祖父母から就職祝いでもらった「400万円」。タンス預金にして少しずつ使えば課税されませんか?
配信日: 2025.05.08

今回は、受け取ったお金が課税される条件や申告せず放置するとどうなるか、非課税で受け取れる可能性などについてご紹介します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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タンス預金にしても課税されるときはある
贈与税が課税される基準に、タンス預金であるか否かは関係ありません。贈与税は1年間で受け取った金額から基礎控除分(110万円)を引いた金額が課税対象です。
例えば成人している孫が祖父母から400万円を受け取り、同じ年にほかに受け取ったお金はないとしましょう。この場合、基礎控除を引いた290万円が課税対象です。国税庁によると、このとき、税率15%が課税されて10万円が控除されるため、贈与税額は33万5000円になります。
課税対象になっていれば、たとえタンス預金でも税金の納付が必要です。税務署は口座の過去の出金記録やお金の流れを調べられるため、少しずつ使用したとしてもバレる可能性があります。
もし申告と納税が必要にもかかわらず無申告のままでいると、あとで延滞税や加算税が追加で課されるケースもあります。
延滞税と加算税とは
延滞税とは、納付期限から過ぎた日数に応じて課される税金です。延滞日数が長くなるほど税額も多くなります。
対して加算税は、税金の過少申告や無申告、不納付などがあった場合に加算される税金です。加算税には以下の4種類があります。
・過少申告加算税
・無申告加算税
・不納付加算税
・重加算税
もし税金を申告しなかった場合、課されるのは無申告加算税です。無申告の税額や遅れて申告したタイミングなどによって税率が変わります。
なお、意図的に税額をごまかしたり贈与されたお金を隠したりといった悪質な場合は、より税率の高い重加算税の課税対象になる場合があります。
お祝い名目のお金は非課税になる可能性も
お年玉や進学祝いなどのお祝いのためのプレゼントは、基礎控除額を超えていても課税されないケースがあります。国税庁によると、社会通念上相当と認められる範囲であれば、お祝い名目の贈与は非課税とされているためです。
もし就職祝いとして受け取ったのであれば、課税されない可能性があります。ただし、社会的に見て明らかに高額な就職祝いだと、通常の贈与として課税対象になる場合もあるでしょう。
課税されるか判断できないときは、税務署や税理士など専門家に相談することをおすすめします。
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生活費の支援が目的なら受け取り方に注意
就職を機に一人暮らしのための費用としてお金を受け取った場合は、受け取り方や使い方に注意が必要です。国税庁によると、扶養義務者から受け取る生活費や教育費も非課税項目とはなりますが、あくまでも必要な金額を受け取った場合が該当します。
例えば、月の生活費が15万円で足りるのに毎月30万円を受け取っていると、必要な金額を大きく超えているとして課税される可能性があるでしょう。さらに、生活費として受け取ったお金を預金や投資に回した場合なども、実際に生活費として利用していないため課税対象です。
生活費の支援として受け取るときは、必要な金額をある程度試算したうえで、必要な分だけ受け取るようにしましょう。
タンス預金でも課税対象になっていれば申告と納付が必要
タンス預金にしていても、贈与税の基礎控除分を超えていれば課税される可能性があります。今回のケースでもし課税されると、贈与税は33万5000円の納付が必要です。もし申告をしないままでいると、追加で税金の支払いが発生する場合もあるため、できるだけ早く申告しましょう。
なお、お祝いや生活費名目で受け取った場合は、非課税になる可能性があります。ただし、あまりにも高すぎるお祝いや、実際には生活費として使用していないなどのケースでは課税対象となる場合もあります。課税されるかの判断がつかないときは、専門家に相談するとよいでしょう。
出典
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4405 贈与税がかからない場合
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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