「教育費の足しにして」と祖父母から“孫に年間80万円の仕送り”を受けています。これって贈与税の対象になるのでしょうか?

配信日: 2025.08.21
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「教育費の足しにして」と祖父母から“孫に年間80万円の仕送り”を受けています。これって贈与税の対象になるのでしょうか?
『教育費の足しにして』と祖父母から毎年80万円の仕送りを受けている――このような支援が“贈与税の課税対象になるのかどうか”を迷われている方は少なくありません。
 
特に教育に関するお金は非課税となるケースが多い一方、金額や用途が曖昧だと課税対象となることも。
 
この記事では、祖父母からの仕送りが本当に“贈与税がかからない仕送り”なのか、法律の背景から具体的制度までわかりやすく解説し、あなたにとって安心・適切な対応を導きます。
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祖父母からの仕送りは贈与税の対象? 基本ルールを整理しよう

祖父母から孫への経済的支援は、原則として「贈与」と見なされ贈与税の課税対象となります。しかし、相続税法第21条の3では「扶養義務者間で、教育費や生活費として通常必要な範囲の支援は贈与税の課税対象外」と定められています。
 
例えば、孫が私立大学に通っていて仕送りが必要な場合、その学費や通学のための交通費、下宿代などは「通常必要な教育費」にあたり、これらの「必要な都度、直接支払った支援」は贈与税がかかりません。
 
ただし、まとまった金額を渡して預金に残った場合や、実際に教育費以外に使われた金額は課税対象となる場合があります。
 

年間110万円の基礎控除とは? 暦年贈与の仕組み

贈与税には「暦年贈与」という制度があり、1年間(1月1日~12月31日)に受贈者1人あたり110万円までの贈与は非課税とされています。
 
例えば祖父母から孫へ80万円の仕送りがあった場合、その年の贈与額が110万円以下であれば贈与税はかかりません。ただし、贈与者が複数いる場合でも、受贈者が1年間にもらった全ての贈与の合計額から基礎控除110万円を差し引いた額が課税対象となります。
 
したがって、暦年贈与を利用する際は、毎年の贈与が「その年ごとに独立した贈与」であることが重要です。きちんとした独立性が認められれば、毎年110万円の非課税枠の範囲内で節税対策に利用できます。
 

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教育資金の一括贈与なら最大1500万円まで非課税!

祖父母が「大学の学費などの教育資金をまとめて渡しておきたい」と考えている場合には、「教育資金の一括贈与」という特例制度を利用できます。
 
この制度は、祖父母などの直系尊属が、子や孫(受贈者)が30歳になるまでの教育資金として、金融機関に「教育資金専用口座」を開設し、最大1500万円まで一括で贈与できるものです。
 
贈与された資金は、学費や入学金、授業料など学校に支払う費用のほか、塾や習い事など学校外の教育費にも用いられますが、学校以外の教育費は500万円までが非課税の限度額となります。この範囲内であれば、教育資金として使われる限り贈与税はかかりません。
 
また、受贈者が30歳になるとこの制度は終了となり、残額には贈与税がかかることになります。さらに、この制度は令和8年(2026年)3月31日までの期間限定での適用となっています。
 

年間80万円の仕送りは非課税。ただし記録は残して安心を

今回のケース「祖父母から年間80万円の仕送りを受けている」場合、


・教育費として通常必要な範囲であれば、贈与税はかからない
・さらに暦年贈与の基礎控除110万円以内なので、形式的にも非課税枠に収まる

このように二重の安心があります。とはいえ、税務署から問い合わせがあったときに困らないよう、仕送りの用途が教育費であることを証明できる書類(振込明細や領収書)を残しておくことをおすすめします。
 
祖父母の思いを大切にしながら、制度を正しく理解し、安心して受け取る環境を整えることが、孫世代にとっても一番の支えになります。
 

出典

国税庁 扶養義務者(父母や祖父母)から「生活費」又は「教育費」の贈与を受けた場合の贈与税に関するQ&A
e-Gov法令検索 相続税法
国税庁 祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし(令和5年5月)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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