更新日: 2024.09.28 贈与

両親が兄に「1800万円」の不動産を購入!「タダで貸せば贈与税は払わなくても良い」と言っているけれど、贈与税が非課税なのは“110万円”までじゃないの?「節税方法・特例制度」について解説

両親が兄に「1800万円」の不動産を購入!「タダで貸せば贈与税は払わなくても良い」と言っているけれど、贈与税が非課税なのは“110万円”までじゃないの?「節税方法・特例制度」について解説
子どもが住宅を購入する際、親としてその資金を支援したいと考えることもあるでしょう。
 
そして、その際にはできるだけ税金を抑えたいと思うものです。贈与の場合、1年間で110万円を超えると贈与税がかかるため、一度にまとまった金額を贈与する際は、贈与税を考慮する必要があります。
 
本記事では、不動産購入に際して親が支援したい場合の節税方法、利用できる特例制度について解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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贈与税は年間110万円まで非課税

贈与税とは、個人から個人へ財産を無償譲渡した場合に課される税金です。年間110万円を超える贈与を受けると課税の対象となり、超過分に対して10~55%の税率で課税されます。
 
例えば、親から子に1800万円の現金を贈与した場合、基礎控除額の110万円を超える1690万円に対して贈与税が課されます。父母や祖父母などの直系尊属からの贈与により財産を取得した18歳以上の受贈者(贈与される人)は「特例税率」を適用して計算します(今回であれば45%)。
 
1690万円に対する贈与税額は以下の通りです。
 

【贈与税の計算式】

・1800万円-110万円=1690万円
・1690万円×45%(税率)-265万円(控除額)=495万5000円

 

贈与税の特例制度

110万円以上の贈与を行うと贈与税がかかりますが、特例制度などを利用することで贈与税を大幅に軽減することができます。
 

特例制度で住宅購入費の贈与は最大1000万円まで非課税に

親から子への住宅購入資金の贈与の場合、一定の条件を満たすことで非課税となる特例制度(住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置)があります。特例制度を利用すると、省エネ性能を有する住宅を購入する場合、最大1000万円までが非課税となります。
 
また、省エネ性能を有しない住宅の場合は、最大500万円が非課税となります。ただし、制度の適用を受けるためには、受贈者の年齢や所得、住宅の床面積といった具体的な要件を満たす必要があります。
 
また、新築マンションの場合、売買契約日から引渡し日までの期間が非常に長くなるケースがあり、申請のタイミングによっては条件から外れてしまい、制度を使えなくなってしまうこともあるため注意が必要です。
 

相続時精算課税を選択すれば2500万円まで非課税に

贈与税には、暦年課税と相続時精算課税の2つの課税方式があります。暦年課税は、1年間に110万円までの贈与は非課税となる制度です。相続時精算課税は、将来の相続税を見越して生前贈与する制度で、2500万円までの贈与が非課税となります。
 
例えば、親から子に1800万円を贈与する場合、暦年課税を選択すれば、110万円を超える1690万円に対して贈与税がかかります。
 
一方、相続時精算課税を選択すれば、1800万円全額が非課税となります。ただし、相続時精算課税を選択した場合、贈与者(贈与した人)が亡くなった際には、贈与財産が相続財産に加算され、相続税の対象となります。
 

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不動産を“タダ”で貸して非課税にする

親が子のために自分の土地を無償で貸す場合、贈与税は発生しません。
 
このような無償での貸し借りは「使用貸借」と呼ばれます。使用貸借の場合、土地の所有権が実際に子に移転するわけではないため、国税庁は使用借権の価額を0円とする取り扱いを定めています。
 
そのため、無償で使用している者が受けた経済的利益の額も0円となり、贈与税は課税されません。ただし、親が亡くなり、子がその土地を相続することになった場合は、相続税が発生します。
 

まとめ

親から子への110万円を超える贈与には、通常であれば贈与税がかかります。しかし、住宅取得等資金贈与や相続時精算課税制度などをうまく活用すれば、贈与税を節税したり、非課税にできたりする可能性があります。
 
また、親が不動産を購入し、子に無償で貸す「使用貸借」という方法もあります。親子間での財産の譲渡は、これらの制度をよく理解した上で進めるとよいでしょう。
 

出典

国税庁 No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税
国税庁 No.4103 相続時精算課税の選択
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
国税庁 No.4555 親の借地に子供が家を建てたとき
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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