不動産会社に「前払いだと安くなる」と言われ、子どもが大学に通う間の家賃「総額300万円」以上を一括で支払い! 子どもの家賃でも「贈与税」の対象になるの?
配信日: 2025.01.15
しかし、家賃の値引きというメリットがある一方で、税務上の取り扱いについて不安を感じることもあるでしょう。
本記事では、親が子どもの家賃を一括で支払った場合の贈与税の取り扱いや、一括払いに伴う注意点について解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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贈与税とは?
贈与税とは、ある人が財産や資金をほかの人に贈与した場合に、それを受け取った人に課せられる税金のことです。この税は、贈与者が親、親戚、友人など誰であっても、受け取った人が対象になります。
贈与税が発生するのは、1年間で受け取った金額が110万円を超えた場合で、その超過分に対して課税される仕組みです。
贈与税の対象となる財産は金銭だけでなく、預金や株などの金融商品、土地や建物などの不動産、保険金、車など、さまざまな資産が含まれます。一方で、生活費や学費など、必要な支出として認められるものは贈与税の対象外となる可能性があります。
「300万円以上の家賃」を前払いした場合、贈与税はどうなる?
結論から言えば、贈与税の対象外になる可能性が高いと言えます。理由は、国税庁が示す「贈与税がかからないケース」に該当するためです。
具体的には「夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの」にあたります。
ここの「生活費」とは、その人にとって日常生活に必要な費用を指し、治療費や養育費、そのほか子育てに関する費用が含まれます。大学に通うという名目での「家賃」も、通常必要な費用として該当する可能性があります。
ただし、「生活費や教育費を名目とした贈与」については「贈与税がかからない財産は、生活費や教育費として必要な都度直接これらに充てるためのものに限られます。」と記載されています。つまり、生活費や教育費としての目的外に使われる場合は贈与税が課せられる可能性があります。
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一括前払いの注意点
生活費や教育費が非課税となることを利用して、一括前払いをして贈与税を避けようと考える人もいるかもしれません。
しかし、この場合も実際に必要な範囲内で使われることが条件となるため、注意が必要です。国税庁は、一括贈与された金額が生活費や教育費として使われなければ、贈与税が課せられる可能性があると明言しています。
例えば、一括で贈与したお金を預貯金に回したり株式や不動産購入に使ったりした場合、生活費や教育費として認められず、贈与税が課せられることになります。そのため、生活費や教育費に充てるためには、必要な額を贈与し、直接その用途に使う必要があることを理解しておきましょう。
まとめ
生活費や教育費として必要な範囲内であれば、親が子どもの家賃を一括で支払っても贈与税がかかることは少ないと考えられます。しかし、贈与された資金が家賃以外の用途に使われたり、過剰に支払われたりした場合には、贈与税が課せられる可能性があります。
税務調査が入った場合に、生活費や教育費に使われたことを証明できるよう、家賃の一括払いは不動産業者の口座に直接振り込むなど、確実に家賃に充てたことを証明できる方法をとっておくと良いでしょう。
出典
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
国税庁 扶養義務者(父母や祖父母)から「生活費」又は「教育費」の贈与を受けた場合の贈与税に関するQ&A
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー