定年退職した両親は「月3万円の仕送り」に一切手をつけず、ずっと貯めていてくれました。先日「10年分貯めたから」とそのお金を返してくれたのですが、この場合、贈与税はかかるのでしょうか?

配信日: 2025.03.01

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定年退職した両親は「月3万円の仕送り」に一切手をつけず、ずっと貯めていてくれました。先日「10年分貯めたから」とそのお金を返してくれたのですが、この場合、贈与税はかかるのでしょうか?
父母や祖父母が子どもや孫にお金を渡すこと(=贈与)はよくあることですが、場合によっては贈与税がかかることもあります。
 
本記事は、贈与税の仕組みについて詳しく知りたい方に向けた内容です。「定年退職した両親が子どもから受け取っていた月3万円の仕送りを、10年間貯めた後に子どもに返した」という例を用いて、贈与税の仕組みについて解説していきます。
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贈与税の仕組みとは?

贈与税は「個人から財産をもらったとき」に課税される税金で、課税方法には「暦年課税」と「相続時精算課税」があります。1月1日~12月31日の1年間に受けた、贈与財産の価額の合計額(課税価格)が課税の対象です。
 
贈与税の一般的な課税方法は「暦年課税」ですが、「相続時精算課税」を選択して贈与時の贈与税額を低く抑えることも可能です。
 
また、暦年課税の計算方法には「一般贈与財産用」と「特例贈与財産用」がありますが、今回は一般的な計算方法である「一般贈与財産用」を紹介します。暦年課税の計算方法(一般贈与財産用)は以下の通りです。
 
贈与税額=(贈与財産の課税価格-110万円)×税率-控除額
 
贈与税の仕組みでは基礎控除額として「110万円」が定められているため、年間110万円までの贈与には贈与税がかかりません。
 
贈与税(一般贈与財産用)の速算表は図表1の通りです。
 
図表1

基礎控除後の課税価格 200万円以下 300万円以下 400万円以下 600万円以下 1000万円以下 1500万円以下 3000万円以下 3000万円超
税率 10% 15% 20% 30% 40% 45% 50% 55%
控除額 なし 10万円 25万円 65万円 125万円 175万円 250万円 400万円

出典:国税庁「財産をもらったとき」を基に筆者作成
 
相続時精算課税では、贈与財産から基礎控除額110万円と特別控除額2500万円を控除した残額に、一定の税率を掛けて算出した金額を贈与税として納付します。その後、贈与者が亡くなったときに、贈与財産と相続財産とを合計した価額を基に相続税額を計算して、納付済みの贈与税額を控除します。
 
贈与を受けた年の贈与税額は低くなりますが、相続財産に贈与財産が加わるため、相続税が高くなる可能性があることと、一度相続時精算課税を選択すると暦年課税へ変更できない点に注意が必要です。
 

「定年退職した両親が子どもから受け取っていた月3万円の仕送りを、10年間貯めた後に子どもに返した」場合、贈与税はかかるのか?

子どもが両親に渡した(=贈与した)財産を、両親が子どもに渡す(=贈与して)場合、子どもから両親に贈与した時点で「毎月3万円」の所有権は両親に移っているため、再び子どもに贈与する際には贈与税がかかります。
 
なお、贈与税は暦年課税と相続時精算課税で計算方法が異なります。それぞれの計算方法で贈与税を計算してみましょう。なお、贈与財産の価格は「3万円×12ヶ月×10年」で「360万円」です。
 

暦年課税の場合

暦年課税を選択した場合、贈与財産の価格が基礎控除額の110万円を上回っているため贈与税がかかります。贈与税額は以下の通りです。
 
贈与税額=(360万円-110万円)×15%-10万円=27万5000円
 
贈与財産360万円から贈与税額27万5000円を差し引いた、「332万5000円」が手元に残る計算になります。
 

相続時精算課税の場合

相続時精算課税を選択した場合、贈与財産の価格が基礎控除額の110万円と特別控除額2500万円の合計額を下回っているため、贈与税はかかりません。その代わり、贈与財産額360万円を相続財産に加えて相続税額を計算することになります。
 

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贈与税の仕組みを理解したうえで贈与を受けよう

本記事では、具体的な例を用いて贈与税の仕組みを解説してきました。
 
贈与税の仕組みを知ることで、贈与したり贈与を受けたりする場合の贈与税額を計算できます。本記事をきっかけにして、贈与税の理解を深めていきましょう。

出典

国税庁 財産をもらったとき
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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