実家に住んでいたとき「生活費5万円」を親に渡していました。結婚時に「貯めていた」と言って「300万円」をもらったのですが、贈与税の対象になりますか?

配信日: 2025.09.17
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実家に住んでいたとき「生活費5万円」を親に渡していました。結婚時に「貯めていた」と言って「300万円」をもらったのですが、贈与税の対象になりますか?
親と同居していた時期に毎月5万円を生活費として渡していたところ、結婚を機に親から「貯めておいた」として300万円をもらった。このようなケースで「贈与税がかかるのではないか?」と不安に思う人は少なくありません。
 
本記事では、生活費の性質や結婚時の資金援助がどのように扱われるのか解説します。
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贈与税の仕組みと基礎控除

贈与税は親や親族などからお金や財産をもらったときにかかる税金です。原則として暦年(1月1日から12月31日まで)に受け取った財産の合計から 基礎控除額110万円 を引き、その残りが課税対象になります。
 
1年間に親から300万円をもらった場合は、110万円を差し引いた190万円が課税対象額となります。この金額に応じた税率がかかり、概算では20万円台後半の税金になる可能性があります。
 
ただし、すべての受け取りが課税されるわけではありません。税法上「扶養義務者からの日常生活に必要な費用」は贈与税の対象外とされています。ここに該当するかどうかがポイントになります。
 

実家暮らしで親に渡していた「生活費5万円」の扱い

毎月5万円を生活費として親に渡していた場合、それは一般的に「家に入れるお金」として妥当な範囲に収まります。このお金は本来、食費や光熱費など家計の一部を負担する性質のものであり、親に対する贈与ではなく、共同生活のための分担と考えられます。
 
したがって、これ自体は贈与税の対象にならないのが通常です。税務上も「通常必要と認められる生活費や教育費」は非課税とされています。
 

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結婚時に受け取った「300万円」はどうみなされるのか

問題は結婚の際に親から受け取った300万円です。ここには2つの見方があります。
 
・過去に渡していた生活費を貯めて返してくれた場合
 
もし親があなたから受け取った生活費を実際に貯金しており、それをそのまま返したのであれば、性質としては「贈与」ではなく「預けていたお金の返還」と考えられます。この場合は贈与税の対象にはなりません。
 
・親から新たに贈与された場合
 
実際には生活費として使っていたが、結婚時に便宜的に「貯めていた」としてお金を渡された場合、それは親から子への新たな贈与とみなされます。
 
通常の贈与税の基礎控除(110万円)を引いた金額が課税対象となります。なお、結婚資金としての300万円までは「結婚・子育て資金の一括贈与非課税制度」により非課税となるケースもあるため、条件や手続きの確認が必要です。
 
いずれにしても、「過去の生活費の返還」なのか「新たな贈与」なのかを客観的に説明できるかどうかが大きな分かれ目です。
 

実際の税額イメージ

仮に贈与として扱われた場合を簡単にシミュレーションしてみましょう。

・贈与額:300万円
 
・基礎控除:110万円
 
・課税対象額:190万円
 
・税率(一般贈与):約10%

この条件だと、贈与税額は概ね19万円程度となる可能性があります。決してゼロではない金額なので、正しく判断して申告することが大切です。
 

課税を避けられる可能性は?

結婚に際して親から資金援助を受けるケースは多く、制度上「結婚・子育て資金の非課税制度」が令和9年3月31日まで延長されており、この期間内であれば利用できます。将来的には終了予定のため、新規契約の可否については最新の情報を確認する必要があります。
 
しかし、渡されたお金が実際に「あなたのお金を預かっていたもの」である証拠(通帳記録など)が残っていれば、贈与ではなく返還として扱える可能性があります。また、金額が少額であれば基礎控除の範囲(年間110万円以内)で贈与税がかからないこともあります。
 

まとめ

結婚時に親からもらった300万円が贈与税の対象となるかは、その性質によって異なります。
 
過去の生活費を預かり貯めて返したのであれば非課税ですが、新たな贈与とみなされれば基礎控除を超える190万円に課税され、およそ25万円前後の負担が生じる可能性があります。不安なときは税務署や専門家に相談し、安心して新しい生活を始められるように備えていきましょう。
 

出典

国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
国税庁 結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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