先日、親が亡くなり口座が「凍結」されてしまいました。葬式代の支払いに困っているのですが、どのように対応すればよいのでしょうか?

配信日: 2025.02.05

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先日、親が亡くなり口座が「凍結」されてしまいました。葬式代の支払いに困っているのですが、どのように対応すればよいのでしょうか?
亡くなった親の銀行口座が凍結してしまい、お金をおろせなくて困っている人もいるでしょう。お金がおろせないと葬式代の支払いができない場合は、相続預金の払戻制度を利用してください。
 
本記事では、相続預金の払戻制度の内容や、申請方法について解説します。親の葬式代が足りない場合に利用できる制度も紹介しているため、参考にしてください。
FINANCIAL FIELD編集部

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銀行口座の凍結とは

口座の凍結とは、ある条件下の元でお金の引き出しなどの取引ができなくなる状態です。口座が凍結する条件には以下のものがあります。
 

・名義人が死亡または認知症であると認められた
・債務整理の対象となった
・不正取引に利用された

 
親が亡くなって凍結された場合は、手続きをして取引ができるようにしなくてはなりません。

 

相続預金の払戻制度を利用できる

亡くなった親の銀行口座が凍結してしまった場合は、相続預金の払戻制度を利用することでお金を引き出せるようになります。相続預金の払戻制度を利用すれば、遺産分割の前であっても、葬儀代や生活費といったお金の払い戻しを受けられます。
 
本項では、相続預金の払戻制度の内容や必要書類、そして注意事項について解説します。亡くなった親の口座からお金を使いたい人は参考にしてください。

 

制度内容

相続預金の払戻制度には、2つのケースがあります。家庭裁判所の判断を経るかどうかによって違うため、それぞれのケースのやり方を見ていきましょう。
 

【家庭裁判所の判断を経ずに払い戻しができるケース】

払い戻しが受けられる額は、以下の計算式で求められます。
 
相続開始時の預金額×1/3×払い戻す相続人の法定相続分
 
たとえば、亡くなった親の預金額が600万円、法定相続人が息子2人、単独で払い戻しを受ける場合は以下の計算となります。
 
600万円×1/3×1/2=100万円
 
このケースの場合、100万円までお金の払い戻しを受けられます。なお、同一の金融機関で払い戻す場合、150万円が上限です。

 

【家庭裁判所の判断で払い戻しができるケース】

遺産分割の審判や調停が行われている場合は、家庭裁判所の判断をあおぐ必要があります。この場合、「どうしても生活費がない」といった必要性が求められます。また、ほかの相続人の利益が害されない程度でなくてはなりません。
 
この場合、単独で払い戻しを受けられる金額は、家庭裁判所の判断によります。

 

必要な書類

相続預金の払戻制度に必要な書類は、以下のとおりです。
 

【家庭裁判所の判断を経ずに払い戻しを受ける場合】

・亡くなった親の除籍謄本、戸籍謄本または全部事項証明書
・相続人全員の戸籍謄本または全部事項証明書
・払い戻し希望者の印鑑証明書

 

【家庭裁判所の判断をあおぐ場合】

・家庭裁判所の審判書謄本
・払い戻し希望者の印鑑証明書

 
取り扱い金融機関によって必要な書類が違うケースがあるため、事前に確認しておきましょう。

 

注意事項

相続預金の払戻制度を利用するためには、時間を要します。また、遺言等によっては払戻制度自体を利用できないこともあるでしょう。払い戻しによってお金を受け取った場合、のちの遺産分割において調整されます。そのため、最終的に受け取るお金の総額は変わりません。

 

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葬式代の支払いに利用できる制度

親の葬式代だけを手にしたい場合は、相続預金の払戻制度以外の制度を利用してもよいでしょう。
 
葬儀会社によっては、葬式費用の分割払いやローンに対応しているケースがあります。事前に問い合わせてみてください。公的保険制度の利用もおすすめです。亡くなった親が加入している健康保険の給付金や国民年金の死亡一時金を受け取れます。
 
生命保険の死亡保険金も利用できます。死亡保険金は財産相続の対象ではないため、受け取った人が葬式代に使えます。

 

相続預金の払戻制度を利用しよう

銀行口座が凍結して、亡くなった親の葬式代が払えない場合には、相続預金の払戻制度があります。上限額などさまざまな注意点はあるものの、相続を分割する前にお金を受け取れるため、手持ちのお金がない場合は利用するとよいでしょう。
 
相続預金の払戻制度以外にも、お金を受け取れる制度があります。葬式代の分割払いやローンを組んで支払う方法もあるため、利用できる制度を見つけて活用しましょう。

 

出典

一般社団法人全国銀行協会 預金相続の手続きに必要な書類
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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