夫から毎月振り込まれる生活費。切り詰めて余った分を「タンス預金」として老後のために貯金しているのですが、私の口座に入っていたお金なので問題ないですよね?
配信日: 2025.07.05

今回の事例は、贈与税としてみなされるのかを解説します。

ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
贈与税の種類
まずは、贈与税について解説します。
贈与税とは、個人から財産を受け取った際にかかる税金のことです。お金を無償で受け取ったら、金額によっては贈与税がかかることになります。また、他人の生命保険金を受け取った場合も贈与税の支払いに該当します。
贈与税を課税する方法には、暦年課税と相続時精算課税の2種類があります。
暦年課税
暦年課税とは、1月1日から12月31日までの1年間でもらった財産の合計金額が110万円を超えた場合にかかる税金です。110万円以下の場合は、贈与税はかかりません。
例えば、父から100万円、母から30万円もらった場合は、贈与税を申告しなければなりません。一方、父が子ども2人それぞれに100万円をあげた場合、それぞれの子どもは110万円を超える贈与を受けていないため申告は不要となります。
相続時精算課税
相続時精算課税とは、60歳以上の父母や祖父母から財産を受け取り、1月1日から12月31日の1年間で2500万円以上だった場合に課税されるものです。財産をもらうのは、18歳以上の子どもや孫です。もらった財産のうち、110万円までは暦年課税の控除対象となります。
例えば、2800万円を孫が祖父母からもらったとします。そのうち、110万円は暦年贈与となるため、残りの2690万円に相続時精算課税がかかることになります。2500万円以下であれば相続時精算課税はかかりませんが、この場合贈与税の申告が必要です。
贈与税がかからないのは、どのようなもの?
ところで、もらった財産全てに贈与税がかかるわけではありません。贈与税がかからない財産は以下のようなものがあります。
・法人からもらった財産
・夫婦や親子、兄弟などから生活費や教育費としてもらったお金
・宗教・慈善・学術を目的とした事業への寄付
・奨学金
・精神や身体に障がいのある方への給付金
・選挙活動で公職選挙法にのっとった利益
・特定障害者扶養信託契約での信託受益権
・香典や花代、お歳暮などの贈答、祝物、お見舞金
・住宅取得・教育資金・結婚や子育て資金の条件を満たすもので贈与税の対象とならないもの
・相続した年の被相続人からの贈与
基本的に、上記の項目に該当するものは贈与税とはみなされません。
生活費を貯蓄した場合はどうなる?
では、今回のように生活費を貯金に回した場合はどうなるのでしょうか。
結論からいうと、贈与税として申告する必要があります。夫婦間で生活費として受け取ったお金ではありますが、あくまでも必要なお金としてもらっているので、貯金をすると目的外の財産扱いになってしまい贈与とみなされてしまうのです。
過去に、へそくりは、贈与に該当するのかという裁判事例がありますが、夫の財産扱いという判決になっています。どうしても貯金に回したいのであれば、無償で財産をあげたりもらったりするときに必要とされる贈与契約書を作成しましょう。
また、生活資金を貯金に回すだけでなく、株式や不動産の購入費に充てることも贈与税の対象となってしまうので注意が必要です。
【PR】「相続の手続き何にからやれば...」それならプロにおまかせ!年間7万件突破まずは無料診断
家族間でもらう生活費は「貯金」に回さないほうがいい
生活費を貯金に回すと、贈与税が発生します。生活費という名目である以上、生活に関する費用以外の用途は贈与となってしまいます。お金をもらったときは、目的から外れないように使いましょう。
また、知らない間に贈与税が発生してしまっているということがないよう、普段から税の仕組みをしっかり理解しておくことも大切です。
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー