定年後の生活費に、と息子から「500万円」受け取りました。生活費でも贈与税は必要なのでしょう?
配信日: 2025.07.05

本記事では、贈与税の基本的な仕組みや非課税となる条件、課税されないための注意点について解説します。

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目次
そもそも贈与税とは
贈与とは、自らの財産を他者に譲ることです。相続は財産を有する人の死後に発生しますが、贈与は生前に行われます。
また、生前に財産を贈られた場合に発生するのが、贈与税です。贈与税は贈与を受けた人に対して課せられる税金で、その年の1月1日から12月31日までの金額が対象となります。
なお、贈与税には110万円の基礎控除が適用されます。贈与された金額が200万円だった場合、基礎控除を差し引いた90万円が課税対象です。
定年後の生活費として受け取ったお金に贈与税はかかる?
結論からいえば、子どもが親に対して生活費として仕送りした金銭については、原則として贈与税の課税対象に該当しない可能性が高いでしょう。
国税庁が公式サイト上で示している情報によると、「夫婦や親子間での生活費や教育費のうち、社会通念上、通常必要とされる範囲の金銭の贈与」については、贈与税の課税対象外とになることが明記されています。
定年後の親を子どもが金銭的に支援するケースであれば非課税規定に該当するため、一般的には贈与税の心配をする必要はないと考えられます。
ただし、「生活費」とは、住居費、食費、光熱費、医療費など日常生活を維持するために必要不可欠な支出のことです。そのため、生活費として受け取ったものでも、生活費以外の目的で使用した場合には贈与税が課せられる可能性があります。
たとえば、以下のようなケースには注意が必要です。
●子どもからの仕送りのほとんどを貯蓄に回している
●子どもからの仕送りで株式や不動産などを購入している
●子どもからの仕送りを高価な買い物や旅行などに使っている
また、実際に生活費として使用していても、通常想定される生活水準と大きく異なる場合は注意が必要です。
どこからどこまでがセーフラインとみなされるのかは、送金する側とされる側の状況などにより細かく判断されます。不安な場合は専門家に相談することをおすすめします。
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子どもからの仕送りに贈与税を課されないためのポイント
子どもからの仕送りに贈与税を課されないためには、以下の2点に注意することが大切です。
必要な分だけ送金してもらう
数年分の生活費をとして高額な金額を受け取ると、贈与とみなされるリスクが高まります。子どもと話し合って、その都度、不足している分だけを送金してもらいましょう。
仕送りの用途をきちんと意識する
年金などの収入と子どもからの仕送りを、それぞれの用途で明確に線引きすることが大切です。
生活費として受け取った仕送りは食費や光熱費などの普段の生活費に充て、ほかの出費は自分の収入や預貯金から出すようにしましょう。
「もったいなくて使えない」と仕送りを貯金に回してしまうと、贈与とみなされかねません。子どもから生活費として受け取ったお金は、ありがたく使うようにしましょう。
贈与税の申告が必要な場合の対処法
贈与税の申告が必要になった場合、仕送りを受けた翌年2月1日から3月15日までに手続きを済ませましょう。
申告書や添付書類を税務署に持参または郵送するほか、インターネットで税金に関する手続きができる「e-Tax」を利用するという方法もあります。税の申告が初めてで不安な場合は、税理士に相談するのもおすすめです。
なお、子から親への贈与については、課税価格に応じて10〜55%の税率が課せられます。
基礎控除後の課税価格は「500万円-110万円=390万円」なので、この場合は20%の税率を使用します。つまり、納税が必要な場合、金額は以下のとおりです。
390万円×20%-25万円=53万円
家族間の仕送りは、金額や用途に注意しましょう
子どもから生活費として受け取ったお金には、基本的に贈与税はかかりません。しかし、受け取った金額があまりに高額な場合や、生活費以外に使用している場合は注意が必要です。
贈与税の納付が必要となった場合は、書類を用意し、仕送りを受けた翌年の2月1日から3月15日までに申告しましょう。
出典
国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー