大学生の子どもに「月15万円」ほど仕送り中です。家賃や生活費・学費のためですが、離れて暮らしているなら“贈与”になるんでしょうか?
配信日: 2025.03.16

地域によっては住居費や生活費が高かったり、私立の学校に通っている場合だと学費も平均より高額であったりなど、家庭によってはかなりの金額を仕送りしているところもあるかもしれません。家族とは言え、毎月高額の仕送りをしている場合は、「贈与」となり贈与税の対象にならないのでしょうか?
本記事では、子どもへの仕送りと、贈与税の関係について解説していきます。

執筆者:渡辺あい(わたなべ あい)
ファイナンシャルプランナー2級
贈与税の対象となるのは年間110万円を超える贈与
贈与税は、1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産の価額が110万円を超えた場合にかかります。例えば、1年間で150万円を贈与された場合、「150万円-110万円」の40万円の部分に対して課税されます。
贈与税は、家族間で行われた贈与か、他人同士の間で行われた贈与かは関係なく、どちらに対しても同様にかかります。
また、年間の贈与総額が110万円を超えた場合に課税される点にも注意が必要です。例えば、毎月15万円ずつ贈与した場合は、毎月の金額ではなく年間の総額である180万円(15万円×12ヶ月)が贈与税の対象となり、110万円を超えた分、つまり「180万円-110万円」の70万円に対して贈与税がかかるという仕組みになっています。
「生活費」は贈与になるのか?
贈与の目的が子どもの「生活費」である場合でも、年間110万円を超えたら贈与の対象となるのでしょうか。結論から言うと、子どもにとって通常必要な生活費で、都度渡されるものであれば、扶養義務者からの贈与は、贈与税の対象となりません。
ただし、この生活費が「日常で必要なものであるか」というのが重要なポイントです。生活費として認められるものは基本的な家賃や食費等はもちろん、病院での治療費、教育費や養育費、子育てに関する費用などがあります。また、このうち教育費は学費だけでなく学校で必要な教材費、文房具等の総合的な費用も含まれます。
このように「贈与」であっても、生活費や教育費として必要な都度渡され、その用途のため直接充てられていれば、生活費の範疇として贈与税はかからないということになるのです。反対に、それ以外の目的に仕送りを使ってしまうと、贈与税の対象と見なされるため注意が必要です。
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教育費の贈与は非課税にできる
扶養義務者から、その都度必要な学費を支払うために行われる生活費や教育費の贈与は贈与税の対象となりませんが、子どもが扶養から外れたあとや、まとまった額の学費を援助したい場合はどうなるのでしょうか。
このような場合は、「教育資金の一括贈与制度」を利用することで、一定の贈与額までは非課税とすることができます。
「教育資金の一括贈与制度」とは、祖父母や父母といった直系尊属から、30歳に満たない子や孫に対して教育資金を一括贈与する際に利用できる制度のことで、取扱金融機関にて教育資金非課税申告書の提出等をすれば、1500万円までは受贈者の贈与税が非課税になるというものです。
子どもが独立したあとでも、留学費用や大学院への進学など、教育費を援助してあげたいと考える場合は、この制度を利用するとよいでしょう。
生活費の仕送りは非課税となる
仕送りの総額が、年間110万円を超えてしまっても、生活費や教育費といった生活に必要な経費であれば、贈与税はかかりません。ただし、扶養者からの贈与であること、その都度支払いに充てられるものであること、一般的な生活費の範囲を超えていないことが重要なポイントとなってきます。
たとえ離れて暮らしていても、親子間で扶養関係にある場合は非課税として扱われるので、基本的に仕送りに関しては贈与税はかからないと言っていいでしょう。
出典
国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
国税庁 No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税
執筆者:渡辺あい
ファイナンシャルプランナー2級