1年前に一人暮らしの父が亡くなりましたが、忙しさにかまけて「相続登記の手続き」をしていません。最近、相続登記の義務化や罰則の話を耳にするのですが、このままだとマズいでしょうか?

配信日: 2026.03.11
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1年前に一人暮らしの父が亡くなりましたが、忙しさにかまけて「相続登記の手続き」をしていません。最近、相続登記の義務化や罰則の話を耳にするのですが、このままだとマズいでしょうか?
一人暮らしだったお父さまが亡くなり、家がそのままになっている。仕事や生活に追われ、「相続登記はまだ」という方は少なくありません。
 
しかし、2024年から相続登記は義務化されたことをご存じでしょうか。誰も住んでいない住居の相続登記を怠り、正当な理由なく放置すると過料の対象になる可能性があります。
 
空き家問題の深刻化を背景に、制度が大きく変わっています。まずは何が義務で、いつまでに、どのような手続きが必要なのかを整理しましょう。
柴沼直美

CFP(R)認定者

大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
http://www.caripri.com

相続登記は「義務」に

2024年4月1日から、相続によって不動産を取得した相続人は、取得を知った日から3年以内に相続登記を申請することが法律上の義務となりました。正当な理由なく申請を怠った場合、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。
 
さらに重要なのは、過去の相続にも適用される点です。2024年4月1日時点で未登記だった不動産も、原則として2027年3月31日までに申請する必要があります。お父さまが亡くなられて1年とのことですから、「相続で取得したことを知った日」から3年以内が基本の期限となります。早めの対応が必須です。
 

放置すると起きやすい“思わぬ事態”

相続登記をしないまま放置すると、名義は亡くなった方のままです。この状態では、売却・担保設定・解体などの手続きができません。
 
また、時間がたつほど相続人が増え、権利関係が複雑化します。例えば相続人の一人が亡くなり、その子へ再相続が発生すると、関係者は増えていくケースが多く、全員の合意や書類収集が難しくなります。
 
加えて、空き家は管理不全になると、近隣トラブルや行政指導の対象になり得ます。管理費用や固定資産税の負担は続きますし、将来売却したくても「合意形成ができず動けない」という事態も珍しくありません。
 

手続きの流れと必要書類

基本の流れは、以下のとおりです。


(1)相続開始の証明と法定相続人の特定(戸籍収集)
(2)遺産分割協議・協議書の作成(協議・話し合いによる土地・建物の所有者の確定とその書面化)
(3)登記申請書の作成(法務局提出書類の作成)
(4)管轄法務局へ申請

主な書類は、被相続人の出生から死亡までの戸籍、相続人の戸籍、住民票、固定資産評価証明書、遺産分割協議書などです。戸籍の証明書は、戸籍ごとに本籍のある市区町村に請求します。
 
具体的な請求方法や手数料については、該当する自治体の公式サイトで確認するか、窓口で問い合わせましょう。登録免許税は、原則として固定資産税評価額×0.4%です。
 
なお、遺産分割がまとまらない場合や相続人が多い場合には、司法書士へ依頼する選択肢もあります。費用は事案により異なりますが、目安としておおむね数万~十数万円程度のケースが多いようです。
 

新しい選択肢「相続人申告登記」

遺産分割に時間がかかるケースでは、「相続人申告登記」という簡易な制度も始まりました。相続人の一人が、自分が相続人である旨を申告することで、義務違反を回避できる仕組みです。
 
ウエブ上でも手続きが可能で、法定相続人の範囲や法定相続分の割合の確定も不要なため提出書類も少なくて済みますし、登録免許税はかからないというメリットがあります。
 
あくまでも将来分割登記をするという前提ですが、期限内に対応できるという点では、選択肢として検討するのもいいでしょう。
 

まとめ

相続登記は2024年4月から義務化され、取得を知ってから3年以内の申請が必要です。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の可能性があります。放置は権利関係の複雑化や空き家リスクを招きかねません。
 
まずは相続人の確定と期限確認から始め、難しければ専門家の力を借りることも検討することをおすすめします。後回しにせず、できるところから始めましょう。
 

出典

法務省 不動産を相続した方へ ~相続登記・遺産分割を進めましょう~
法務省 民事局 登記申請手続きのご案内(相続登記1/遺産分割協議編)
国税庁 No.7191 登録免許税の税額表
法務省民事局 相続人申告登記手続きのご案内 期限内に相続登記をすることが難しい方へ
 
執筆者 : 柴沼直美
CFP(R)認定者

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