更新日: 2024.08.04 相続税

親が亡くなったため「住む予定のない戸建ての家」があります。「別荘」のような使い方をしたいと思っていますが、維持費はどのくらいかかるのでしょうか?

親が亡くなったため「住む予定のない戸建ての家」があります。「別荘」のような使い方をしたいと思っていますが、維持費はどのくらいかかるのでしょうか?
親が亡くなったなどの理由で、住む予定のない空き家を所有している方が珍しくありません。なかなか手放す決心ができず、「別荘のようにたまに滞在する場所として使い続けたい」と考えている方もいるでしょう。
 
しかし、空き家をそのままにしておけば所有しているかぎり固定資産税も発生します。
 
本記事では、空き家を1年間維持する費用がどのくらい掛かるかを解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

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高橋庸夫

監修:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

一戸建ての空き家の維持費に必要な金額の内訳

空き家の維持に掛かる費用は、一戸建てが建っている場所、広さなどによって異なります。一般的に地価の高い場所に建っている家ほど維持費が高い傾向です。
 
本項では、一戸建ての空き家の維持に掛かる費用の内容を紹介します。家の維持に掛かる費用を具体的に知ることができれば、所有しておくか売却するかの判断もつきやすいでしょう。
 

固定資産税・都市計画税

空き家を所有していると掛かる費用の筆頭が、固定資産税と都市計画税です。なお、都市計画税は市街化区域内に土地と家屋を所有している方にのみ掛かる税金で、家が建っている場所によっては掛からないケースもあります。
 
固定資産税の額を決めるのは、固定資産税評価額です。固定資産税評価額が上がれば税金も高額になります。なお、人の居住用に供する住宅の用地には「住宅用地の特例」が適用され、200平方メートルまでは固定資産税が6分の1、200平方メートルを超える部分は固定資産税が3分の1に減額されます。
 
なお、家屋を「別荘」にしてしまうと、住宅用地の特例が適応されなくなるので注意しましょう。ただし、別荘でも一定日数居住していることが証明されれば、適用できる場合もあります。
 

光熱費

滞在時間が短くても、家に住めるよう維持し続けるために、電気・ガス・水道は閉栓できません。基本料金だけであっても毎月一定の費用が掛かり続ければ、経済的負担が重く感じるようになるでしょう。
 
防犯のためにセンサー式のライトを設置しておいたり、水道管の凍結防止のために不凍栓をつけたりすると、その分光熱費が値上がるケースもあります。
 

保険料

建物を維持していくためには、火災保険や地震保険も必要と考えられます。保険料は年間数千円程度ですが、他の経費と併せると重い負担になるケースもあります。
 
しかし、普段人の住んでいない家は設備の劣化に気づきにくいため、漏電火災が発生する可能性が少なくありません。また、建造物放火の被害にも遭いやすいでしょう。火災が発生すると、所有する不動産だけでなく、近隣の住宅に被害が出る可能性もあります。その場合、火災保険に入っていないと経済的に大きな負担がかかってしまいます。
 

その他諸費用

分譲マンションであれば、修繕積立費や管理費が毎月必要です。庭がある一戸建てならば、庭の手入れ費用も掛かる場合があります。遠方に住んでいるなどで、家の手入れや管理を委託する場合はその費用も必要です。
 
なお、空き家の手入れを怠ったまま放置して一定の年月が過ぎると「特定空き家」に指定され、住宅用地特例の対象から外れる恐れもあります。
 

空き家は別荘とする場合の留意点

通常の住宅を別荘のように使いたい場合、持ち家はハードルが高く不向きなケースもあります。本項で、空き家を別荘として使う前に、留意しておきたいポイントを見ていきましょう。
 

近隣の人の理解が必要

空き家を別荘のように使う場合は、地域に住む人々の理解が必要な場合もあります。町内会や自治会がしっかりと機能していて、居住環境を維持するために、草刈りやごみ出し当番などの仕事が割り振られることもあるでしょう。「たまにしか来ない」といった理由で、地域の活動に参加しなければ、暮らしにくくなる恐れもあります。
 
ただし、集合住宅の場合は、管理規約によっては管理組合の役員が順番で回ってくる可能性もありますが、近年は居住する組合員が役員となるケースが多いようです。
 

家の状態によっては多額のリフォーム代が必要

家の状態によっては、問題なく居住するために多額のリフォーム代が必要な場合があります。特に、親が高齢で家の手入れが行き届かない状態が長く続いた場合、建て直すのと同じくらいのリフォーム費用が掛かる場合もあるでしょう。
 
無理に家を維持し続けるより、さら地にして売却したほうが経済的な負担が少ない可能性もあります。
 

家を維持したいなら賃貸に出すことも視野に入れる

相続した家に住む予定はないものの手放したくもない場合、賃貸物件にする方法もあります。賃貸物件にすれば家賃を維持費に充てられます。また、人に住んでもらえれば家の掃除や手入れを行ってもらえるのもメリットです。
 
ただし、必ずしも借り手が現れるとはかぎりません。特に、人口減少が著しい地域であれば、募集をかけても応募がない可能性もあります。
 

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空き家を別荘として使うならメリット・デメリットを把握したうえで決断しよう

家は、所有しているだけで毎年費用が掛かります。空き家を別荘代わりに使いたいと思っても、居住している場所から遠ければ、足が遠のきがちになるでしょう。手入れが行き届かなくなった空き家は劣化して、「特定空き家」に指定される場合もあります。
 
空き家を別荘として使いたい場合は、メリットだけでなくデメリットや維持費の総額も把握して検討していきましょう。
 

出典

東京都主税局 固定資産税・都市計画税(土地・家屋)
国土交通省 固定資産税等の住宅用地特例に係る空き家対策上の措置
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
 
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

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