先日親から土地を相続しました。相続登記「義務化」の話を聞いたのですが、相続登記にはいくらかかりますか?
配信日: 2025.02.20

この記事では、相続登記にかかる費用の内訳と、手続きを進める際のポイントを解説します。正しい知識を身に付け、スムーズに手続きを進めましょう。

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
相続登記が義務化された理由
相続登記とは、土地や建物を相続した際に不動産の所有者名義を変更することです。これは、不動産の所有者が誰であるかを公的に証明するための重要な手続きです。
相続登記を行うことで、相続人はその不動産について、自分が持ち主であるとして正式に管理・処分できるようになります。
今までは、相続登記に強制力はありませんでしたが、2024年4月1日からは申請が義務化されています。
その背景には、所有者不明の土地が増加していることが挙げられます。所有者が不明である土地は、多くの場合管理されない土地となり、荒れたり犯罪に利用されたりすることから社会的な問題となっていました。そのような状況を改善するため、相続登記が義務化されることとなりました。
義務化に伴い、2024年4月以降は、不動産(土地・建物)を相続で取得したことを知った日から3年以内に相続登記を行わない場合、10万円以下の過料に処される可能性があります。また、義務化前に相続したことを知った不動産は、令和9年3月末までに登記する必要があります。
相続登記にかかる費用の内訳
相続登記を行う際は登録免許税を納付する必要があります。
とはいえ、登録免許税はそれほど高額になるわけではありません。
登録免許税額は、原則として次のように計算します。
登録免許税額=課税価格×税率
課税価格:固定資産課税明細書 に「価格」または「評価額」と記載されている価格です。1000円未満の端数は切り捨て、価格が1000円未満の場合は1000円になります。
税率:登記の種類ごとに異なり、相続登記の場合は0.4%になります。
算出した金額から100円未満の端数を切り捨てた額が登録免許税額になります。計算した額が1000円未満の場合は1000円になります。
一例として、課税価格が60万2850円だった場合を考えてみましょう。このとき、課税価格は60万2000円(1000円未満の端数切り捨て)になり、税率0.4%をかけると2408円となります。ここから100円未満を切り捨てるため、最終的に納付する登録免許税額は2400円となります。
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相続登記をスムーズに進めるためのポイント
相続登記は必要書類が非常に多いため、やろうと思ってもすぐにできるわけではありません。一般的には数日から数ヶ月かかってしまいます。
書類の一例として、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍・除籍謄本や相続人全員の戸籍謄本といった役所関係の書類の他、遺言書なども挙げられます。場合によっては、遺産分割がなされたことを証明するため遺産分割協議書も作成しなければなりません。
実際に必要となる書類は、相続登記を遺言書の内容に従って行うのか、それとも相続人全員で話し合って決めた内容で行うのかなどによっても異なります。スムーズに進めるためには、相続財産に不動産が含まれていることが発覚した段階で、その不動産を管轄する法務局へ相談することをおすすめいたします。
まとめ
相続登記にかかる費用は、課税価格の0.4%と非常に少額です。課税価格が60万円ほどの土地でも、登録免許税額は2400円程度となります。しかしながら、相続登記を怠ってしまうと10万円以下の過料が科される可能性があります。
土地を相続した際は、必ず3年以内に相続登記をするようにしましょう。
出典
法務省 不動産を相続した方へ ~相続登記・遺産分割を進めましょう~
執筆者:柘植輝
行政書士