息子に「借金500万円」が発覚し離婚寸前に! 仕方なく親が肩代わりしたけど、贈与税「50万円」は回避できない? 確定申告で有利になることはないの?
配信日: 2025.03.17


執筆者:佐々木咲(ささき さき)
2級FP技能士
肩代わりした500万円は「贈与」になる
贈与とは、自分以外の個人から財産をもらう行為をいいます。
本記事のケースでは、親は子どもの借金を肩代わりしただけです。しかし、子ども自身が返済しなければならない借金を親が代わりに支払うということは、親が子どもに500万円をあげたのと同じ意味になるのです。親が子どもに現金を渡し、子どもはその現金で借金を返したという形になるからです。
そして、親と子どもが違う人間である以上、「親子間だから贈与にならない」ということはありません。
借金の肩代わりにかかる贈与税は約50万円
借金の肩代わりが「贈与」に該当することで発生するのが、「贈与税」です。個人から贈与により財産を取得したときには贈与税がかかると、国の法律で定められています。
そして、「贈与」に該当するのであれば、子どもを離婚から救うためであっても贈与税を回避することはできません。
それでは、500万円の贈与に対してかかる贈与税を計算してみましょう。
(贈与額500万円-基礎控除額110万円)×贈与税率15%(※)-10万円=48万5000円
※贈与税率には「一般税率」と「特例税率」があります。財産を受け取る人が18歳以上、かつ、贈与する人が両親や祖父母などの直系尊属である場合には、税率が優遇された「特例税率」が適用されます。本記事の計算では「特例税率」となります。
500万円の贈与には、約50万円の贈与税がかかります。500万円もらっても、その約1割は贈与税でもっていかれてしまうのですね。
本記事のケースでは、借金の肩代わりによる贈与なので、子ども自身の手元に500万円が残るわけではありません。原資のないところから50万円を支払わなければならない点に注意しましょう。
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確定申告で有利にならない
確定申告は、所得税を計算して精算するための手続きであり、所得とは利益のことです。借金を返済することに対して損失が出たようなイメージをもつかもしれませんが、単に借りたお金を返しただけなので、何の損得も発生していない点に注意しましょう。
利息部分については損失ではありますが、車のローンを組んでいる人が確定申告して何かお得になっているでしょうか。このような支出は「給与所得控除」に含まれていると考えられ、控除が別途あるわけではありません。
肩代わりではなく貸し付けにすれば贈与税はかからない
借金を肩代わりした場合、子どもに贈与税が発生します。親から借金を返済するためのお金をもらったからです。
しかし、これが親からの500万円の貸し付けを受けた場合であればどうでしょうか。子ども にとっては、今ある借入先が親に代わるだけであり、500万円をもらってはいません。贈与にならないのであれば、贈与税もかかりません。贈与税を回避したい場合には、肩代わりではなく、借金を返済するためのお金を貸してあげる形を検討してみましょう。
なお、貸し付けにするのであれば、「金銭消費貸借契約書」を作成しておいたほうが安心です。税務署に疑われた場合であっても、証拠として提出できるからです。
まとめ
親が子どもの借金500万円を肩代わりした場合には、贈与税が約50万円かかります。確定申告をすることで、何かお得になることもありません。贈与である以上、贈与税を回避することはできないので、肩代わりではなく貸し付けにすることを検討してみましょう。
出典
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
執筆者:佐々木咲
2級FP技能士