贈与税がかかることを知らずに母親が「500万円」を私の口座に送金したそうです。すぐに全額返金したら贈与税を”払わずに”済みますか?
配信日: 2024.09.04
贈与が成立するには条件があるため、状況によっては贈与とみなされずに返金できる可能性もあります。今回は、贈与が成立するタイミングや、贈与と判断されたときにおける税額の計算方法などについてご紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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贈与はどのタイミングで成立する?
民法第549条では、贈与が成立する条件として「贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる」としています。つまり、お互いに贈与に関する合意があれば、法的にも贈与の対象となるでしょう。
例えば、母親から500万円を送られた際に「母親から送ったことを伝えられ、自分も送られたことを認知していた」場合は贈与とみなされる可能性があります。しかし、母親が一方的にお金を子どもの口座へ送り、子どもが気づいて送られたお金を使用せずに全額返金した場合は、「お互いに贈与に関する合意がある」という条件を満たしていません。そのため、贈与とはみなされない可能性もあるでしょう。
ただし、送られたお金を使用した場合は、贈与されたことを理解したうえでお金を受け取り使ったことになるため、贈与が成立します。お金を送られたものの不要なときは、使わずに返金したほうがよいでしょう。
贈与とみなされる場合、金額によっては贈与税の課税対象です。もし課税対象にもかかわらず放置していると、追加で税金が課されるケースもあるため、贈与かどうか分からないときは専門家の方や税務署へ相談しましょう。
贈与契約を解除できるケースもある
民法第550条によると、書面を通じたものでない贈与契約を解除できるタイミングは、贈与の履行が終わっていないときです。贈与の履行とは、基本的に財産を受け取ることを指します。
そのため、もし母親と500万円の受け渡しをする口約束をしていた子どもが、お金を受け取る前に話し合って贈与をなかったことにした場合は、履行する前のため贈与契約を解除できる可能性があるでしょう。
贈与契約を解除できなかったときの贈与税額
贈与税の税率は、送った側と送られた側の関係や年齢によって変わります。贈与を受けた年の1月1日において18歳以上の方が父母や祖父母といった直系尊属から贈与をされたときは特例税率、それ以外は一般税率です。
贈与税は年間110万円の基礎控除があるため、110万円を超えた金額に対して該当する税率が使われます。仮に500万円を受け取ったとすると、贈与税の課税価格となるのは390万円です。
500万円を成人している子どもが母親から受け取った場合、特例税率が適用されます。国税庁によれば、特例税率に当てはめると、課税価格が390万円のときの税率は15%、控除額が10万円のため、贈与税額は48万5000円です。
もし子どもが成人していなかった場合、同じ金額を受け取っていても一般税率が適用されます。一般税率だと税率が20%、控除額は25万円のため、贈与税額は53万円です。
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状況によっては贈与とみなされない可能性もある
贈与は、お互いに贈与した、あるいはされたという合意があり、実際に財産を受け取っていれば成立します。そのため、親が口座に送ったお金を使用すると贈与されたとみなされ、金額によっては贈与税の課税対象です。
しかし、親から何の相談もなくお金が送られ、すぐに返金した場合はお互いに贈与の意思があったとはみなされない可能性があります。ただし、状況によっては贈与とみなされる場合もあるため、贈与かどうか判断がつかないときは専門家の方へ相談することがおすすめです。
もし贈与とみなされたときは、適用される税率を基に贈与税額を計算し、納税する必要があります。自身が成人しており、親から贈与されたときは特例税率が適用されるため、計算時には間違えないように注意しましょう。
出典
e-Govポータル 法令検索 民法(明治二十九年法律第八十九号) 第三編 債権 第二章 契約 第二節 贈与 第五百四十九条(贈与)、第五百五十条(書面によらない贈与の解除)
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
監修:高橋庸夫
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