国税庁 No.4108 相続税がかからない財産
国税庁 No.4126 相続財産から控除できる債務
国税庁 No.4152 相続税の計算
国税庁 No.4170 相続人の中に養子がいるとき
国税庁 No.4158 配偶者の税額の軽減
国税庁 No.4164 未成年者の税額控除
国税庁 No.4167 障害者の税額控除
国税庁 No.4168相次相続控除
国税庁 No.4114相続税の課税対象になる死亡保険金
国税庁 No.4157相続税額の2割加算
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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