父が亡くなった後、葬儀代に充てるために父の通帳から100万円引き出しました。その後、借金があると分かり相続放棄を考えていますが、もう放棄はできませんか?

配信日: 2026.03.19
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父が亡くなった後、葬儀代に充てるために父の通帳から100万円引き出しました。その後、借金があると分かり相続放棄を考えていますが、もう放棄はできませんか?
父親が亡くなった直後は、葬儀や各種手続きに追われ、相続のことまで十分に考える余裕がないこともあります。手元資金が足りず、やむを得ず父親の通帳からお金を引き出して葬儀代に充てた人もいるでしょう。
 
ところが後から借金が見つかると、「もう相続放棄はできないのではないか」と不安になるはずです。では、葬儀代として100万円を引き出した場合は、必ず相続放棄ができなくなるのでしょうか。本記事では、葬儀代のために預金を引き出した場合の相続放棄への影響と、確認しておきたいポイントについて解説します。
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相続放棄が難しくなるのは「相続財産を処分した」と判断されるとき

相続では、預貯金や不動産だけでなく、借金などの負債も引き継ぐのが原則です。そのため、借金が多いと分かった場合に相続放棄を考えるのは自然なことです。
 
ただし注意したいのは、亡くなった人の財産を相続人が自分の判断で使うと、「相続財産の処分」とみなされる可能性がある点です。処分にみなされると、法律上は「単純承認」とされ、財産も借金も含めて相続する扱いになるおそれがあります。こうなると、相続放棄は難しくなります。
 
つまり問題は、父親の通帳から引き出した100万円が、保存行為(生活費等の必要経費)に該当するのか、それとも相続財産の処分行為と評価されるのかという点です。ここが、判断の分かれ目になります。
 

葬儀代のための引き出しでも、事情によって結論は変わる

葬儀費用は、亡くなった直後に必要になる代表的な支出です。そのため、葬儀代の支払い自体が直ちに問題になるとはかぎりません。判断にあたっては、引き出した目的や金額、使い道が重要になります。
 
例えば、引き出した100万円を葬儀社への支払いに充て、その領収書や請求書が残っていれば、葬儀のための必要な支出だったと説明しやすいでしょう。
 
一方で、引き出したお金を生活費や別の支払いに使ったり、何に使ったのかはっきりしなかったりすると、自分のために相続財産を使ったと見られやすくなります。その場合は、相続放棄を申し立てても認められないおそれがあります。
 
つまり、100万円を引き出した事実だけで直ちに放棄できなくなるとはかぎりませんが、使い方によっては相続放棄が認められにくくなる可能性があるということです。
 

相続放棄を考えるなら、今すぐ確認したいこと

相続放棄は、原則として「自己のために相続の開始があったことを知ったときから3ヶ月以内」に家庭裁判所へ申述しなければなりません。まずは、この期限を確認することが重要です。迷っているうちに期限を過ぎると、相続放棄が認められなくなる可能性があります。
 
あわせて、父親の口座から引き出した100万円について、通帳の記録、引き出した日、葬儀社の請求書や領収書などを整理しておきましょう。これらは、引き出しが葬儀費用のためだったと説明する材料になります。
 
さらに、亡くなった父親に借金があるかどうかと、借金がある場合は総額も早めに調べる必要があります。預金があるように見えても、借金のほうが多ければ相続全体では負担が大きくなるためです。財産と負債の全体像を確認したうえで、相続放棄を進めるか判断することが大切です。
 

父の通帳から預金を引き出した後でも、まずは事実関係を整理しよう

父親の通帳から100万円を引き出して葬儀代に充てたとしても、そのことだけで必ず相続放棄ができなくなるわけではありません。ただし、相続財産を処分したと判断されれば、放棄が認められなくなる可能性はあります。
 
大切なのは、何のために引き出し、何へ使ったのかを資料で説明できる状態にしておくことです。通帳の記録や葬儀費用の領収書をそろえ、借金の全体像を確認しながら、期限内に手続きを進めることが重要です。
 
判断が難しい状況だからこそ、事実関係を整理したうえで、落ち着いて対応しましょう。
 

出典

法務省 相続された預貯金債権の払戻しを認める制度について
最高裁判所 相続の放棄の申述
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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