実家の土地と家を相続することになりました。売る予定はないのですが、「固定資産税」がどのくらいかかるのか不安です。住まない家を持ち続けるのは、税金の面で損なのでしょうか?
そこで本記事では、「固定資産税はどのくらいかかるのか?」「住まない家を持ち続けるのは、税金の面で損なのか?」について解説します。実家を相続する予定の方だけでなく、現在持ち家の方や住宅購入を検討中の方の参考になると思いますので、ぜひ最後までお読みください。
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー
私がFP相談を行うとき、一番優先していることは「あなたが前向きになれるかどうか」です。セミナーを行うときに、大事にしていることは「楽しいかどうか」です。
ファイナンシャル・プランニングは、数字遊びであってはなりません。そこに「幸せ」や「前向きな気持ち」があって初めて価値があるものです。私は、そういった気持ちを何よりも大切に思っています。
固定資産税はどのくらいかかるのか?
固定資産税は、固定資産に対して課される税金です。固定資産とは、土地・家屋(建物)・償却資産のことをいいます。固定資産税の納税義務者は、固定資産の所有者です。
この場合の所有者は、毎年1月1日時点において、登記簿・固定資産課税台帳に所有者として登記・記録されている方です。税額は、以下の計算式によって算定します。
税額=固定資産税課税標準額×税率
固定資産税課税標準額(以下「課税標準額」といいます)は、固定資産税評価額を基礎に算定します。固定資産税評価額とは、固定資産税課税台帳に記載された金額のことで、以下「価格」といいます。
課税対象となる土地が住宅用地の場合、住宅用地の特例が適用され、固定資産税の税額が低くなります。住宅用地の特例については、以下のとおりです。
・200平方メートル以下の土地については、課税標準額が価格の6分の1になる
・200平方メートルを超える土地については、超えた部分の課税標準額が価格の3分の1になる
例えば、住宅用地の面積が300平方メートル、価格が2700万円の場合、課税標準額は以下のように計算します。
・200平方メートル以下の部分の課税標準額:2700万円×200平方メートル/300平方メートル×1/6=300万円
・200平方メートル超の部分の課税標準額:2700万円×(300平方メートル-200平方メートル)/300平方メートル×1/3=300万円
この場合の課税標準額は、600万円(=300万円+300万円)となります。固定資産税の税率は、原則1.4%ですので、課税標準額600万円に税率1.4%を乗じた8万4000円が当該土地の固定資産税額となります。
個別の税額については、毎年4月に送られてくる課税明細書(納税通知書)の納付相当額(税相当額)欄で確認することができます。
住まない家を持ち続けるのは、税金の面で損なのか?
家を持っていると、住む・住まないを問わず、固定資産税が課税されます。住んでいる家の固定資産税を支払うことについては、「仕方がない」と思うかもしれません。
しかし、住んでいない家(空き家)の固定資産税を支払うことについては、「もったいない」と感じるかもしれません。この時点で損だと考えることもできます。
ところで、先述の「住宅用地の特例」ですが、「空家等対策の推進に関する特別措置法」第13条第1項に規定する「管理不全空家等」、または同法第2条第2項に規定する「特定空家等」であって、同法第13条第2項または第22条第2項の規定による勧告を受けた敷地に該当した場合は適用されません。
簡単にいえば、適切な管理が行われておらず、近隣に迷惑がかかるような状態になってもなお改善される様子がない空き家については、固定資産税の特例が解除され、税額が高くなるということです。
前項で、住宅用地の面積が300平方メートル、価格が2700万円の場合の固定資産税の額を試算しました。住宅用地の特例を受けた場合、課税標準額は600万円、税額は8万4000円となります。
一方、住宅用地の特例が解除されると、課税標準額が上がり、税額も増えます。例えば負担調整措置を考慮しない単純計算では、課税標準額を2700万円として、税額は37万8000円(=2700万円×1.4%)となります。税額が4.5倍(=37万8000円÷8万4000円)になるのであれば、「税金の面で損」なのではないでしょうか。
たまに「空き家になれば固定資産税が4~6倍に上がる」というのを耳にしますが、厳密にいえばそれは間違いです。固定資産税が上がるのは、ただ「空き家」になったときではなく、法律に規定する特定の「空き家」になったときです。
ですから、空き家を相続したときには、定期的に様子を見に行き、適切な管理をすることをおすすめします。そうすることで、固定資産税が上がる(住宅用地の特例が解除される)ということを避けることができます。
まとめ
本記事では、「固定資産税はどのくらいかかるのか?」「住まない家を持ち続けるのは、税金の面で損なのか?」について解説しました。まとめると、以下のとおりです。
・固定資産税は「課税標準額」に税率1.4%を乗じた金額がかかる
・住まない家を持ち続けた場合、適切な管理を行わないと固定資産税が上がる可能性がある
固定資産税の額は「評価額(価格)」を基準に算定しますが、この評価額は個別性が高いため、本記事では具体的にいくらとお伝えすることができません。ただ、個別の固定資産税については、毎年4月に送られてくる「固定資産税課税明細書」で確認することができます。
土地が住宅用地である場合、「住宅用地の特例」が適用され、固定資産税が低くなります。しかし、当該土地に建っている建物が空き家で、適切な管理がされておらず、近隣に迷惑がかかる状態のまま放置されているような場合には、「住宅用地の特例」が解除され、固定資産税が高くなる可能性があります。
損得の考え方はさまざまですが、「住宅用地の特例」が解除され、固定資産税が高くなってしまったら、さすがに損なのではないでしょうか。これを避けるためにも、実家を相続した方は、定期的に実家の様子を見に行き、適切な管理をしていくことを心掛けましょう。
出典
総務省 固定資産税
デジタル庁 e-Gov法令検索 地方税法
デジタル庁e-Gov法令検索 空家等対策の推進に関する特別措置法
執筆者 : 中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー