遺言書を書いておいても、相続のときに見つけてもらえるのでしょうか? 後から「見つけた!」と気づいたらどうなるのでしょうか?
配信日: 2025.03.15

本記事では、遺言書を見つけてもらえない場合のリスクや、確実に見つけてもらうためにできる対策を紹介します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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遺言書は遺族に見つけてもらえないと意味がない
「内容に口出しをされたくないから、自分が亡くなるまでは遺言書を書いたことを家族に秘密にしていたい」と考える人もいるでしょう。
しかし、家族の誰も遺言書のことなど聞いていないとなれば、遺言書がないことを前提として遺産分割協議を完了されてしまうリスクがあります。また、家族が念のために遺言書を探してくれたとしても、しまった場所の検討すらつかない状況では、結局発見してもらえない可能性も高いでしょう。
遺言書は自身の死後、財産を誰に残すかなどの希望を遺族に実現してもらうための、大切な手段です。どんなに内容を吟味しても、遺族の目に触れなければ意味がありません。自身の思いをきちんと伝えられるよう、生前にできる対策をしておきましょう。
遺言書が後から出てくると遺産分割をやり直さなければならない可能性がある
遺産分割協議を終えた後、遺品整理などのときにないと思っていた遺言書が出てきた、といった場合、遺族に余計な負担をかける可能性があります。
遺言書が遺産分割協議後に見つかっても、相続人から遺産分割協議の内容に異議が出なければ、基本的には協議のやり直しは不要です。しかし、次のような場合には遺産分割協議のやり直しが必要となるため注意しなければなりません。
・遺言執行者を指名している
・相続人から除名した人がいる
・遺産の分割を禁止している
・法定相続人以外への遺贈を指定している
また、遺産分割協議のやり直しにともなって、相続税の申告・納税などをやり直さなければならないケースもあるでしょう。
遺言書には、有効期限はありません。そのため、自身の死後何十年も経過して遺言書が見つかったとしても、法的に有効な遺言書であれば効力を持ちます。
すでに不動産の処分が済んでいて遺言書の内容どおりの分割が難しい場合には、当事者全員が納得できる落としどころを巡って話し合いをする必要があるのです。遺族に余計な負担をかける事態を避けるためにも、遺言書は確実に遺族に渡る状態にしておく必要があります。
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遺族に遺言書を確実に見つけてもらう手段は?
遺族に確実に遺言書を見つけてもらうためにできる、主な対策は次の2つです。
・家族や信頼できる人に遺言書のありかを共有しておく
・自筆証書遺言書保管制度と指定者通知を利用する
最も簡単な対策は、家族や信頼できる人に遺言書を書いたことや保管してある場所を共有しておくことです。家族とは、できれば遺言書のことだけでなく、おおよその資産の状況(預貯金の金額や預け先、金融資産の保有状況、動産・不動産の状況など)も共有して、相続に備えておくのが理想です。
遺言書について生前は伏せておきたい場合は、 自筆証書遺言書保管制度を活用する方法があります。自筆証書遺言書保管制度とは、遺言書保管官が遺言書を自筆証書遺言の法的に定められた形式に適合するかチェックしたうえで、原本と画像データを法務局で長期間保管してくれる公的な制度です。
この制度の利用時に指定者通知の対象者(3名まで)を設定しておくと、遺言者が亡くなったことを遺言書保管官が把握した時点で、遺言書が保管されていることが指定者に通知されます。また、保管された遺言書は改ざんや紛失の恐れがない、相続開始後の家庭裁判所による検認が必要ない、などのメリットもあります。
申請時には事前予約が必要なので、利用する際にはあらかじめ手順などを確認しておきましょう。
遺言書が確実に遺族の手に渡るように対策しよう
いくら遺言書を作成しても、遺族に見つけてもらえなければ希望どおりの相続は実現できません。また、遺族が相続の手続きをひととおり終えた後で遺言書が見つかると、相続のやり直しが必要になるケースもあります。自分の希望を確実に伝えるためにも、遺族に迷惑をかけないためにも、遺言書が必ず遺族の手に渡るようにできる対策をしておきましょう。
出典
法務省 自筆証書遺言書保管制度 01 遺言書保管制度とは? ~本制度のメリットをご紹介します。是非、ご利用ください!~
法務省 自筆証書遺言書保管制度 10 通知 〜通知が届きます!〜
法務省 自筆証書遺言書保管制度
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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