更新日: 2024.11.20 贈与
実家の祖母が「持っていても仕方ない」と、毎年「110万円」贈与してくれるそうです。同じ時期だと“贈与税”がかかると聞いたのですが、本当でしょうか?
しかし、同じ時期に毎年贈与している場合や、長期にわたり一定額を贈与する約束があると、贈与税がかかると聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。
本記事では定期的な贈与に関して税金がかかるケースと非課税になる条件について、分かりやすく解説していきます。
執筆者:渡辺あい(わたなべ あい)
ファイナンシャルプランナー2級
暦年課税とは
暦年課税とは、1月1日から12月31日までの1年間に誰かからもらったお金や物の合計が110万円を超えると、その超えた分に贈与税がかかる制度です。
例えば、親から1年間に120万円をもらった場合、110万円を超えた10万円に対して税金がかかります。贈与税は、現金だけでなく、不動産や株、貴金属など価値のあるものが対象です。受け取る額が110万円以下であれば、課税の対象とはなりません。
毎年贈与を約束していると課税対象になる
毎年一定の金額を贈与することが決まっている贈与契約のことを「定期贈与」といいます。この取り決めは、「決まった額を毎年贈与する」という約束をし、贈与契約を交わして生前贈与をおこなったものとなります。
定期贈与の契約が交わされると、贈与の額が110万円を超えている場合はもちろん、110万円以下であっても、課税の対象となります。
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似ているようで違う「定期贈与」と「通年贈与」
「定期贈与」と似たようなものに「通年贈与(連年贈与)」があります。どちらも毎年贈与がおこなわれるものですが、違いをみていきましょう。
定期贈与
定期贈与は、最初に「毎年100万円を10年間贈与する」という約束を最初から結んでいるものです。このように、最初から複数年にわたる贈与を約束する契約は、最初の年に全額を贈与されたとみなされます。
つまり、10年間で1000万円贈与する契約なら、最初の年にその1000万円に対して贈与税が課されるのです。
通年贈与
一方、通年贈与とは、毎年贈与を行うけれど、毎年その時点で贈与契約を結ぶというものです。例えば、親が「今年は100万円あげるよ」と言って贈与契約をその都度結びます。
この場合、1年ごとに贈与が独立して行われ、110万円以下であれば贈与税はかかりません。毎年新たに契約をしているので、一度に大きな贈与と見なされることもないのです。
定期贈与と通年贈与の違いは
通年贈与は毎年別々の契約が必要ですが、定期贈与は最初にまとめて契約をするという違いがあります。毎年独立して贈与契約を結ぶ場合は、贈与税の控除が適用されますが、定期贈与では全額に課税されるので注意が必要です。
つまり、「毎年100万円を渡す」のであれば通年贈与のほうが節税対策として効果的というわけです。
まとめ
同じ「毎年100万円を渡す」という贈与であっても、契約によって課税か非課税になるかが異なります。定期贈与は「あらかじめ最初に決まった額を数年分に分けて贈与する」という取り決めをしていることを指し、通年贈与は「たまたま毎年贈与契約を結んだ」という違いがあります。
このように、贈与の形態によって税金の取り扱いが異なるため、贈与契約を結ぶ際は、どのような形式を選ぶかを慎重に考えることが重要です。
出典
国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
執筆者:渡辺あい
ファイナンシャルプランナー2級