「親の介護をしたら遺産が多くもらえる」って本当ですか?“寄与分”の仕組みと“受け取れる額”の目安を教えてください。

配信日: 2025.08.13
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「親の介護をしたら遺産が多くもらえる」って本当ですか?“寄与分”の仕組みと“受け取れる額”の目安を教えてください。
「親の介護をしていた相続人が、ほかの相続人より多くの遺産をもらえた」という話を聞いたことはあるでしょう。
 
実際にそのようなことが法律で決められているのか、ほかの相続人よりどのくらい多く遺産をもらえるのかなど、気になることもあるかもしれません。
 
本記事では、親の介護をしていた場合にもらえる可能性のある「寄与分」について、主張できる範囲や受け取れる額などをご紹介します。
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「寄与分」とは?

民法第904条の2には「共同相続人中に、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者」に対して、寄与分を加えた額を相続させることができると定められています。
 
つまり、相続人の中に被相続人が相続財産を形成・維持するうえで貢献した人がいる場合、法定相続分に上乗せする形で、ほかの相続人よりも多くの財産を受け取れるということです。
 
寄与分は、以下のケースに分類されることがあるようです。
 

・家業従事型:被相続人の事業を無償に近い形で手伝っていた場合など
・金銭出資型:被相続人が家を買う際に金銭的な援助をした場合など
・療養看護型:被相続人を献身的に介護することで、介護サービスの利用料をおさえる結果につながった場合など
・扶養型:被相続人に生活費を仕送りしたり、同居して衣食住の世話をしたりして面倒を見ていた場合など
・財産管理型:被相続人が所有する不動産を管理していた場合など

 
今回の事例では「親の介護」ということなので、療養看護型該当します。
 

寄与分を主張できるのはどのような人?

寄与分を主張できるのは法定相続人のみです。配偶者は常に相続人となりますが、それ以外の法定相続人の範囲は以下のようになっています。
 

・第一順位:子どもなど(直系卑属)
・第二順位:父母・祖父母など(直系尊属)
・第三順位:兄弟姉妹

 
ただし、民法第1050条では「特別寄与」について定められており、法定相続人以外の親族であっても寄与分の請求が認められるケースもあります。
 

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寄与分が認められる要件は?

上記の人のうち、被相続人の財産の維持・増加につながる尽力があったこと、特別な貢献に該当する内容であったこと、被相続人がその行為を必要としていたこと、報酬を受け取っていないことなどの要件が認められた場合に、寄与分を主張できると考えられます。
 
たとえどれだけ尽力していても、財産の維持や増加につながっていなければ要件を満たせない場合もあるでしょう。「特別な貢献」であるかどうかについても判断が難しい場合もあるかもしれません。
 
また、その寄与行為が一定期間以上行われたものであることも重要なポイントです。今回の事例でも「数日間、親の介護をした」という程度では寄与分の請求は認められない可能性があります。
 
このように、寄与分が認められるためのハードルは高いと考えられます。
 

寄与分として受け取れる相続財産はどのぐらい?

寄与分がある人の相続財産は、以下のように算出します。
 
「(遺産総額-寄与分)×法定相続分+寄与分」
 
寄与分をどのように計算するかについては、寄与の種類によって異なります。
 
療養看護型では「日当額×療養看護日数×裁量的割合」で計算される例もあるようです。日当額は介護保険の介護報酬基準額を参考にするケースもあるため、確認してみるとよいでしょう。
 

一定の要件を満たした場合は「寄与分」の取得が認められる|受取額は寄与の種類によって計算される場合もある

継続して親の介護をし、相続財産の維持に寄与していた場合などは、寄与分が認められてほかの相続人よりも多く遺産をもらえることがあります。
 
寄与分を主張するには、法定相続人であること以外にもいくつか要件があるため、事前に確認しておくとよいでしょう。
 
寄与分をいくらもらえるかについては、寄与の種類によって計算手法が異なるようです。過去の判例などを参考に、確認してみるとよいかもしれません。
 

出典

デジタル庁e-GOV法令検索 民法(明治二十九年法律第八十九号)第二節 相続分 (寄与分)第九百四条の二・第十章 特別の寄与 第千五十条
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.4132 相続人の範囲と法定相続分
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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