年金と貯蓄もあるし、退職金「1000万円」は孫の教育資金として渡したい!できるだけ贈与税がかからない方法はある?
この記事では、退職金の一部を教育資金に充てる際に利用できる非課税制度や、注意すべきポイントについて解説します。
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目次
退職金を孫の教育資金に充てるときのポイント
退職金を現金で孫に渡すと「贈与」に該当します。贈与税は受け取った人に課税され、税率は最高で55%に達します。そのため、教育目的とはいえ、何も対策をせずに一度にまとまった額を渡すと税負担が大きくなるため注意が必要です。
ただし、教育資金については「教育資金一括贈与の特例」や「暦年贈与」といった仕組みを利用すれば、贈与税をかけずに孫へ資金を渡せるかもしれません。
制度の具体的な内容について、次項から解説していきます。
教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置(教育資金一括贈与の特例)を活用する
「教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置」とは、祖父母などの直系尊属が30歳未満の子や孫に教育資金をまとめて贈与する場合、金融機関を通じて手続きを行うことで、最大1500万円まで贈与税が非課税となる制度です。通常であれば110万円を超える贈与には贈与税がかかりますが、この制度を使えば大きな資金でも一度に移せるでしょう。
非課税の対象となる教育費の範囲
非課税となるのは「教育資金」として使う費用です。
・学校への入学金や授業料
・塾や習い事、ピアノ、水泳などの月謝
・留学にかかる費用
教育資金には、上記のような費用が対象となります。教育目的であれば、学校教育だけでなく課外活動の費用も認められる点が特徴です。
手続きの流れ
制度を利用する際には、受贈者の名義で金融機関に「教育資金口座」を開設し、そこへ一括で資金を預けます。その後、実際に教育費を支払った際に領収書を提出し、教育目的であることを金融機関に確認してもらう仕組みです。単に現金を手渡しするだけでは制度が使えないため、金融機関を通して資金を管理します。
暦年贈与の非課税枠を利用して計画的に渡す
贈与税には基礎控除があり、毎年1月1日から12月31日までの1年間に受贈者一人あたり110万円までであれば、受け取る側に贈与税はかかりません。これは「暦年贈与」と呼ばれ、誰に対しても適用できます。例えば、祖父母が孫に110万円を贈与した場合、その年は非課税です。
退職金を教育資金として渡す際の注意点
退職金を孫の教育資金に充てる場合、教育資金一括贈与の特例や暦年贈与の基礎控除などを利用すれば、贈与税を最小限に抑えられるでしょう。ただし、次のポイントに注意してください。
老後資金を確保したうえで計画する
退職金は老後生活を支える大切な資金でもあります。教育資金として贈与する前に、自分自身の生活費や医療費を十分に確保してから余裕資金を渡すのが基本です。たとえ年金や貯蓄で生活が成り立つ場合でも、長寿化や予期せぬ支出を考慮し、残すべき資金を試算してから贈与計画を立てましょう。
相続全体のバランスにも注意
教育資金を受け取る孫以外にも相続人がいる場合、不公平感が生じないように配慮が必要です。贈与した資金が将来的に相続財産に加算されるケース(相続開始前3年以内の贈与など)もあるため、他の家族とのバランスを考えたうえで行いましょう。
老後と相続を考えながら計画的に教育資金を渡そう
退職金を孫の教育資金に充てる場合、教育資金一括贈与の特例や暦年贈与の基礎控除を利用すれば、贈与税をかけずに資金を移すことが可能です。
ただし、制度には条件があり、形式を守らなければ課税対象となるリスクがあります。また、老後の生活資金や相続全体の公平性も考慮した方がいいでしょう。安心して教育資金を贈与するためには、早めに計画を立てることが大切です。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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