最近家の近所で「樹木葬」の看板をよく見かけます。「お墓を買うより安い」と聞き気になっていますが、費用だけで安易に決めてしまって大丈夫でしょうか…?
配信日: 2025.02.09

「自然に返る」「明るい」などの漠然とした印象はあるものの、埋葬方法や詳しい仕組みまでは知らない人もいるでしょう。お墓の形が多様化するなか、墓石の費用が抑えられ、かつ基本的に継承者が不要のため、生前に樹木葬を予約する人もいるようです。
本記事では、樹木葬とは何か、一般的なお墓との相場の違いやメリット・デメリットを解説します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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そもそも「樹木葬」とは?
樹木葬とは、「墓地、埋葬等に関する法律」に従って許可を得た区画(墓地)に遺骨を埋葬し、墓石の代わりに樹木を墓標とするお墓の形式です。
日本で初めて樹木葬を実施したのは1999年、岩手県一関市の「知勝院」といわれています。跡継ぎが不要なお墓や自然回帰の考え方が、特に首都圏を中心とした都市部で注目され、その後日本全国で樹木葬が実施されるようになりました。
現在、樹木葬にはさまざまなタイプがあります。
・里山型:自然を残している場所に埋葬する方法
・ガーデニング型:霊園や墓地の一部に納骨スペースを設け、草木を植える方法
一般的なお墓と何が違う? 費用相場の違いも解説
遺骨供養の方法は、樹木葬のほかにも、一般的なお墓から納骨堂、散骨などがあります。ここでは、それぞれの特徴や、費用相場の違いを見てみましょう。
・一般墓
一般墓は、墓石を建てて代々子孫が引き継ぐ形式のお墓です。近年では、個人墓や夫婦墓、両家墓などの種類があります。
従来からある一般的なお墓のタイプですが、他のお墓より費用が高い傾向にあります。
・合同墓(合祀墓、永代供養墓)
合同墓は、複数の遺骨を一緒に埋葬する形式のお墓です。墓所の管理者が永続的に供養・管理をしてくれることから、永代供養墓と呼ばれることがあります。そのため、お墓の継承者を心配する必要がありません。
・納骨堂
納骨堂とは、遺骨を屋内のスペースに納骨できる施設です。近年では、ロッカー型や仏壇型、墓石型など、さまざまな種類の納骨堂が存在しています。
・散骨
散骨は、遺骨を粉末状に加工し、海や山などにまく形式の埋葬方法です。近年では、宇宙葬やバルーン葬など、空に散骨する方法も存在します。
埋葬方法ごとの費用相場を、表1にまとめました。
表1
埋葬方法 | 費用相場 |
---|---|
一般墓 | 100万~330万円程度 |
合同墓 | 5万~30万円程度 |
納骨堂 | 10万~150万円程度 |
散骨 | 5万~70万円程度 |
樹木葬 | 20万~80万円程度 |
※筆者作成
また、株式会社鎌倉新書の「第15回 お墓の消費者全国実態調査(2024年)」によると、お墓の平均購入金額は一般墓が149万5000円、納骨堂が80万3000円、樹木葬が63万7000円という結果となり、樹木葬は比較的費用を抑えられる可能性があります。
ただし、それぞれのお墓にかかる費用は人数や施設、形式によって大きく異なるため、注意が必要です。
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「樹木葬」のメリット・デメリット
最後に、樹木葬のメリット・デメリットをご紹介します。
・緑豊かで開放感がある
・費用が比較的安価
・お墓の継承者を考えなくてよい
・埋葬した場所が分からなくなる場合がある
・樹木が枯れたり倒れたりする場合がある
・山中にある場合、後に参拝しづらくなる
まとめ
樹木葬とは、許可を得た墓所に樹木や草花を植え、その周辺に遺骨を埋葬するお墓の形式です。基本的に継承者を必要とせず、自然回帰できるという考え方から、注目を集めています。また、一般的なお墓よりも費用が比較的安価であることもメリットです。
樹木葬は、一般的なお墓と埋葬形式が異なります。そのため、ご自身やご家族が十分に納得の行く埋葬方法や場所を選ぶことが重要です。お墓の選択に後悔がないように、現地に足を運ぶなどして、複数の方法を比較しましょう。
出典
株式会社鎌倉新書 いいお墓 【第15回】お墓の消費者全国実態調査(2024年)霊園・墓地・墓石選びの最新動向
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー