母が「タンス預金が貯まったから住宅ローンの返済にあてて」と500万円をくれました。このままもらってローン返済に使ってもよいのでしょうか？

親から高額なお金を受け取る場合は、贈与税について考えなければなりません。
 
たとえタンス預金していたお金であっても、一定の金額以上を受け取る際には贈与税を支払う必要があるため、確認しておきましょう。
 
本記事では、タンス預金をもらう際にかかる贈与税について紹介するとともに、住宅ローンを繰り上げ返済するメリットもまとめています。

タンス預金をもらう際には贈与税がかかる？

国税庁によると、個人から財産を受け取った際には、贈与税がかかる場合があります。課税対象となるのは、1年間に贈与を受けた金額の合計から基礎控除額である110万円を差し引いた残りの額です。
 
1年間に贈与を受けた金額が110万円以下であれば贈与税はかかりませんが、今回の事例では「親から500万円もらった」ということなので、110万円を差し引いた390万円が課税対象になると考えられます。
 
「タンス預金なら銀行を介さないので贈与税を払わなくても気づかれないのではないか？」と思う人もいるかもしれませんが、税務調査により発覚する可能性があるので、贈与税を支払わずに贈与を受けるのはやめた方がよいでしょう。
 

タンス預金をもらう際に贈与税がかからないようにするには？

受け取る財産の目的によっては、贈与税がかからない場合もあります。国税庁によると「夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの」などには、贈与税がかからないということです。
 
そのため、親から受け取ったお金は生活費や教育費のための資金などに充てるようにし、住宅ローンの返済分としては使用しないようにすれば、贈与税を支払わなくても済む可能性があると考えられます。
 
ただし、贈与税がかからないのは、生活費や教育費として「必要な都度直接」これらに充てるためのものに限られ、これを預金したり投資資金に充てたりした場合には贈与税がかかるため注意しましょう。
 
また、年間110万円以下であれば非課税になるため、110万円以下ずつになるように分割でお金を受け取る方法もあるでしょう。ただし、毎年同じ人から同じ額の贈与を受けていることが分かると、定期贈与とみなされてしまう可能性もあります。
 
定期贈与とは毎年一定の額の贈与を一定期間受けることが贈与者との間で契約されている場合のことで、仮に毎年100万円ずつ5年間にわたって贈与を受けることが契約されている場合、総額500万円の贈与を受けたものとして贈与税がかかります。
 

住宅ローンを繰り上げ返済するメリット

今回の事例では「親からもらったタンス預金を住宅ローンの返済に充ててよいのか？」ということなので、住宅ローンを繰り上げ返済するメリットについても触れておきましょう。
 
まず、繰り上げ返済には、返済期間を短縮するタイプと月々の返済額を減らすタイプの2種類があります。
 
例えば、返済期間を短縮すると支払利息を軽減できるだけでなく、完済を早められるというメリットがあります。できるだけ早く住宅ローン返済のプレッシャーから解放されたい人におすすめです。
 
一方、月々の返済額を減らすタイプの場合、返済期間は短くなりませんが、月々の負担を減らせる点がメリットです。「なかなか貯蓄まで手が回らない」という人は、こちらのタイプを選んだ方がよいかもしれません。
 

タンス預金であっても年間110万円以上のお金をもらうと贈与税が課せられる｜贈与税を支払わずに住宅ローンの返済に充てることはできないと考えられる

個人から年間110万円を超える額の財産をもらうと、贈与税が課せられます。タンス預金であっても税務調査により発覚する可能性があるため、贈与税を支払わずに住宅ローンの返済に充てることはできないと考えられます。
 
贈与税がかからないようにするためには、受け取ったお金は贈与税の対象にならない生活費や教育費として使い、住宅ローンの返済などそれ以外の目的には使わないようにするとよいでしょう。
 
また、基礎控除額以内で分割して受け取るなどすれば、贈与税がかからずに済む可能性があります。
 

出典

国税庁 タックスアンサー（よくある税の質問） No.4402 贈与税がかかる場合
国税庁 タックスアンサー（よくある税の質問） No.4405 贈与税がかからない場合
 
執筆者：FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー