春から大学に進学した息子に毎月「10万円」の仕送りをします。年間で110万円を超えてしまうのですが、贈与税の支払いは必要になりますか?

配信日: 2025.04.13

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春から大学に進学した息子に毎月「10万円」の仕送りをします。年間で110万円を超えてしまうのですが、贈与税の支払いは必要になりますか?
子どもへの仕送りを考える際、贈与税の対象になるか気になる方も多いのではないでしょうか。贈与税には年間110万円の基礎控除があるものの、仕送りの目的や使い道によっては課税対象となることがあるため注意が必要です。
 
贈与税の仕組みを理解していないと、仕送りする側だけでなく、受け取る側も課税対象となり贈与税の納付が必要となる場合があります。
 
本記事では、仕送りが贈与税の対象にならないケースと対象になるケースについて詳しく解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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高橋庸夫

監修:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

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サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

仕送りは基本的に贈与税の対象にはならない

学生への仕送りは通常、贈与税の対象とはなりません。贈与税は、個人から金銭などの財産を受け取った際にかかる税金ですが、扶養義務者(親・配偶者・兄弟姉妹など)からの仕送りで、生活費や教育費として使われる場合は課税されません。
 
生活費には日常の支出だけでなく治療費なども含まれ、教育費は学費や教材費、文具代などが該当します。
 
大学に進学する息子に毎月10万円を仕送りすると年間120万です。贈与税の基礎控除である年間110万円を超えますが、仕送りが生活費や教育費を目的としたもので、適切に使われていれば贈与税の対象にはなりません。税金はかからないため、確定申告も不要です。
 

仕送りが贈与税の対象になるケース

仕送りが生活費や教育費として適切に使われていれば非課税ですが、目的外の用途に使われた場合は贈与税の対象となります。
 
例えば、親が生活費や教育費のために仕送りをしても、子どもが貯蓄したり、投資資金として運用したりすると贈与税が課される可能性があります。そのため、子どもがアルバイトで生活費を賄い、仕送りを使わず貯蓄している場合も贈与税の課税対象となる場合があります。
 
また、仕送りの金額が高額すぎる場合も贈与税の対象となることがあります。さらに、海外在住の子どもへの仕送りにも注意が必要です。海外送金は手数料が高いため、まとまった金額を送る場合がありますが、その場合、税務署から確認を求められる可能性があります。
 

仕送り額の平均

日本政策金融公庫の「令和3年度 教育費負担の実態調査結果」によると、自宅外通学者に対する平均仕送り額は年間95万8000円(月額7万9000円)で、前年より5万5000円増加しています。また、仕送りをしていない世帯の割合は10%でした。
 
自宅外通学者に対する年間の平均仕送り額とその割合は、図表1のとおりです。
 
【図表1】

年間仕送り額 割合
0万円 10.0%
0万円超50万円未満 13.9%
50万円以上100万円未満 33.1%
100万円以上150万円未満 28.7%
150万円以上200万円未満 11.7%
200万円以上 2.6%

※日本政策金融公庫「令和3年度 教育費負担の実態調査結果」をもとに筆者が作成
 
年間仕送り額で最も多いのが50万円以上100万円未満で、次に100万円以上150万円未満となっています。
 

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仕送りする際の注意点

仕送りの際には、以下の点に注意しましょう。
 

・使用目的が分かるように領収書などを保管しておく
・贈与税の課税を避けるため110万円以内に収める

 
仕送りは教育費や生活費として適切に使われていれば非課税ですが、貯蓄や投資に回すと贈与税の対象となります。万が一、税務署の調査を受けても問題がないように、仕送りの使途を証明できる領収書などを保管しておくことをおすすめします。
 
また、贈与税の負担を避けるため、年間の仕送り額は基礎控除(110万円)以内に収めると安心です。もし基礎控除を超えると、超過分に対して10~55%の税率で贈与税が課されることになります。不安がある場合は、事前に税務署や税理士に相談して確認しておきましょう。
 

仕送りに贈与税がかかる場合があることを家族間で共有しておこう!

子どもへの仕送りは、用途や金額によっては贈与税の対象となる可能性があります。
 
毎月10万円の仕送りで年間110万円を超える場合でも、教育費や生活費に充てる目的であれば、贈与税の対象にはなりません。一方で、貯蓄や投資、娯楽など、教育費や生活費以外の目的での仕送りや使い道については、贈与税の対象となります。
 
仕送りは学生時代を通じて長期間続くことが多いため、送る側と受け取る側が贈与税の基礎知識を持ち、領収書の保管など適切な対策をしておくと安心です。
 
贈与税の税率は10~55%と、負担は決して小さくありません。負担を避けるためにも、家族内で情報を共有して、仕送りのルールを事前に決めておくことをおすすめします。
 

出典

国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
日本政策金融公庫 令和3年度教育費負担の実態調査結果
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
 
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

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